「赤いテープは8m、青いテープは赤いテープの3倍の長さです」。この1つの文から、「青いテープは何m?」「赤いテープは何m?」「青いテープは赤いテープの何倍?」という3種類の問題を作ることができます。使われる数字はいつも8・3・24の3つだけですが、どれが分かっていてどれを求めるかによって、かけ算になるかわり算になるかが変わります。ここでは、同じ数字を使った3つの型を並べて、取りちがえやすいポイントを整理します。
倍の文章題を読むときにまず確認するのは、「もとにする量」と「比べられる量」のどちらがどちらかです。「青いテープは、赤いテープの3倍です」という文では、「〜の3倍」の「の」の前にある「青いテープ」が比べられる量、「の」のあとにある「赤いテープ」がもとにする量です。もとにする量は、基準として先に決まっている量、比べられる量は、もとにする量を何倍かした結果の量だと考えます。
ここで注意したいのは、「倍」という数には単位がつかないという点です。赤いテープの長さは8mという「m」のついた量ですが、「3倍」は「3こ分」や「3つ分」を表す数で、「3倍m」とは言いません。長さや重さには単位がつき、倍にはつかない──この違いを先に知っておくと、後で出てくる3つの型の式を見たときに、どの数がどの役わりかを混同しにくくなります。
もとにする量と倍が分かっていて、比べられる量(結果)が分からないときは、かけ算を使います。「赤いテープは8m。青いテープは、赤いテープの3倍の長さです。青いテープは何mですか」という問題では、もとにする量(赤=8m)に倍(3倍)をかけます。
「3倍になる」ということは、もとの8mが3つ分になるということなので、8の3つ分を求めるかけ算の式になります。これは2年生で学んだ「1つ分 × いくつ分 = 全部の数」の考え方と同じ形で、もとにする量が「1つ分」、倍が「いくつ分」にあたります。
比べられる量と倍が分かっていて、もとにする量が分からないときは、わり算を使います。「青いテープは24m。これは赤いテープの3倍の長さです。赤いテープは何mですか」という問題です。
型1と型2は、かけ算とわり算が逆の関係になっているだけです。8×3=24が分かっていれば、24÷3=8も24÷8=3も、同じ1つの式の仲間として考えられます。3つの数字(8・3・24)のうち、どれが文章の中でまだ分かっていないかを先に見つけることが、型1と型2を見分ける一番の手がかりです。
比べられる量ともとにする量が分かっていて、倍そのものが分からないときも、わり算を使います。「赤いテープは8m、青いテープは24mです。青いテープは赤いテープの何倍ですか」という問題です。
型2と型3は、同じ「わり算」という点では似ていますが、わる数が違います。型2はすでに分かっている「倍」でわり、型3はすでに分かっている「もとにする量」でわります。答えの単位も違い、型2の答えには「m」がつきますが、型3の答えには単位がつかず「3倍」とだけ答えます。
ここまでの3つの型は、どれも「8」「3」「24」という同じ3つの数字から作られています。文章のどこが空欄になっているかで、使う演算が変わります。
| 型 | 分かっていること | 求めること | 演算 | 式 |
|---|---|---|---|---|
| 型1 | もとにする量(8m)・倍(3) | 比べられる量 | かけ算 | 8×3=24m |
| 型2 | 比べられる量(24m)・倍(3) | もとにする量 | わり算 | 24÷3=8m |
| 型3 | 比べられる量(24m)・もとにする量(8m) | 倍 | わり算 | 24÷8=3倍 |
表の「分かっていること」の列を見ると、3つのうち2つがすでに分かっていて、残り1つを求めるという形はいつも同じです。文章題を読むときは、「もとにする量」「比べられる量」「倍」の3つの箱を頭の中に用意し、どの箱が空っぽかを先に確認してから、空っぽの箱の種類によって演算を選びます。
「8と24なら、小さいほうの8がもとにする量だろう」と、数の大きさだけで判断してしまう間違いがあります。もとにする量を決めるのは数の大きさではなく、「〜の3倍」の「の」のあとに書かれている量はどちらかという文の構造です。「赤いテープは、青いテープの何分の1ですか」のように、もとにする量のほうが大きい文章になることもあります(3年生では整数倍が中心ですが、文の構造を先に確認する習慣はどちらの向きでも役立ちます)。
型2(もとにする量を求める)では「倍」でわり、型3(倍を求める)では「もとにする量」でわります。この2つを取りちがえると、24÷3としたいのに24÷8としてしまったり、逆のミスが起こります。わる数として使う数は、すでに文章の中で答えが分かっている数(倍、または、もとにする量)であり、求めたい数でわることは絶対にありません。
型3の答えを「3m」や「3こ」のように、もとの量と同じ単位で書いてしまう間違いがあります。倍は「何こ分あるか」を表す数そのものなので、単位をつけずに「3倍」と答えるのが正しい書き方です。答えを書いたあと、「倍」という字を書き忘れていないかを見直す習慣をつけると、このミスに気づきやすくなります。
Q1 ひまわりの高さは40cmです。あさがおの高さは、ひまわりの高さの2倍です。あさがおの高さは何cmですか。
A もとにする量(40cm)と倍(2)が分かっているので、かけ算です。40×2=80cm。
Q2 あさがおの高さは90cmで、これはひまわりの高さの3倍です。ひまわりの高さは何cmですか。
A 比べられる量(90cm)と倍(3)が分かっていて、もとにする量が分からないので、わり算です。90÷3=30cm。
Q3 ひまわりの高さは25cm、あさがおの高さは75cmです。あさがおの高さは、ひまわりの高さの何倍ですか。
A 比べられる量(75cm)ともとにする量(25cm)が分かっていて、倍が分からないので、わり算です。75÷25=3倍。
Q4 妹の持っているビー玉は6こです。兄の持っているビー玉は、妹の4倍です。兄のビー玉は何こですか。
A もとにする量(6こ)と倍(4)が分かっているので、かけ算です。6×4=24こ。
Q5 兄の持っているビー玉は32こで、これは妹の持っているビー玉の4倍です。妹のビー玉は何こですか。また、兄のビー玉は妹のビー玉の何倍ですか(2つとも答えましょう)。
A 前半は型2:比べられる量(32こ)と倍(4)から、もとにする量を求めるわり算です。32÷4=8こ。後半は型3:比べられる量(32こ)ともとにする量(8こ)から、倍を求めるわり算です。32÷8=4倍(問題文の「4倍」と一致することを確かめにも使えます)。
Q1とQ4は型1(かけ算)、Q2は型2(もとにする量を求めるわり算)、Q3は型3(倍を求めるわり算)、Q5は型2と型3を1つの問題の中で両方練習する形です。どの問題も「もとにする量・比べられる量・倍」の3つのうち、どれが空っぽの箱かを先に探すところから始めます。
倍の文章題で特に多いつまずきは、型2と型3のどちらも「わり算」であるために、わる数を逆にしてしまうことです。お子さんが式を立てたあと、「今わっている数は、倍の数?それとも、もとにする量?」と1つだけ聞いてみると、取りちがえに気づきやすくなります。
また、ふだんの生活の中にも倍の関係はたくさんあります。「お兄ちゃんの歩はばは、妹の歩はばの何倍くらいかな」「このコップの水は、あのコップの水の何倍入るかな」のように、実際に測って確かめる機会を作ると、「もとにする量」が何を指すのかが実感として分かりやすくなります。