3年 社会 火事からくらしを守る

火事からくらしを守る ── 119番から到着まで、何が起きているか

119番をかけると、消防署だけが動くわけではありません。町じゅうが連携して動き始めます。

119番をかけたら

火事を見つけて119番に電話する。すると、何が起きるでしょうか。

119番通報 ↓ 【通信指令室】が受ける ↓ ├→ 消防署へ出動命令 ├→ 警察署へ連絡(交通整理) ├→ 病院へ連絡(けが人の受け入れ) ├→ 電力会社へ連絡(電気を止める) ├→ ガス会社へ連絡(ガスを止める) └→ 水道局へ連絡(水の確保)

119番の電話は、消防署ではなく通信指令室という場所につながります。ここが司令塔です。

そして、消防車を出すだけでなく、同時にいろいろな場所へ連絡します。

この仕組みを知ると、1本の電話で町じゅうが動くことが分かります。3年生が驚くポイントです。

通報のしかた

いざというとき、正しく通報できるでしょうか。聞かれることは決まっています

聞かれること答え方
火事ですか、救急ですか「火事です」
場所はどこですか住所、または近くの目印
何が燃えていますか「家です」「車です」
けが人はいますか「います」「わかりません」
あなたの名前と電話番号名前と番号を伝える

いちばん大事なのは「場所」です。場所が分からないと、消防車は行けません。

だから、住所を覚えておくことが大切です。自分の家の住所は言えるでしょうか。

住所が分からないときは、近くの目印を伝えます。「○○小学校の裏」「△△コンビニの向かい」。目印があれば見つけられます。

落ち着いて、ゆっくり

火事を見ると、あわててしまいます。でも早口で言っても伝わりません
指令室の人は、聞き方を訓練しています。聞かれたことに、ゆっくり答えれば大丈夫です。
また、電話を切らないことも大事です。追加の質問があるかもしれません。「切っていいですよ」と言われるまで待ちます。

消防署の中

消防署を見学すると、いろいろな工夫が見つかります。

もの・場所工夫
消防車の向きすぐ出られるよう前向きに駐車
防火服の置き方すぐ着られるよう、ブーツに服を重ねて置く
仮眠室署内にある。夜も待機している
訓練塔毎日訓練する高い建物
指令が入る設備署内すべてに同時に流れる

とくに防火服の置き方には驚きます。ブーツを床に置き、その上にズボンをかぶせて広げてある。足を入れてズボンを引き上げるだけで、数十秒で着られるようにしてあります。

なぜここまでするのでしょうか。1秒でも早く現場に着くためです。

火事は、時間との勝負です。燃え広がる前に消せるかどうかで、被害がまったく違います。目標は通報から到着まで約5分とされています。

そして、消防署の人は24時間交代で働いています。夜中でも、休日でも、必ず誰かが待機しています。だから、いつ119番しても出動できるのです。

町の中の消防設備

火事に備えて、町の中にはいろいろな設備があります。探すと意外とたくさんあります

設備場所はたらき
消火栓道路のわき、地下消防車が水を取る
防火水そう公園や空き地の地下水道が止まっても水がある
消火器建物の中、通路初期消火に使う
火災報知器建物の天井けむりを感知して知らせる
スプリンクラー天井熱で自動的に水をまく
避難はしごベランダ逃げるための道
非常口の表示建物内逃げる方向を示す(緑色)

町たんけんのときに、これらを探して地図に書き込む活動をします。地図記号や方位を使う、前の単元とのつながりです。

そして、数と配置にも意味があります。消火栓は、どこで火事が起きてもホースが届く間かくで設置されています。だいたい100〜150mおきです。

また、火災報知器は法律で義務になっています。2006年から、すべての家に設置が必要になりました。火事の被害を減らすため、国が決めたきまりです。

「家に火災報知器はある?」と聞いてみると、多くの子が「知らない」と答えます。調べてみると、確かにある。身のまわりの安全設備に気づくきっかけになります。

消防団という仕組み

消防署のほかに、消防団という組織があります。

消防署(消防士)消防団
身分市の職員(専門職)ふだんは別の仕事をしている
いつ活動24時間交代で常に火事のときに集まる
人数限られている地域に多数
強み訓練・設備地域をよく知っている

消防団の人は、ふだんは会社員や商店主、農家として働いています。火事があると、仕事を中断して駆けつけます。

なぜこんな仕組みがあるのでしょうか。消防署だけでは足りないからです。

大きな火事や災害では、消防士だけでは人手が足りません。また、山間部などでは消防署が遠く、到着に時間がかかります。その地域に住んでいる人が、すぐ動けることに価値があります。

そして、消防団は地域をよく知っています。どこに水があるか、どの家にお年寄りがいるか。地元の人だから分かることがあります。

この「地域の人が地域を守る」という考え方は、4年生の「自然災害にそなえる」でさらに深まります。

火事を防ぐ

消すことも大事ですが、起こさないことがもっと大事です。

火事の原因を調べると、上位はだいたい決まっています。

原因防ぎ方
たばこ寝たばこをしない、確実に消す
コンロ火をつけたまま離れない
電気(コード・コンセント)ほこりをためない、たこ足配線をしない
放火家のまわりに燃えるものを置かない
ストーブ近くに燃えるものを置かない

注目してほしいのは、ほとんどが「不注意」だということです。特別なことではなく、日常の中に原因があります。

とくにコンセントのほこりは意外な原因です。ほこりがたまって湿気を吸うと、そこに電気が流れて発火します。トラッキング現象といいます。

そして、放火が原因の上位に入っていることも重要です。家のまわりにゴミや段ボールを置かない──これは自分でできる予防です。

3年生では、「自分にもできることがある」と気づくことが大事です。火事は消防士だけの問題ではありません。

つまずきやすいところ

その1 119番の相手を消防署だと思う

実際は通信指令室につながります。そこから各所へ指令が飛びます。
この仕組みが分かると、「1本の電話で町が動く」という規模の大きさが理解できます。

その2 自分の住所が言えない

意外と多いです。
家庭で確認しておきます。市・町・番地まで言えるか。緊急時に必要な情報です。

その3 工夫を「便利だから」で片づける

防火服の置き方を「便利だね」で終わってしまう。
「なぜそこまでするの?」と問います。答えは「1秒でも早く着くため」。目的とつなげて考えるのが社会科です。

やってみよう

Q1 119番の電話は、どこにつながりますか。

A 通信指令室。そこから消防署・警察・病院などへ連絡が行きます。

Q2 通報のとき、いちばん大事なことは何ですか。

A 場所を正しく伝えること。分からなければ近くの目印を伝えます。

Q3 自分の家の住所を言えますか。

A 市・町・番地まで。言えなければ、今日おぼえましょう。

Q4 家や通学路で、消防に関する設備を3つ見つけましょう。

A 消火栓、消火器、火災報知器、防火水そう、非常口の表示など。

まとめ

おうちの方へ

この単元をきっかけに、家庭で防災の確認をしてみてください。
まず住所を言えるか。これは緊急時に本当に必要です。次に火災報知器が付いているか、電池は切れていないか。10年で交換が必要とされています。
また、消火器の場所や避難経路を家族で確認しておくとよいでしょう。「火事のとき、どこに集まる?」を決めておくだけでも違います。
お子さんが消防署見学から帰ってきたら、「何がいちばん驚いた?」と聞いてみてください。防火服の置き方や、出動までの時間など、印象に残ったことを話してくれるはずです。