3年 社会 市役所の仕事

市役所の仕事 ── 地いきの願いをかなえる場所

道路の穴を直してほしい。公園がほしい。ごみを集めてほしい。だれかの「こまった」や「こうしてほしい」は、どこへ届くのでしょうか。

前の単元とのつながり

「火事からくらしを守る」「事故や事件からくらしを守る」で、消防署や警察署のはたらきを学びました。

実は、消防署も警察署も、そして学校や図書館も、市の仕事とつながっています。それらをまとめて動かしている場所が、市役所です。

【消防署】火事を消す 【警察署】事件をふせぐ 【学校】 子どもが学ぶ 【図書館】本を読む・借りる これらをまとめて計画し、お金を用意しているのが ↓ 市役所(市の仕事の中心)

この単元では、市役所がどんな仕事をしているのか、そしてそのお金はどこから来るのかを調べます。

市役所ではたらく人

市役所は、1つの大きな建物のようですが、中はたくさんの課(か)に分かれています。

課の例おもな仕事
市民課住民票、戸籍、引っこしの手続き
道路課道路の整備、穴の修理、信号の要望
ごみ対策課ごみの収集計画、リサイクルのしくみ
子育て支援課保育園、児童館、子育て相談
福祉課お年寄りや体の不自由な人への支援
教育委員会学校の運営、教科書の手配

1つの課だけでは、まちは動きません。たくさんの課がそれぞれの役目を果たして、はじめて私たちの生活が成り立っています。

たとえば、あなたが引っこしをすると、市民課で手続きをします。すると、その情報が学校や子育て支援課にも伝わり、転校や保育園の手続きがスムーズに進みます。課はつながっているのです。

公共施設(こうきょうしせつ)というしくみ

図書館、公園、体育館、公民館。これらはだれでも使える施設で、公共施設と呼ばれます。

施設使えること
図書館本を読む、借りる、しらべものをする
公園遊ぶ、運動する、休む
体育館スポーツをする、大会を開く
公民館地いきの集まり、講座、お祭りの準備

ふしぎに思ったことはありませんか。図書館で本を借りても、お金はかかりません。公園で遊んでも、お金はかかりません。だれが、この費用を出しているのでしょうか

答えは、税金(ぜいきん)です。市民みんなが少しずつ出したお金が、公共施設を作り、動かしています。だから「みんなのもの」として、だれでも使えるのです。

お願いが仕事になるまで

「歩道橋がほしい」「公園にトイレがほしい」。こうした住民の願いは、どうやって形になるのでしょうか。

  1. 気づく 住民が「こまった」「こうしてほしい」と感じる
  2. 伝える 市役所に相談する、市議会議員に話す、町内会で話し合う
  3. 話し合う 市議会で必要かどうか、お金があるかを話し合う
  4. 予算をつくる 実行するためのお金の計画を立てる
  5. 実行する 工事や新しいサービスが始まる

ここで大事なのが③の市議会です。市議会議員は、住民が選挙で選んだ代表です。住民の願いを聞き、本当に必要か、お金は足りるかを話し合います。

すべての願いがすぐに実現するわけではありません。お金には限りがあるので、優先じゅん位を決める必要があります。だから、時間がかかることもあります。

身近な例で考える

もし通学路に「危ない交差点」があったとします。
①保護者や学校が気づく→②市役所や市議会議員に伝える→③本当に信号や歩道橋が必要か話し合う→④予算がつけば工事が始まる。
ニュースで「新しい信号機ができました」と聞いたら、その裏にはこの流れがあったのかもしれません。

税金の使われ方

市役所の仕事は、すべて税金によって支えられています。税金がどう使われるかを見てみましょう。

使いみち具体例
教育学校の建物、教科書、給食
安全消防署、警察との協力、防災
くらしごみ収集、道路、水道
福祉お年寄りや子育て家庭への支援
文化・スポーツ図書館、体育館、お祭りの支援

税金は、働いている大人買い物をするときなど、いろいろな形で集められています。そして、集めたお金を市役所が計画的に使い、まちを動かしています。

この「税金と使いみち」の関係は、6年生の「くらしと税・社会保障」でさらにくわしく学びます。今は「みんなのお金で、みんなのための仕事をしている」というイメージをつかめば十分です。

市役所と他の仕事とのちがい

お店ではたらく人、農家、工場の人。これまでの単元で学んだ仕事とは、市役所の仕事には大きなちがいがあります。

お店・農家・工場市役所
目的ものを売って利益を得る住民の生活を支える
お金売り上げ税金
相手お客さん市に住むすべての人

お店は、買ってくれる人がいなければ続けられません。しかし市役所は、利益を出すためではなく、住民みんなのくらしを支えるために仕事をしています。

だからこそ、お金もうけが目的ではない道路の整備や、だれでも無料で使える図書館のような仕組みが成り立つのです。

もう1つのちがいは、「選べるかどうか」です。お店は、気に入らなければ別のお店を選ぶことができます。しかし、市役所は住んでいる市に1つしかありません。だからこそ、だれに対しても同じように、公平にサービスを提供することが強く求められます。お金持ちの人だけ道路がきれいだったり、特定の家庭だけごみを多く集めてもらえたりということがあってはいけないのです。

この「公平さ」を守るために、市役所の仕事はルール(条例やきまり)にもとづいて行われます。担当する人が変わっても、同じ手続きなら同じように対応してもらえるよう、手順が細かく決められています。一見かたく感じるかもしれませんが、これはだれもが安心してサービスを受けられるようにするための工夫でもあります。

つまずきやすいところ

その1 市役所は「1つの仕事をする場所」だと思ってしまう

市役所には、たくさんの課があり、それぞれ別の仕事をしています。
「市役所=1つの仕事」ではなく「たくさんの課の集まり」とイメージし直します。

その2 公共施設が「無料でできている」と思ってしまう

図書館も公園も、お金がかかっていないわけではありません。
税金というみんなのお金で運営されていることを確認します。

その3 願いがすぐ実現すると思ってしまう

「お願いすればすぐやってもらえる」と考えがち。
話し合いと予算が必要で、時間がかかることを理解します。

やってみよう

Q1 図書館や公園を無料で使えるのはなぜですか。

A 市民が納めた税金で作られ、運営されているから。

Q2 住民の願いが実現するまでには、どんな流れがありますか。

A 気づく→伝える→話し合う→予算をつくる→実行するという流れがあります。

Q3 市役所の仕事とお店の仕事の、いちばんのちがいは何ですか。

A お店は利益を得るため、市役所は住民のくらしを支えるために仕事をしている点。

Q4 市議会議員はどのようにして決まりますか。

A 住民が選挙で選ぶことで決まります。

まとめ

おうちの方へ

この単元は「税金」「議会」など、少し抽象的な言葉が出てくるため、身近な例で結びつけると理解が深まります。
お住まいの市区町村の広報誌やホームページには、税金の使いみちを分かりやすくまとめたページがあることが多いです。ぜひ一度、お子さんと一緒に眺めてみてください。
また、近所の公園や図書館を利用するときに「これはみんなが払った税金で作られているんだよ」と一言添えるだけでも、社会科の学びが日常とつながります。
選挙のニュースを見る機会があれば、「議員さんはどうやって選ばれるんだろう」と話してみるのもおすすめです。