3年 社会 学校のまわり

学校のまわり ── 地図は「上から見た絵」ではない

社会科の最初の単元です。地図という道具の使い方を学びます。絵とは何が違うのでしょうか。

社会科が始まる

3年生から、理科と同時に社会科も始まります。生活科の町たんけんとは、何が違うのでしょうか。

2年 生活科3年 社会科
やること見て回る・人と関わる調べて整理する
まとめ方絵・感想地図・表・グラフ
範囲歩いて行ける場所市全体まで広がる
考えること楽しかったなぜそこにあるのか

いちばん大きな違いは、「なぜ」を考えることです。

「駅の近くにお店が多い」──それだけでなく、なぜ多いのかを考えます。人が集まるから、便利だから、と理由を探します。

そして、そのために必要な道具が地図です。

地図と絵の違い

2年生の町たんけんでも、地図らしきものを描きました。でも、社会科の地図にはきまりがあります。

絵地図地図
建物そのまま描く地図記号で表す
向き自由上が北
大きさ目立つものを大きく実際の割合を守る
読む人描いた人しか分からないだれでも分かる

いちばん大事なのが最後の行です。地図は、だれが見ても同じように読めなければ意味がありません

だから、きまりを決めて、みんなで守るのです。学校は文、病院は十字、郵便局は〒。このきまりを知っていれば、初めて見る土地の地図でも読めます。

これは算数の単位と同じ考え方です。cmもkgも「みんなで決めた共通のきまり」でした。地図記号は、場所を表すための共通の記号です。

おもな地図記号

3年生で覚える地図記号は、そう多くありません。

記号意味由来
小・中学校「文」の字
郵便局「テ」(逓信省の頭文字)
十字病院赤十字から
Y に点消防署昔の消火道具「さすまた」
× を丸で囲む警察署警棒を交差させた形
鳥居の形神社鳥居そのもの
まんじ仏教の印
||(2本線)稲を刈ったあと
点が2つ植物の双葉
リンゴの形果樹園果物

注目してほしいのは、由来です。地図記号は、でたらめに決められたわけではありません。もとの形や意味から作られています

「田」の記号が2本の線なのは、稲を刈ったあとの切り株を表しているから。「畑」の点が2つなのは、芽が出たときの双葉から。

由来を知ると、暗記しなくても思い出せます。丸暗記より、意味で覚えるほうが確実です。

新しい記号もある

地図記号は、時代とともに増えたり消えたりします。
2002年には「老人ホーム」の記号が、2006年には「風車」「電子基準点」が追加されました。老人ホームの記号は、小学生の応募から選ばれたものです。
逆に、使われなくなって消えた記号もあります。地図は、社会の変化を映しているのです。

方位を使う

地図では上が北と決まっています。これも共通のきまりです。

北 ↑ 西 ← 地図 → 東 ↓ 南

そして、場所を説明するときに方位を使います。

△ 「学校のあっちのほう」 → どこか分からない ○ 「学校の北がわ」 → だれにでも伝わる

理科の「太陽とかげ」で方位磁針を学びました。理科と社会が同じ時期に方位を扱うのは、偶然ではありません。両方で使う大事な知識だからです。

さらに、8方位も学びます。

北 北西 | 北東 \ | / 西 ─────+───── 東 / | \ 南西 | 南東 南

4方位だけでは大まかすぎるとき、8方位を使うとより正確に伝えられます。「北東の方向に歩く」のように。

土地の使われ方を調べる

この単元の中心が、土地の使われ方を調べることです。

白地図に、色分けして書き込んでいきます。

種類色(例)特徴
住たく地黄色家が集まっている
商店・お店駅前や大通りぞい
工場むらさき広い土地、道路の近く
田・畑まとまった広さ
公共しせつ学校・役所・図書館

色分けすると、かたよりが見えてきます

そして、ここで「なぜ?」を考えます。

なぜお店は駅前に多い? → 人がたくさん通るから → お客さんが来やすいから なぜ工場は大きな道路の近く? → トラックで材料や製品を運ぶから → 交通が便利な場所が必要だから

場所には理由がある──これが社会科の見方です。ものごとには原因があり、人の都合で配置されている。

この考え方は、4年生の「わたしたちの県」、5年生の「工業生産」へとつながっていきます。

調べ方

土地の使われ方は、どうやって調べるのでしょうか。

  1. 実際に歩く 見学して記録する
  2. 地図で確かめる 市の地図、地図アプリ
  3. 写真を撮る あとで見返せる
  4. 白地図に書き込む 色分けして整理
  5. 気づいたことを話し合う なぜそうなっているか

2年生の町たんけんで学んだことが、そのまま使えます。目的を持って歩くメモを取るあとでまとめる

違うのは、まとめ方です。生活科では絵や感想でしたが、社会科では地図に整理します

そして、高いところから見ることも有効です。学校の屋上、近くの高い建物、展望台。上から見ると、土地の使われ方が一目で分かります

地図が「上から見た図」であることも、このときに実感できます。ふだん横から見ている町を、上から見る。視点を変える経験が、地図の理解を助けます。

つまずきやすいところ

その1 地図記号が覚えられない

数が多くて混乱する。
由来から覚えると定着します。「田は稲の切り株」「消防署は昔の消火道具」。意味があると忘れにくくなります。
また、全部覚える必要はありません。よく出るものから、実際の地図で見つけながら覚えていきます。

その2 上が北だと忘れる

地図を回して見てしまう。
実際に歩くときは回してもよいのですが、読むときは上が北。地図に方位記号が書いてあるので、それを確認する習慣をつけます。

その3 「なぜ」を考えない

調べて書いて終わりにしてしまう。
「どうしてここにあるんだろう?」と一言聞きます。答えが分からなくても、考えること自体に価値があります。

やってみよう

Q1 地図で上はどの方角ですか。

A 。世界共通のきまりです。

Q2 「田」の地図記号は、何を表していますか。

A 稲を刈ったあとの切り株。2本の線で表しています。

Q3 なぜお店は駅のまわりに多いのでしょうか。

A 人がたくさん通るから。お客さんが来やすい場所だからです。

Q4 家のまわりの地図を見て、地図記号を3つ見つけましょう。

A 学校・郵便局・神社などが見つかるはずです。地図アプリでも確認できます。

Q5 自分の家から学校まで、どの方角に進みますか。

A 方位磁針か地図で確かめます。「北へ進んで、途中で東に曲がる」のように答えられたら合格です。

Q5のように、方位で道順を説明する練習をしておくと役に立ちます。「まっすぐ行って右」よりも、「北へ200m、そこから東へ」のほうが正確に伝わるからです。

じつは、道案内の力は災害時にも役立ちます。避難場所がどの方角にあるか、そこへどう行くか。地図が読めて方位が分かれば、知らない道でもたどり着けます。

そして、学校で配られるハザードマップも地図です。「どこが危ないか」「どこへ逃げるか」が地図で示されています。地図が読めることは、身を守る力にもなります。この視点は、4年生の「自然災害にそなえる」でさらに深まります。

まとめ

おうちの方へ

社会科の始まりは、地図という道具の習得からです。ここでつまずくと、4年生以降の学習が苦しくなります。
おすすめは、家に地図を1枚貼っておくことです。市の地図でも日本地図でも構いません。目に入る場所にあると、自然と眺めるようになります。
また、地図アプリも活用できます。航空写真モードにすると「上から見た様子」が実感できますし、地図モードと切り替えると「記号で表す」意味も分かります。
お出かけのときに「今どっちに向かってる?」「駅は家から見てどっち?」と聞くのも効果的です。方位の感覚は、日常の会話で育ちます。