野菜を育てる、製品を作る。それだけでは私たちの手には届きません。その先に何があるのでしょうか。
「店ではたらく人」で、商品には産地があると学びました。
キャベツは群馬県、たまねぎは北海道。では、その産地では何が起きているのか。それを調べるのがこの単元です。
この流れを追うと、1つの商品にたくさんの人が関わっていることが分かります。
農業には季節のリズムがあります。1年を通した仕事の流れがあります。
| 時期 | 仕事 |
|---|---|
| 冬〜春 | 土づくり、たねまき、なえづくり |
| 春〜夏 | 植えつけ、水やり、草取り、消毒 |
| 夏〜秋 | 収かく、選別、出荷 |
| 秋〜冬 | 片づけ、来年の準備、機械の整備 |
いちばん見落とされがちなのが「土づくり」です。作物を植える前に、何か月もかけて土を準備します。
よい土でないと、よい作物は育ちません。肥料を混ぜ、耕し、休ませる。目立たない仕事ですが、これが収かくを決めます。
そして、農家の仕事は毎日続きます。水やり、草取り、虫の確認。1日休むと、作物に影響が出ます。
2年生の生活科で野菜を育てた経験が、ここで生きます。あのときの世話を、何百倍の規模でやっているのが農家です。
農家には、たくさんの工夫があります。なぜその工夫をするのかを考えるのがこの単元です。
| 工夫 | 目的 |
|---|---|
| ビニールハウス | 寒い時期でも育てられる、雨風から守る |
| 時期をずらして植える | 収かく時期を分散、長く出荷できる |
| 品種を選ぶ | 病気に強い、おいしい、育てやすい |
| 農薬を減らす | 安全な作物を求める人が増えたから |
| 機械を使う | 人手不足、作業が楽になる |
| 選別する | 大きさをそろえて売りやすくする |
とくにビニールハウスは重要です。これによって季節に関係なく作物が作れるようになりました。
冬にトマトやきゅうりが食べられるのは、ハウス栽培のおかげです。ただし、冬に暖房を使うので、燃料代がかかります。だから冬の野菜は高くなります。
そして「時期をずらす」工夫も面白いところです。同じ野菜を、少しずつ日をずらして植える。すると収かくも少しずつずれて、長い期間出荷できます。
一度に全部できてしまうと、売り切れません。計画的に作るのも農家の仕事です。
収かくしたら終わりではありません。ここからが大変です。
③選別が意外と大変な作業です。大きさをそろえないと、箱に入らないし、値段もつけられません。
そして、ここで問題も起きます。形が悪い野菜は売れないのです。味は同じでも、曲がったきゅうりや小さすぎるトマトは、店に並びません。
これを規格外野菜といい、捨てられることもあります。近年は「もったいない」として、安く売ったり加工品にしたりする動きが広がっています。
また、収かくは早朝が基本です。涼しいうちに取ると、野菜が長持ちするからです。農家の朝は、とても早いのです。
野菜は取ったときから鮮度が落ちていきます。だから、時間との戦いです。
・朝取りして、その日のうちに出荷
・保冷トラックで運ぶ
・産地直送で市場を通さない
「朝取り野菜」と書いてあるのは、この工夫の結果です。
工場も、地域によって作っているものが違います。
| 工場の種類 | 作るもの | その土地にある理由 |
|---|---|---|
| 食品工場 | パン、お菓子、飲み物 | 原料の産地が近い、消費地が近い |
| 伝統工芸 | 焼き物、織物、漆器 | 昔からの技術、原料がある |
| 機械工場 | 部品、機械 | 交通が便利、関連工場が近い |
工場も、そこにある理由があります。原料が近い、運びやすい、技術がある。偶然その場所にあるわけではありません。
工場の工夫も、農家と似ています。
とくに衛生管理は、食品工場の見学でいちばん印象に残るところです。エアシャワーでほこりを落とし、白い服に着替え、手を何度も洗う。ここまでやるのかと驚きます。
なぜでしょうか。食べ物だからです。1つでも問題があれば、多くの人の健康にかかわります。
最近よく聞く言葉に地産地消(ちさんちしょう)があります。
この考え方には、いくつかの良さがあります。
| 良い点 | 説明 |
|---|---|
| 新せん | 運ぶ距離が短いので、すぐ届く |
| 安心 | 誰が作ったか分かる |
| 環境によい | 運ぶための燃料が少なくてすむ |
| 地域が元気に | 地元の農家が続けられる |
学校給食でも、地元の野菜を使う取り組みが広がっています。給食だよりに「今日のにんじんは○○市産です」と書いてあることがあります。
ただし、すべてを地産地消にはできません。バナナやコーヒーは日本ではほとんど作れません。冬に採れない野菜もあります。
だから、地元のものと遠くのもの、両方を使い分けるのが現実です。
この視点は、5年生の「これからの食料生産」で本格的に学びます。食料自給率、輸入、地産地消──日本の食を考える大きなテーマです。
育てる・作る部分しか見えていない。
その後の流れまで追います。選別・箱づめ・輸送・販売。手元に届くまでが仕事です。
「ビニールハウスがあった」で終わる。
「なぜ使うの?」と問います。寒さから守る、雨風を防ぐ、時期をずらす。目的とつなげます。
遠い世界の話だと感じてしまう。
給食や食卓とつなげる。「今日の給食のキャベツは、どこで誰が作ったんだろう」。自分が食べているものだと気づくと、興味がわきます。
Q1 農家が土づくりに時間をかけるのはなぜですか。
A よい土でないと、よい作物が育たないから。目立たないが大事な仕事です。
Q2 ビニールハウスを使うと、どんなよいことがありますか。
A 寒い時期でも育てられる、雨風から守れる、収かく時期を調整できる。
Q3 なぜ収かくは早朝にするのですか。
A 涼しいうちに取ると、野菜が長持ちするから。
Q4 地産地消の良い点を2つ挙げましょう。
A 新せん、安心、運ぶ燃料が少ない、地域の農家が続けられる、など。
この単元は、食卓との結びつきが強い内容です。食事のときに「これはどこで作られたと思う?」と聞くだけで、学習の復習になります。
直売所や道の駅に行く機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。生産者の名前が書かれた野菜を見ると、「誰かが作っている」という実感がわきます。
また、規格外野菜の話も伝える価値があります。「曲がったきゅうりは味が同じなのに売れない」──もったいないという感覚と、社会の仕組みの両方を考えるきっかけになります。
給食だよりに産地が書いてあれば、地図で確認してみてください。地理の学習にもつながります。