3年 社会 市のうつりかわり

市のうつりかわり ── 道具が変わると、くらしが変わる

洗濯機ができて、洗濯の時間が半日から10分になりました。その空いた時間で、人は何をするようになったか

3年生で歴史に出会う

本格的な歴史学習は6年生ですが、3年生でも「昔と今」を比べます

ただし、扱うのは自分の住む市の範囲です。国の歴史ではなく、身近な場所の変化から始めます。

調べること内容
道具洗濯・炊事・そうじ・あかり
人口増えたか減ったか
交通鉄道・道路の開通
土地の使われ方田畑が住宅地に、など
公共しせつ学校・病院・図書館ができた時期

そして、これらを年表にまとめます。年表を作るのも、この単元で学ぶ技術です。

昔の道具と今の道具

いちばん分かりやすいのが道具の変化です。

用途変わったこと
洗濯たらい・洗濯板全自動洗濯機半日 → 10分
炊事かまど・まきガス・IH・炊飯器火の番が不要に
そうじほうき・ちりとりそうじ機・ロボット力が要らなくなった
あかりろうそく・ランプ電灯・LED夜も明るく活動できる
冷やす氷を入れる氷室冷蔵庫食品が長持ち
連絡手紙・公衆電話スマートフォンすぐ連絡がとれる
アイロン炭火アイロン電気アイロン温度が調節できる

ここで、単に「便利になった」で終わらせないことが大事です。時間が空いたことで、何が変わったかを考えます。

洗濯に半日かかっていた ↓ 洗濯機ができた 洗濯が10分ですむ ↓ 空いた時間で… ・働きに出られるようになった ・子どもと過ごす時間が増えた ・別のことができるようになった

道具の変化が、人の生き方まで変えたのです。

とくに家事の時間が減ったことは、社会に大きな影響を与えました。それまで家事だけで1日が終わっていた人が、外で働けるようになった。社会の仕組みが変わるきっかけになりました。

実物にさわる

この単元では、郷土資料館や学校の展示で昔の道具にさわる機会があります。
洗濯板を実際に使ってみると、どれほど大変かが分かります。ハンカチ1枚洗うだけでも、力が要ります。
「これで家族全員分を洗っていた」と知ると、便利さのありがたみが実感として分かります。

年表を作る

変化を整理するために、年表を作ります。

【○○市のうつりかわり】 1950年ごろ 田や畑が多かった 1960年ごろ 鉄道の駅ができた 1970年ごろ 住宅が増え始めた 1980年ごろ 大きな道路が通った 1990年ごろ ショッピングセンターができた 2000年ごろ 人口がいちばん多くなった 2010年ごろ 高れい者が増えてきた 現在   …

年表を作ると、変化の順番と関係が見えてきます。

駅ができた ↓ 通勤が便利になった ↓ 住む人が増えた ↓ 家が必要になり、田畑が住宅地に変わった ↓ 人が増えたので店ができた

1つの変化が、次の変化を引き起こしている。これが歴史の見方です。

年表を作るときのポイントがあります。

とくに分野ごとに列を分けると、関係が見えやすくなります。算数で学んだ二次元の表と同じ考え方です。

人口の変化を読む

市の人口の変化は、グラフで表せます。算数の学習が生きる場面です。

人口 (万人) 15 ┤ ╱‾‾\ 10 ┤ ╱ \ 5 ┤ ╱ 0 └──┬──┬──┬──┬── 1960 1980 2000 2020年

グラフから読み取れることを考えます。

多くの市では、1960〜1990年ごろに人口が増え、その後は減少という形になります。

増えた理由は、交通が便利になり、住宅が増えたから。減った理由は、子どもが生まれる数が減り、高れい者が増えたから

これは少子高れい化という、日本全体の課題です。3年生では言葉を覚える必要はありませんが、「昔より子どもが少ない」という事実には気づけます。

実際、多くの地域で学校の統合が進んでいます。「昔は1学年5クラスあった」という話を聞くと、変化を実感できます。

これからの市を考える

過去と現在を調べたら、最後に未来を考えます。

市が抱えている課題を挙げてみます。

課題取り組みの例
人口が減っている子育て支援、移住の呼びかけ
高れい者が増えたバス路線、福祉しせつ、見守り
商店街が元気がないイベント、新しい店の誘致
ごみが増えた分別、リサイクル
災害への備えハザードマップ、避難訓練

そして、「自分たちに何ができるか」を考えます。

3年生に大きなことはできません。でも、できることはあります。

この「自分ごととして考える」姿勢が、社会科の目標です。知識を覚えるだけでなく、社会の一員として考える

4年生では県、5年生では日本、6年生では世界と歴史へ広がります。3年生の「自分の市」が、その出発点です。

つまずきやすいところ

その1 昔の道具を「不便」で片づける

「昔は大変だったね」で終わってしまう。
「そのぶん何ができなかった?」と問います。洗濯に半日かかれば、ほかのことはできません。時間の使い方が変わったことに気づかせます。

その2 年表が並べただけになる

出来事を書き並べて終わり。
「これとこれ、関係ある?」と聞きます。駅ができた→人が増えた。つながりを見つけることが年表の価値です。

その3 自分と関係ないと感じる

「昔の話」として遠く感じてしまう。
家族に聞くのがいちばんです。おじいちゃん・おばあちゃんの子ども時代の話は、教科書より生き生きしています。身近な人の話だと、実感がわきます。

やってみよう

Q1 洗濯機ができて、洗濯の時間はどう変わりましたか。

A 半日から10分ほどに。その空いた時間で、ほかのことができるようになりました。

Q2 駅ができると、なぜ人口が増えるのですか。

A 通勤・通学が便利になるから。住みたい人が増え、住宅が建ちます。

Q3 おじいちゃん・おばあちゃんに、子どものころのくらしを聞いてみましょう。

A 道具、遊び、学校、町のようす。今と違うことがたくさん出てきます。

Q4 自分の住む市の、これからの課題を1つ挙げましょう。

A 人口減少、高れい化、商店街、災害への備えなど。自分にできることまで考えられたら立派です。

まとめ

おうちの方へ

この単元で最も効果があるのは、祖父母への聞き取りです。教科書の写真より、身近な人の実体験のほうが子どもの心に残ります。
「小学生のころ、家に何があった?」「どんな遊びをしてた?」「学校はどうだった?」──話す側にとっても、うれしい時間になります。
また、古いアルバムがあれば見せてあげてください。町の風景が写っていれば、それだけで貴重な資料です。
郷土資料館は、多くの市で無料または安価に見学できます。昔の道具に実際にさわれる場所もあります。休日の外出先の候補にしてみてください。
そして「昔は不便だった」で終わらせず、「そのぶん何ができなかったか」まで話してみてください。時間の使い方の変化に気づくと、学習が深まります。