3年 社会 調べたことを新聞にまとめる

調べたことを新聞にまとめる ── 見出しは、書き終わってから決める

スーパーマーケットや工場を見学して、メモもたくさん取った。それなのに、新聞用紙を配られたとたんに手が止まる。3年生の社会科新聞では、とてもよくある光景です。原因は、書く力が足りないことではありません。いちばん決めにくいものを、いちばん先に決めようとしているだけです。多くの子が最初に書こうとするのは、まん中の大きな見出し。ところが見出しは、中身がぜんぶそろってからでないと決まらないものなのです。

新聞は「作文を大きくしたもの」ではない

はじめに、新聞と作文のちがいをはっきりさせておきます。ここがあいまいなままだと、どれだけ書いても新聞の形になりません。

作文は、はじめから終わりまで一本の道です。上から順に読んでもらうことを前提にして書きます。ところが新聞は、読む人がどこから読んでもかまいません。ざっと目を通して「おもしろそう」と思ったところから読みはじめます。つまり新聞は、短い記事をいくつか並べたものです。

だから新聞づくりでやることは、「長い文章を書く」ことではなく、「短い記事を何本か書いて、置く場所を決める」ことになります。新聞を読もう(4年・国語)に出てくる見出し・リード文・本文というつくりは、読む側から見た同じしくみです。読むときに役立つ形は、書くときにもそのまま使えます。

【作文と新聞のちがい】  作文         新聞  ┌──────┐   ┌───┬───┐  │      │   │記事1 │記事2 │  │ ひと続き │   ├───┴───┤  │      │   │  記事3  │  └──────┘   └───────┘  上から順に読む    どこから読んでもよい

この形のちがいが分かると、なぜ最初に手が止まるのかも見えてきます。作文なら「はじめ」から書きはじめればよいのですが、新聞には「はじめ」がありません。だから、書きはじめる場所を自分で決めなければならないのです。

見出しを先に決めてはいけない理由

新聞用紙を前にして、多くの子がまず大きな見出しを書こうとします。ここが最大のつまずきです。

見出しというのは、その記事でいちばん言いたいことを、十数文字に縮めたものです。ということは、記事の中身が決まっていないかぎり、どうやっても決まりません。中身のない見出しを考えようとすると、「スーパーマーケット見学」「工場のひみつ」のような、調べる前でも書けてしまう言葉しか出てきません。

調べる前でも書ける見出しは、見出しとしてはたらいていません。読んだ人が「へえ、そうなんだ」と思うところがないからです。反対に、記事を書き終わってから見出しを考えると、材料はもう手元にあります。書いた文章の中から、いちばんおどろいた一文を選んで短くするだけで、見出しはできあがります。

先に見出しを決めると後から見出しを決めると
「スーパーマーケット見学」「野さいは朝5時に店にとどく」
「工場のひみつ」「同じ味にするため、毎日味見をする人がいる」
「火事からくらしを守る」「119番から出発まで、たった1分」

右の列は、どれも調べたあとでなければ書けません。だからこそ、読んだ人が続きを読みたくなります。見出しは、新聞のさいごの仕事だと覚えてください。

記事は3本にしぼる

次に決めるのは、記事を何本のせるかです。3年生の社会科新聞なら、3本がちょうどよい数です。

見学に行くと、知りたいことが10個も20個も出てきます。それを全部のせようとすると、一つひとつが2〜3行になり、どれも「見ました」で終わってしまいます。反対に1本だけだと、作文と変わらなくなります。3本という数には、はっきりした理由があります。

①いちばん大きな記事(トップ記事)

いちばんおどろいたこと、いちばん人に伝えたいことを1本。新聞用紙の上のほう、いちばん広い場所に置きます。

②二番目の記事

トップとはちがう角度の話を1本。トップが「品物」の話なら、こちらは「はたらく人」の話、というように内容をずらすと、新聞全体の中身が広がります。

③小さな記事(コラム・インタビュー)

見学先の人に聞いた一言、自分が感じたこと、これから調べたいことなど、短いもの1本。ここは長さが足りなくなったときの調整にも使えます。

3本にしぼるということは、のせないものを決めるということでもあります。集めたメモの半分以上は使いません。これは失敗ではありません。見学のしかた(3年)で、行く前に質問を3つ決めておくとよいと書いたのは、まさにこのためです。質問が3つ決まっていれば、記事も自然に3本になります。

書く順番 ── 手が止まらない5つの手順

ここからが実際の作業です。この順番どおりに進めれば、途中で止まりません。

じゅんばんやること理由
①メモを見返して、伝えたいことを3つ選ぶ先に中身を決めないと、場所も見出しも決まらない
②べつの紙(下書き用紙)に、3本の記事を1本ずつ書く新聞用紙に直接書くと、書き直せず途中で止まる
③書けた3本の長さを見て、新聞用紙のどこに置くか決める長さが分かってから割りつけると、余白も不足も出ない
④新聞用紙に清書し、図や絵を入れる清書は最後。書き写すだけの作業にしておく
⑤記事ごとの見出しと、新聞全体の題名をつける中身がそろってはじめて、短くまとめられる

ポイントは②です。清書用の紙から、いったん手を離す。新聞用紙はマス目も場所も決まっていて、一度書くと直せません。だから「まちがえたらどうしよう」という気持ちが強くなり、書き出せなくなります。ふつうのノートやわら半紙に下書きしておけば、いくらでも書き直せます。

【下書き用紙のつかい方】  記事1(トップ)     目安 150字くらい   ┗ いつ・どこで・何を見た → 分かったこと → おどろいた点  記事2          目安 100字くらい   ┗ トップとちがう角度で  記事3(コラム)     目安 60字くらい   ┗ 聞いた一言・自分の感想・これから調べたいこと  ※ここまで書けてから、はじめて新聞用紙をひらく

1本の記事の中の書き方

記事1本の中にも、書く順番があります。新聞の記事は大事なことを先に書くのが決まりです。

作文では、朝おきたところから順に書いて、さいごに「たのしかったです」と結びます。新聞ではこれを逆にします。読む人が途中でやめても、いちばん大事なことだけは伝わるようにするためです。

3年生なら、次の3文の順で組み立てると形になります。

文書くこと例
1文目いつ・どこで・何を見たか10月3日、〇〇スーパーを見学しました。
2文目分かった事実(数字があれば入れる)野さいは毎朝5時にトラックでとどき、7時までに全部ならべられます。
3文目それについて自分が思ったこと店が開く前に、もう半日ぶんの仕事が終わっていておどろきました。

2文目に数字が入っているかどうかで、記事の強さがまるでちがってきます。「たくさんとどきます」よりも「毎朝5時にとどきます」のほうが、読んだ人の頭に絵が浮かびます。見学中のメモに数字を書き取っておくのは、このためです。店ではたらく人(3年)で見たならべ方の工夫も、「〇種類」「〇段目」と数えて書けば、そのまま記事になります。

そして3文目、自分が思ったことはかならず入れます。ここが無いと、調べたことを写しただけの紙になってしまいます。事実と自分の考えは、続けて書いてかまいませんが、頭の中では分けておきます。

図や写真には、かならず説明をつける

新聞に絵や図、写真を入れると、ぐっと見やすくなります。ただし、入れ方に一つだけ決まりがあります。

入れたものには、かならず短い説明(キャプション)をつけることです。「トラック」ではなく「毎朝5時にとどくトラック」、「はたらく人」ではなく「一つずつ手で向きをそろえる店員さん」と書きます。説明のない絵は、かざりでしかありません。説明が1行つくと、絵が記事の一部になります。

グラフを入れるときは、表とぼうグラフ(3年・算数)で習った、1目もりをいくつにするかという話がそのまま関わってきます。目もりの取り方しだいで、同じ数字でも差が大きくも小さくも見えてしまうからです。社会科新聞では、見た人をおどろかせるためではなく、本当のことが伝わるように目もりを決めます。

また、パンフレットやインターネットの写真をそのまま貼るときは、どこから持ってきたのかを小さく書きそえます。だれかが作ったものを使わせてもらう、という気持ちを形にするのが、この一行です。

つまずきやすいところ

①下書きせずに新聞用紙に書きはじめる

いちばん多い失敗です。書き直せない紙にいきなり書くと、一文字目が出てきません。書けたとしても、途中で場所が足りなくなり、字がどんどん小さくなっていきます。下書き用紙を1枚はさむだけで、この問題はほとんど消えます。

②見学したことを全部のせようとする

メモをぜんぶ使おうとすると、一つひとつが短くなり、どれも印象に残りません。3本にしぼり、残りは思い切って使わないと決めます。使わなかったメモは捨てずに取っておけば、次の学習や発表のときに役立ちます。

③「〜と思いました」だけで終わる

感想は大事ですが、感想だけの記事は新聞になりません。事実が先、感想は後。「何を見て、何が分かって、だからどう思ったか」の順に並んでいるかを確かめます。

④さいごに読み直さない

清書が終わると、もう終わった気持ちになります。ですが、ここで一度声に出して読んでみてください。数字の書きまちがい、店の名前のまちがい、聞いた言葉のうろ覚えは、読み返せば気づけます。見学先の人の名前や言葉をまちがえたまま貼り出すのは、いちばん失礼なことです。

やってみよう

Q1 新聞の見出しは、いつ決めるのがよい?

A 記事を書き終わってから。中身が決まらないと、いちばん言いたいことを短くできない。

Q2 3年生の社会科新聞で、記事は何本くらいがよい?

A 3本。大きい記事1本、ちがう角度の記事1本、短いコラム1本。

Q3 新聞用紙に書く前に、必ずやっておくことは?

A べつの紙に下書きする。長さが分かってから場所を決めると、余白も字づまりも起きない。

Q4 1本の記事は、どんな順番で書く?

A いつ・どこで何を見たか → 分かった事実 → 自分が思ったこと。大事なことを先に書く。

Q5 「野さいがたくさんとどきます」を、もっとよい記事の文にするには?

A 数字を入れる。「毎朝5時に、トラック2台ぶんの野さいがとどきます」のように書くと、読む人に様子が伝わる。

まとめ

おうちの方へ

社会科新聞は、3年生がはじめて出会う「調べたことを人に見せる形にまとめる」課題です。手が止まっているお子さんを見ると、つい「何を書きたいの?」と聞きたくなりますが、この問いは実はいちばん難しいところを直接たずねてしまっています。かわりに「見に行って、いちばんびっくりしたことは何だった?」と聞いてみてください。びっくりしたことは、そのままトップ記事になります。新聞用紙をいきなり広げているようでしたら、ふつうのノートを1冊わたして「まずここに3つ書いてみたら」と声をかけるだけで、進み方が変わります。書き上がったら、内容の正しさより先に、声に出して読ませてあげてください。読みながら本人が言いよどんだところが、たいてい直したほうがよい場所です。「見学のしかた(3年)」とあわせて読むと、行く前の準備から帰ってからのまとめまでが一続きになります。