3年 算数 時刻表の読み方

「あと何分で来る?」は時刻表に書いていない ── 時刻表は、読む表ではなく引き算をする表

バス停に立って、そばの看板を見上げたことがあると思います。数字がびっしり並んでいる、あの表です。知りたいことは、たいていひとつだけ。あと何分で来るの? ところが、その数だけは、あの表のどこにも書いてありません。9も15も40も並んでいるのに、「あと27分」という数字は一度も出てこない。時刻表は、答えが書いてある表ではなく、引き算をするための材料が置いてある表です。だから時刻表の前では、算数を使う人だけが答えを手に入れられます。この記事では、一枚の時刻表をまるごと使って、その引き算を最後までやってみます。

まず、表のかたちに慣れる

時刻表の読み方でいちばん最初につまずくのは、数字の意味ではなくならべ方です。下は「みどり小学校前」のバス停から中央駅へ行くバスの、平日の時刻表です。

時分本数
6421本
705 20 35 504本
806 24 453本
910 402本
10151本
11151本
12151本
13151本
1410 402本
1505 25 453本
1602 18 34 504本
1706 22 38 544本
1812 32 523本
1920 502本
20251本

きまりはたった2つです。左のはしにあるのが「時」。その右によこにならんでいるのが、ぜんぶ「分」。だから「9」の行に「10 40」と書いてあれば、それは9時10分と9時40分の2本を意味します。「9時1040分」ではありません。1つの行が1時間分をまとめている、という見方ができれば読めます。

この見方ができると、数えるだけで分かることがあります。本数の列を全部たすと33本。これが、朝6時台から夜8時台までの1日に通るバスの数です。そして1本しかない行が6つ(6時・10時・11時・12時・13時・20時)ある。この6つの時間帯にバス停へ行くときは、1本のりおくれたら次は1時間後だということが、表を見ただけで分かります。

「だいたい15分おき」は、9時でくずれる

朝の7時の行を見てください。05・20・35・50。15分ずつきれいに進んでいます。ここだけを見た人は「このバスは15分おき」と覚えてしまいます。そして、昼にバス停へ行って、ひどい目にあいます。

となりの便までの間隔を、時間帯ごとに出してみます。

 7時05分 → 7時20分 15分  7時20分 → 7時35分 15分  7時35分 → 7時50分 15分  7時50分 → 8時06分 16分  9時10分 → 9時40分 30分  9時40分 → 10時15分 35分  10時15分 → 11時15分 60分 ← いちばん長い  11時15分 → 12時15分 60分  12時15分 → 13時15分 60分

いちばんみじかい間隔は15分、いちばん長い間隔は60分。60 ÷ 15 = 4で、同じバス停なのに4倍のちがいがあります。朝の感覚で昼に出かけると、待つ時間が4倍になるということです。

ここが、時刻表が「かけ算では作れない表」である理由です。ぼうグラフの1目もりのように一定ではなく、人が乗る時間帯に本数を寄せてあります。だから時刻表は、きまりを覚えるのではなく、そのつど見て引き算するものになります。

気づいておきたいこと

16時と17時の行は、02・18・34・50、06・22・38・54と、どちらも16分おきです。15分でも20分でもない、へんな数です。なぜなら、時刻表は「何分おきにしたいか」から作られているのではなく、1台のバスが行って帰ってくるのに何分かかるかから決まっているからです。数がきれいでないときは、たいてい理由が表の外にあります。

「あと何分?」は、60をくり下げて引く

いよいよ本題です。いま9時48分。バス停に着きました。次のバスは何分後でしょうか。

手順は3つです。まず9の行を見ます。10と40。どちらも48より前なので、9時台はもう終わっています。次の行、10の行に進みます。15。つまり次のバスは10時15分。ここまでが「読む」仕事です。ここから先が「引く」仕事になります。

10時15分 - 9時48分 を計算します。ふつうの筆算のように書くと、15から48は引けません。くり下げます。ここで、ふだんの計算とちがうことが起きます。となりから借りてくるのは10ではなく60です。1時間は60分だからです。

 10時15分 = 9時 + (60 + 15)分 = 9時75分    9時75分  - 9時48分  ───────────      27分

答えは27分後です。もうひとつ、くり下げを使わないやり方もあります。ちょうどの時刻で区切ってから、足す方法です。

 9時48分 ──── 12分 ───→ 10時00分 ──── 15分 ───→ 10時15分        (10時まで)        (10時から)         12 + 15 = 27  → 27分後

10時までが60 - 48 = 12分。10時からが15分。12 + 15 = 27。どちらのやり方でも27になります。2つの道で同じ数が出たら、その答えは信じていい ── これは、答え合わせの相手がいないときに自分で使える確かめ方です。

ちなみに、時と分をくっつけて「1015 - 948」のように計算してしまうと67が出ます。正しい27とは40もちがいます。時刻の計算で10を借りてはいけない理由は、このずれの大きさを見れば分かります。

「9時40分発」は、9時40分に出るという意味

表に書いてある数は、バスがそこから出ていく時刻です。「来る時刻」ではありません。ここを取りちがえると、計算が全部合っていても乗れません。

9時40分発に乗りたいとします。9時40分にバス停に着けばいい ── と考えると、着いたときにはもうドアが閉まっているか、目の前を走り去ります。「出ていく時刻」には、すでにバスに乗り終わっていなければならないのです。だから少し前に着いておきます。3分前とすると9時37分。

家からバス停まで歩いて6分かかるなら、家を出る時刻はさらにその前です。

 9時40分 - 3分(早めに着く分) = 9時37分 ← バス停にいる時刻  9時37分 - 6分(歩く時間)   = 9時31分 ← 家を出る時刻

後ろから前へさかのぼる引き算です。時刻表の数から始めて、自分の家まで引き算でもどってくると、家を出る時刻が出ます。おとなが「逆算」と呼んでいるのは、この引き算のことです。

かかる時間も、便ごとにちがう

もう一枚、同じバスの「中央駅に着く時刻」も入れた表を見ます。朝のぶんだけです。

みどり小学校前 発中央駅 着かかる時間
7時05分7時33分28分
7時20分7時52分32分
7時35分8時11分36分
7時50分8時28分38分
8時06分8時44分38分
8時24分9時02分38分
8時45分9時19分34分
9時10分9時40分30分
9時40分10時08分28分
10時15分10時43分28分

右の列は、着く時刻から出る時刻を引いた数です。たとえば8時24分発の行なら、9時02分 - 8時24分。02から24は引けないので60を借りて、8時62分 - 8時24分 = 38分。7時35分発の行も同じで、8時11分を7時71分と見て、71 - 35 = 36分です。

ここで見てほしいのは、数の並びです。いちばんはやい便が28分、いちばんおそい便が38分。差は10分あります。同じバス停から同じ駅まで、同じ道を走るのに、出る時刻によって10分もちがう。道が混む時間帯があるからです。

だから「このバスは28分で着く」と1つの数で覚えるのは危険です。朝いちばん混む8時ごろの便で28分と見こむと、10分足りません。時刻表に着く時刻まで書いてあるのは、そこを自分で計算させないための親切です。書いてあるほうを使いましょう。

間に合うかどうかは、「着く時刻」でくらべる

ここまでの表を使って、いちばん実用的な問題を解きます。中央駅で9時50分に友だちと待ち合わせ。どの便に乗ればいいか。

くらべる相手は、出る時刻ではありません。着く時刻です。着く時刻が9時50分より前なら間に合い、後なら間に合いません。表の「中央駅 着」の列を上から見ていきます。

 8時45分発 → 9時19分着  9時50分まで あと 31分  ◯ 間に合う  9時10分発 → 9時40分着  9時50分まで あと 10分  ◯ 間に合う(これが最後)  9時40分発 → 10時08分着  9時50分から 18分すぎ   × おくれる

間に合う最後の便は9時10分発で、着くのは9時40分。待ち合わせまで10分あります。その次の9時40分発にすると10時08分着で、18分の遅刻になります。1本ちがうだけで、10分前と18分遅刻に分かれます。

では9時10分発に乗ればいいのか ── ここで、もうひとつ考えることがあります。10分の余裕は、バスが1本おくれたら消えます。おくれたら困る用事のときは、間に合うぎりぎりの便ではなく、その1本前を選びます。8時45分発なら9時19分着で、31分前に着きます。

31分も早いのはむだに見えるかもしれません。でもこの31分は、待つための時間ではなく失敗を1回ゆるすための時間です。8時45分のバスが来なかったとしても、次の9時10分発でまだ間に合う。1本前を選ぶというのは、そういう保険をかけることです。

のりかえがあるとき

中央駅でさらに電車にのりかえるなら、くらべる数がもう1つ増えます。バスが9時40分に着いて、ホームまで歩くのに5分かかるなら、9時40分 + 5分 = 9時45分より後に出る電車しか乗れません。もし電車が9時45分発なら、ちょうどです。ちょうどは間に合っていません ── 前の節と同じ理由で、出る時刻には乗り終わっていなければならないからです。その次の電車を見ましょう。

平日の表と、土曜・休日の表は、別のもの

最後に、時刻表でいちばん多い読みまちがいを1つ。1つのバス停には、ふつう表が2枚以上はってあります。

同じ「みどり小学校前」の、土曜・休日の表はこうです。

  7 | 20 50   8 | 20 50   9 | 20  10 | 20  11 | 20  12 | 20  13 | 20  14 | 20  15 | 20 50  16 | 20 50  17 | 20 50  18 | 20  19 | 20

数えると18本。平日は33本でした。33 - 18 = 15本少ない、つまり半分ちょっとしかありません。朝6時台と夜20時台の便は、そもそもなくなっています。

ここでやりがちなのが、日曜日に平日の表を見てしまうことです。平日の表を見て「7時05分のバスに乗ろう」と決めて7時ごろにバス停へ行くと、実際に来るのは7時20分。15分、立って待つことになります。乗れないわけではないので気づきにくく、そのぶんやっかいなまちがいです。

だから時刻表を見るときの順番は、いつもこうなります。①今日はどの表か(平日か、土曜・休日か) ②どの方向・どのバス停か ③それから時と分を読む。①と②を飛ばして数字から読み始めると、計算がどんなに正しくても答えは合いません。

つまずきやすいところ

その1 表の数を「あと何分」だと思ってしまう

表に「15」と書いてあるのを見て「あと15分」と読んでしまう、いちばん多いまちがいです。表の数は時計が指す時刻で、あと何分かは今の時刻との差です。時刻と時間はちがうもので、これは2年生の「時こくと時間」でならったことがそのまま出てきています。時刻表の前では、その区別が使えないと1問も解けません。

その2 60ではなく10をくり下げてしまう

10時15分 - 9時48分 を、1015 - 948 として67と答えてしまうまちがいです。正しい27とのずれは40分。時刻の世界は10で位が上がらず、60で上がります。くり下げるときに借りてくる数も60です。ここは秒でも同じで、1分=60秒なので、秒から分へも60で上がります。

その3 出る時刻に着けばいいと思っている

時刻表の数は出ていく時刻です。そこに着いたのでは間に合いません。数分前に着いておく、という一手間を計算に入れるかどうかで、同じ表から出る答えが変わります。バスも電車も、待ってはくれません。

やってみよう

紙とえんぴつだけでできます。上の平日の表を使ってください。答えはすぐ下に書きます。

  1. いま14時55分。次のバスは何分後?
  2. 13時15分発に乗るには、家を何時何分に出る?(歩いて6分、3分前に着きたい)
  3. 中央駅に8時50分までに着きたい。乗れる最後の便はどれ?(発着の表を使う)

1つめ。14の行は10と40で、どちらも55より前。次の行は15で、05・25・45の先頭が05。だから15時05分。14時55分から15時00分までが5分、そこから5分で、10分後です。

2つめ。13時15分 - 3分 = 13時12分。13時12分 - 6分 = 13時06分に家を出ます。

3つめ。発着の表の「着」の列で8時50分より前を探すと、8時44分(8時06分発)が最後です。次の8時24分発は9時02分着で、12分おくれます。答えは8時06分発。もし1本前の保険をかけるなら7時50分発(8時28分着)です。

本物でやってほしいこと

いちばん力がつくのは、家の近くのバス停や駅の時刻表を、そのまま紙に写してくることです。写したら、①1日に何本あるか数える ②いちばんみじかい間隔といちばん長い間隔を出して、何倍ちがうか計算する ③今この瞬間から次の便まで何分か引き算する ── この3つをやってみてください。上の表は練習用に作ったものですが、本物の時刻表はもっと変な数の並びをしています。その変さに理由があることまで見えたら、この記事でやったことは全部身についています。

まとめ

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