4年 国語 詩・短歌を読む

詩・短歌を読む ── 少ない言葉に、たくさんを詰めこむ技

詩や短歌は短い。だからこそ、一つ一つの言葉に意味がこめられています。

短いことが力になる

物語は何十ページもあります。説明文も何ページかあります。ところが短歌は、たった31文字です。

短歌 … 五・七・五・七・七 の31音 俳句 … 五・七・五 の17音 詩 … 決まった形はない

31文字で何が言えるのでしょうか。実は、短いからこそ言えることがあるのです。

長い説明を読むと、内容は分かります。でも、心に残るとは限りません。ところが短い一行が、何年も忘れられないことがあります。

短い言葉は刺さるのです。だから昔から、人は詩や歌に思いをこめてきました。

そして、短いということは省略されているということでもあります。書かれていない部分を読者が想像する。その想像する余地が、詩の面白さなのです。

五七五七七のリズム

短歌は五・七・五・七・七の31音でできています。

たとえば しらとりは / かなしからずや / そらのあお / うみのあおにも / そまずただよう 五 七 五 七 七

声に出して読むと、気持ちよく流れることに気づきます。これがリズムの力です。

なぜ五と七なのでしょうか。日本語は、この組み合わせがいちばん自然に聞こえると言われています。

身のまわりにも五七のリズムはあふれています。

「はやおきは / さんもんのとく」(五・七) 「いっすんさきは / やみ」 「じゅうにんといろ」 ことわざや標語にも五七が多い

ニュースの見出しや、お店のキャッチコピーにも五七調はよく使われます。覚えやすく、口に出しやすいからです。

字数を数えるときの注意点があります。

「っ」(小さいつ)… 1音と数える 「ゃゅょ」(小さい字)… 数えない 「ー」(のばす音)… 1音と数える 例:「きょうしつ」→ きょ・う・し・つ = 4音

また、字数が五七五七七からずれることもあります。多いのを字余り、少ないのを字足らずといいます。わざとずらして、印象を強めることもあるのです。

詩の表現技法

詩には、言葉を強く印象づける工夫があります。

くり返し

「ゆれる ゆれる 木々がゆれる」 → 同じ言葉をくり返すと、 動きや気持ちが強調される

比喩(たとえ)

直喩 … 「〜のような」を使う 「わたあめのような雲」 隠喩 … 「〜のような」を使わない 「雲はわたあめだ」 隠喩のほうが強く、印象的

擬人法

「風がささやく」 「花がほほえむ」 「山が眠っている」 → 人でないものを人のように書く → 生き生きとした感じが出る

体言止め

「見上げれば あおくすんだ 夏の空」 → 名詞で終わる → 余韻が残る、印象が強くなる

これらの技法は、覚えるためのものではなく、味わうためのものです。「あ、ここでくり返してる」「これは擬人法だな」と気づくと、詩の読み方が変わります。

言葉のひびきを味わう

詩は意味だけでなく、音も大事です。

「さらさら」「ざらざら」 同じ形の言葉なのに、 受ける感じがまったくちがう 清音(さ)→ 軽い、なめらか 濁音(ざ)→ 重い、あらい

日本語には、こうした音のイメージがあります。

ぱ行 … 軽い、はじける(ぱっと、ぴかぴか) ば行 … 重い、大きい(ばん、ぼこぼこ) さ行 … すべる、さわやか(さらり、すいすい) か行 … かたい、するどい(かちかち、こつん)

詩人は、この音のちがいを意識して言葉を選んでいます。だから、声に出して読むことが大切なのです。

黙って目で読むだけでは、詩の半分しか味わえません。音読すると、リズムもひびきも体で感じられます。

詩の読み方

① まず声に出して読む(意味は考えなくてよい)
② もう一度読んで、心に残った言葉に線を引く
③ その言葉がなぜ心に残ったか考える
④ 作者が何を伝えたかったか想像する
①が大切です。いきなり「作者の気持ちは?」と考えるのではなく、まず音として味わう。それが詩の読み方です。

季節と自然

日本の詩や短歌には、季節がよく登場します。

俳句には季語という決まりがあり、必ず季節を表す言葉を入れます。

春 … さくら、つばめ、菜の花、かすみ 夏 … せみ、ひまわり、夕立、金魚 秋 … 月、もみじ、こおろぎ、いわし雲 冬 … 雪、こたつ、木枯らし、つらら

なぜ季節にこだわるのでしょうか。日本は四季の変化がはっきりしている国だからです。季節が変われば、景色も、気温も、心のありようも変わります。

そして、季語には説明を省く力があります。「せみ」と一言書けば、暑い夏の日、じりじりする太陽、鳴き声のうるささ──それらすべてが読者の頭に浮かびます。

17音や31音という短さで深いことを言えるのは、こうした共有された言葉のイメージがあるからなのです。

自分で作ってみる

読むだけでなく、作ってみると詩の面白さが分かります。

五七五なら、その場で作れます。作り方の手順を紹介します。

① 心が動いた瞬間を思い出す (うれしい、おどろいた、きれいだった) ② その場面を言葉にする 「朝、庭に霜がおりていた」 ③ 五七五の形に切ってみる 「あさのにわ(5)/しもがおりてる(7)/ しろいあさ(5)」 ④ 言葉をけずる・入れかえる ・説明っぽいところを削る ・音のひびきがよい言葉に変える

ポイントは、④のけずる作業です。ここに詩を作る楽しさがあります。

「うれしかった」と書きたくなりますが、それを我慢して、うれしさが伝わる場面だけを書く。物語の心情の読み取りと同じで、直接言わないほうが伝わるのです。

×「うれしくて 思わずわらった 春の朝」 → 気持ちを説明している ○「かけだして ランドセルゆれる 春の朝」 → 行動だけ。でもうれしさが伝わる

作ってみると、言葉を選ぶことの難しさと面白さが分かります。そして、詩人がどれだけ考えて一語を選んでいるかも見えてきます。

つまずきやすいところ

その1 意味だけを追ってしまう

「この詩の意味は?」と考えて、味わえない。
詩はまず音として味わうものです。声に出して読み、心に残った言葉を探すところから始めます。

その2 字数の数え方をまちがえる

「きょう」を3音と数えてしまう。
小さい「ゃゅょ」は数えません。「きょ・う」で2音です。小さい「っ」とのばす「ー」は数えます。

その3 技法の名前だけ覚える

擬人法・体言止めという言葉は言えるが、効果が分からない。
大事なのはその表現でどんな感じが出るかです。「風がささやく」と「風がふく」を読み比べると、ちがいが分かります。

やってみよう

Q1 短歌は何音でできていますか。

A 五・七・五・七・七の31音です。俳句は五・七・五の17音。

Q2 「山が眠っている」は何という技法ですか。

A 擬人法です。人でないものを人のように表しています。

Q3 「さらさら」と「ざらざら」で受ける感じはどうちがいますか。

A 清音は軽くなめらか、濁音は重くあらい感じ。音そのものにイメージがあります。

Q4 今日あったことを、五七五で表してみましょう。

A 字数を数えながら作ってみてください。字余りになっても大丈夫です。

まとめ

おうちの方へ

詩の学習では、「作者の気持ちを答えなさい」という問題が苦手な子が多くいます。しかし本来、詩は分析するものではなく味わうものです。
まずは音読を大切にしてください。声に出すと、リズムやひびきが体で感じられます。意味の理解は、その後で構いません。
技法の名前を覚えることより、「この書き方だとどんな感じがする?」と問いかけるほうが有効です。「風がふく」と「風がささやく」を読み比べれば、擬人法の効果は説明なしで伝わります。
また、自分で作ってみるのも効果的です。五七五は日常の中で気軽に作れます。「今日の出来事を俳句で」と家族で遊んでみると、言葉を選ぶ楽しさが実感できます。