「学校のまわり」を絵で描いたら、友達の絵と全然ちがいました。どうすれば、みんなに同じように伝わる地図が作れるでしょうか。
「学校のまわり」では、実際に町を歩いて絵地図を作りました。お店、公園、川、道路。見たものを絵で描きました。
でも、絵地図には困った点があります。人によって絵のうまさがちがうのです。同じ消防署を描いても、大きく描く人、小さく描く人、色も形もバラバラ。
この「みんなで決めた記号」が地図記号です。市役所の仕事で「みんなのために共通のルールを作る」と学びましたが、地図記号も同じ発想です。
地図記号の多くは、その場所にあった昔の道具や建物の形からできています。由来を知ると、覚えやすくなります。
| 記号 | 意味 | 由来 |
|---|---|---|
| 文 | 小・中学校 | 「文」の字=学問(文字の「文」から) |
| 田 | 田(水田) | 稲をかりとったあとの切りかぶの形 |
| Y | 消防署 | 昔の消防道具「さすまた」の形 |
| ⚹ | 警察署 | 警棒を交差させた形 |
| 〒 | 郵便局 | 逓信省(ていしんしょう)の「テ」から |
| 卍 | 寺 | お寺の仏教のしるし |
| 鳥居 | 神社 | 神社の入り口にある鳥居の形 |
| H | 病院 | 建物のマークをそのまま図案化 |
とくに「文」の記号は間違えやすいところです。「文房具の文?」と思ってしまいますが、正しくは「学問の文」という意味です。
「田」の記号も面白い由来があります。稲をかりとったあとに残る、切りかぶがならんだ様子を、そのまま記号にしています。実際の田んぼを見たことがあると、すぐに納得できます。
地図には、もう1つ大事な決まりがあります。「上が北」というルールです。
地図には、たいてい方位記号(矢印に「北」と書いてあるもの)がついています。これがないと、どちらが北か分かりません。
実際に外で方角を知りたいときは、方位じしんを使います。じしゃくの針が、いつも南北を指す性質を利用した道具です。
①水平に持つ ②針が止まるまで待つ ③赤い針が指す方向が「北」
まわりに鉄や磁石があると、正しく指さないことがあります。
「右・左」は、自分の向きによって変わってしまいます。でも「東・西・南・北」は、誰から見ても同じ方向です。だから地図では方位を使うのです。
市全体を、そのままの大きさで紙に描くことはできません。そこで使うのが縮尺(しゅくしゃく)です。
地図の下のほうに、線と数字で「縮尺のものさし」がついていることがあります。これを使うと、地図の上の長さから、実際のきょりが分かります。
例えば、地図上で2cmはなれた学校と公園が、縮尺のものさしで「2cm=500m」と分かれば、実際は500mはなれていると計算できます。
広い範囲を見せたいときは、より大きく縮める(小さい縮尺)。細かい場所を見せたいときは、あまり縮めない(大きい縮尺)。目的によって縮尺を変えるのが地図作りの工夫です。
3年生の学習は、絵で描いた地図から、記号で表す地図(白地図)へと進んでいきます。
| 絵地図 | 白地図+地図記号 | |
|---|---|---|
| 描き方 | 見たものをそのまま絵に | 決まった記号で表す |
| 良い点 | 楽しい、親しみやすい | 誰が見ても同じ意味に伝わる |
| 弱い点 | 人によって形がバラバラ | 記号を覚えないと読めない |
白地図に地図記号で市の様子を表すと、広い範囲の情報を、コンパクトに正確に伝えられます。これは4年生の「都道府県の学習」や、5年生の「日本の国土」でも、ずっと使い続ける読み方です。
地図記号は、いわば「地図の共通言語」です。日本中どこの地図を見ても、同じ記号は同じ意味を表します。だから、行ったことのない町の地図でも、記号を知っていれば読み取れるのです。
もう1つ大事なのが「凡例(はんれい)」です。地図のすみに、その地図で使われている記号と意味の一覧がのっています。知らない記号が出てきたときは、まず凡例を確認する習慣をつけましょう。
また、地図記号は時代とともに新しく増えることもあります。たとえば「老人ホーム」の記号は近年になって決められたものです。高齢化が進んで、地図に表す必要が高まったからです。社会の変化が、地図記号にも表れているのです。
地図記号を読めるようになると、いろいろな場面で役立ちます。
とくに防災の場面では、地図記号を読める力が実際に役立ちます。ハザードマップには、避難場所や危険な区域が記号や色分けで示されています。ふだんから地図に親しんでおくことは、いざというときの安全にもつながります。
「文」を「文房具」、「Y」を「Yの形の建物」と勝手に結びつけてしまう。
由来を知ってから覚えると間違いにくくなります。田の記号は「かりとった稲の切りかぶ」、消防署のYは「昔の消防道具」です。
「学校から見て右が東」のように、自分の体の向きで方角を判断してしまう。
地図は必ず上が北という決まりを先に確認します。方位記号がついていれば、それを基準にします。
「2cm=500m」と言われても、実感がわかない。
教室の縦の長さなど、身近な長さと比べてみると分かりやすくなります。「歩いて何分くらいかな」と時間に置きかえるのも効果的です。
Q1 地図記号を、みんなで同じ形に決めておく理由は何ですか。
A 誰が描いても、誰が見ても同じ意味に伝わるようにするため。
Q2 消防署の地図記号「Y」は、何をもとにした形ですか。
A 昔の消防道具「さすまた」の形。
Q3 地図で「右・左」ではなく「東西南北」を使うのはなぜですか。
A 誰から見ても同じ方向を表すから。右・左は向きによって変わってしまう。
Q4 地図上で2cmの長さが「1000m」を表すとき、これは何を使って読み取りますか。
A 縮尺(縮尺のものさし)。
この単元は、実際の地図を一緒に見ることでぐっと理解が深まります。市販の道路地図や、スマートフォンの地図アプリでも、地図記号の設定をオンにできるものがあります。
お出かけの際に「これは何の記号だと思う?」とクイズにしてみるのもおすすめです。消防署・郵便局・神社など、身近な建物の記号から始めると興味を持ちやすくなります。
方位じしんは100円ショップなどでも手に入ります。実際に持って、家の中で「北はどっち?」と試してみると、方位の感覚がつかみやすくなります。
縮尺の計算は、教室や自宅の実際の長さと地図上の長さを比べる体験が理解の助けになります。