4年 国語 意見文を書く

意見文を書く ── 「思う」だけでは意見にならない

意見文は感想文ではありません。理由で人を納得させる文章です。

事実と意見を分ける

意見文を書く前に、絶対に押さえておくことがあります。事実と意見のちがいです。

【事実】 だれが調べても同じ結果になること 「この学校の児童数は412人だ」 「昨日の最高気温は32度だった」 「休み時間は20分間ある」 【意見】 人によってちがう、考えや感じ方 「この学校は大きい」 「昨日は暑かった」 「休み時間は短い」

ここが混ざると、話がかみ合わなくなります。

「昨日は暑かった」は意見です。同じ32度でも、暑いと感じる人もいれば、そうでもないと感じる人もいます。意見には反対できます

でも「昨日の最高気温は32度だった」は事実です。事実には反対できません。気に入らなくても、事実は事実です。

意見文で大事なのは、自分の意見を、事実で支えることです。

意見文の骨組み

意見文には、決まった形があります。

① 主張 … わたしは〜だと考えます ② 理由 … なぜなら〜だからです ③ 根拠 … 実際に〜という事実があります ④ 予想される反対意見への答え ⑤ まとめ … だから〜だと考えます

①から③までが基本セットです。

【例】 ① わたしは、学校に図書室の本を もっと増やすべきだと考えます。 ② なぜなら、読みたい本が いつも借りられているからです。 ③ 実際、人気の本には10人以上の 予約が入っていて、 3か月待たないと読めません。

①だけでは「そう思うんだね」で終わります。②があると理由が分かり、③があると本当らしさが増します。

③の根拠は、できるだけ事実で書くのがポイントです。数字や実例があると、説得力が大きく変わります。

反対意見にふれる

4年生からは、④の反対意見への対応にも挑戦します。これができると、意見文の質が一段上がります。

④ たしかに、本を増やすにはお金が かかります。しかし、卒業生から 本を寄付してもらえば、 お金をかけずに増やせます。

「たしかに〜。しかし〜。」という形です。

なぜ反対意見にふれるのでしょうか。自分に都合のいいことだけ書く文章は、信用されないからです。

反対意見を先に認めると、読み手はこう感じます。「この人は、ちゃんと両方の面を考えている」。だから、かえって説得力が増すのです。

反対意見の見つけ方

自分の意見に反対する人になりきって考えます。
「もし反対する人がいたら、何と言うだろう?」
お金がかかる、場所がない、他にもっと大事なことがある……。
思いついたものの中から、いちばん強そうな反対意見を選んで取り上げます。
弱い反対意見をわざと選んで反論するのは、ずるいやり方です。読み手にも見抜かれます。

説得力を高める言葉づかい

同じ内容でも、書き方で伝わり方が変わります。

弱い書き方強い書き方
〜だと思います〜だと考えます
たぶん〜でしょう〜です
ちょっと〜かも〜という問題があります
みんな言っています〜人にたずねたところ

「思います」を連発すると、自信がなさそうに見えます。意見文では「考えます」を使うほうが、しっかりした印象になります。

また、「みんな」「たくさん」「すごく」といったあいまいな言葉は避けます。「みんな困っています」より「クラスの30人中22人が困ると答えました」のほうが、はるかに強い。

ただし、強く書きすぎるのも問題です。

×「〜すべきに決まっています」 ×「反対する人はまちがっています」 → 決めつけは、読み手を不快にする

自信を持って書くことと、決めつけることはちがいます。理由で納得させるのが意見文であって、強い言葉で押しきるものではありません。

書く前の準備

いきなり書きはじめると、途中で行きづまります。準備が半分です。

① テーマについて思いつくことを ぜんぶ書き出す(メモ) ② その中から主張を一つ決める ③ 理由を3つくらい考えて、 いちばん強いものを選ぶ ④ 根拠になる事実を探す (調べる・数える・聞く) ⑤ 反対意見を予想する ⑥ 順番を決めてから書きはじめる

とくに④の「根拠を探す」が重要です。ここで実際に調べたり数えたりすると、意見文の質がまったく変わります。

「図書室の本を増やすべき」なら、実際に予約状況を調べてみる。「廊下を走る人が多い」なら、休み時間に何人走ったか数えてみる。

自分で調べた事実は、いちばん強い根拠です。誰かの受け売りではなく、自分の目で確かめたことだからです。

読み手を意識する

意見文は、誰かに読んでもらうために書きます。だから、読み手が誰かによって書き方が変わります。

【同じ「休み時間をのばしたい」でも】 先生に向けて → 学習面での利点を強調する 「頭を休ませたほうが集中できる」 友だちに向けて → 共感できる不便さを挙げる 「トイレに行くだけで終わってしまう」 保護者に向けて → 健康や安全の面から 「あわてて走るとあぶない」

言いたいことは同じでも、相手が何を大事にしているかを考えて理由を選びます。

これは、ずるいことではありません。相手に届く言葉を選ぶのは、伝える努力です。

逆に、相手のことを考えずに書くと、どんなに正しくても届きません。「自分が言いたいこと」だけを並べるのではなく、「相手が納得できること」を考える。

意見文を書き終えたら、読み手になったつもりで読み返します。「これで納得できるかな?」「ここは分かりにくくないかな?」。この見直しが、文章の質を大きく変えます。

つまずきやすいところ

その1 感想文になってしまう

「〜でうれしかったです」で終わる。
意見文は提案や主張を述べるものです。「どうすべきか」「なぜそう考えるか」を書きます。

その2 理由が理由になっていない

「なぜなら、わたしがそう思うからです」。
それは理由ではなく、くり返しです。他の人も納得できる理由を探します。事実を根拠にすると強くなります。

その3 あいまいな言葉が多い

「みんな」「すごく」「たくさん」ばかり。
数字や具体例に置きかえます。調べる手間はかかりますが、その分だけ説得力が生まれます。

やってみよう

Q1 「今日は暑い」は事実ですか、意見ですか。

A 意見です。感じ方は人によってちがいます。「今日は35度だ」なら事実です。

Q2 意見文の基本の3つの要素は?

A 主張・理由・根拠です。「わたしは〜」「なぜなら〜」「実際に〜」の形です。

Q3 なぜ反対意見にふれるのですか。

A 両方の面を考えていることが伝わり、かえって説得力が増すからです。

Q4 「休み時間をのばすべきだ」という意見の根拠を、調べて集めてみましょう。

A 実際に何分かかるか計ってみる、クラスでアンケートを取るなど。自分で調べた事実が最強の根拠です。

まとめ

おうちの方へ

意見文は、論理的に考える力を育てる単元です。中学・高校の小論文、そして社会に出てからの提案書にまでつながります。
お子さんが「思います」を連発するときは、「どうしてそう考えたの?」と聞いてあげてください。理由を言葉にする練習が、そのまま意見文の力になります。
とくに大切なのは、自分で調べる経験です。「本当にそうなの? 数えてみようか」と促すと、根拠のある主張ができるようになります。
家庭の話し合いも練習の場になります。「ゲームの時間を延ばしたい」という要求があったら、主張・理由・根拠の形で説明してもらう。実用的で、真剣に取り組めるテーマです。