秒が加わって、時・分・秒の3段構え。ふだんの10進法とは違うルールが、混乱の原因です。
2年生では「時」と「分」を学びました。3年生では、さらに細かい秒が加わります。
1秒は、どれくらいの長さでしょうか。「イチ」と数える間、あるいは心臓が1回打つくらいです。
秒を使う場面は、意外とたくさんあります。
この単元では、実際にストップウォッチで測る活動を必ずやります。「10秒だと思ったら止める」というゲームをすると、自分の秒感覚のずれが分かって盛り上がります。
ここが、この単元でいちばん難しいところです。
| 単元 | くり上がる数 |
|---|---|
| 整数のひっ算 | 10 |
| 長さ(mm→cm) | 10 |
| 長さ(cm→m) | 100 |
| 重さ(g→kg) | 1000 |
| 時間(秒→分、分→時間) | 60 |
ほかの単位は10・100・1000と10の倍数なのに、時間だけが60です。
だから、時間の計算ではふだんの感覚が通用しません。「90分」を「9時間0分」と思ってしまう間違いは、この10進法の癖から来ています。
なぜ60なのでしょうか。約4000年前のメソポタミアで生まれた数え方が、そのまま今に残っているからです。60は2・3・4・5・6・10・12・15・20・30でわりきれるので、分けるのにとても便利な数でした。
実際、1時間の半分は30分、3分の1は20分、4分の1は15分、6分の1は10分。すべてきれいな数になります。もし1時間が100分だったら、3分の1は33.33…分になってしまいます。
この話をすると、子どもは「なるほど」という顔をします。不便に見えるルールにも理由があると分かると、覚える気持ちが変わります。
変換の考え方は、ほかの単位と同じです。
秒から分への変換は、あまりのあるわり算です。3年生でわり算を学んだからこそ、この計算ができるようになりました。
商が「分」、あまりが「秒」。単元どうしがつながっている良い例です。
また、60を引けるだけ引くという方法もあります。
わり算が苦手な子には、こちらのほうが確実です。やっていることは同じで、わり算は「引けるだけ引く」を1回で済ませる方法にすぎません。
時間の文章題は、数直線を描くと一気に分かりやすくなります。
9時40分に家を出て、10時15分に学校に着きました。何分かかりましたか。
ポイントは「ちょうどの時刻」で区切ることです。10時をはさんで2つに分ければ、60でくり上がる計算をしなくてすみます。
この方法は、2年生で学んだ「きりのよい時刻まで進んでから、残りを足す」の応用です。数直線に描くことで、それが目に見える形になります。
逆向きの問題も同じです。
45分の映画が14時20分に終わりました。始まったのは何時何分?
数直線があれば、足すのか引くのかで迷いません。時間の問題で手が止まったら、まず線を引く──これを習慣にします。
この単元では、体験活動がとても大事です。数字だけでは秒の感覚は育ちません。
とくに10秒あてゲームは盛り上がります。多くの子は7〜8秒で止めてしまい、「意外と10秒は長い」と気づきます。
また、1分間チャレンジもおすすめです。「1分でなわとび何回?」「1分で漢字何個書ける?」。1分という時間の長さが、体で分かります。
こうした活動を通じて、「だいたいこれくらい」という感覚が育ちます。この感覚は、5年生の「速さ」でも重要になります。
家庭でも「あと5分で出発」「3分待って」と言うとき、実際に時計を見せると感覚が育ちます。
タイマーを使うのも効果的です。「3分たったら教えてね」と頼むと、時間を意識するようになります。
「40分+30分=70分」で止まってしまう。
60を超えたら1時間にくり上げる。70分=1時間10分です。
数直線を描くと、60を超えたことが目で分かります。
2年生から続く定番の混乱です。
時こくは点、時間は長さ。数直線で確認します。「9時40分」は点、「35分間」は長さ。
「14時20分の45分前」が求められない。
数直線を描いて、ちょうどの時刻で区切る。頭の中だけでやろうとすると必ず混乱します。手を動かすことが解決策です。
Q1 2分30秒は何秒ですか。
A 2×60+30=150秒。
Q2 200秒は何分何秒ですか。
A 200÷60=3あまり20。3分20秒。
Q3 10時50分から11時25分まで、何分間ですか。
A 11時までが10分、そこから25分。合わせて35分間。
Q4 目をつぶって10秒だと思ったところで止めてみましょう。何秒でしたか。
A 多くの人は7〜8秒で止めます。10秒は思ったより長いのです。
Q5 1時間30分は何分ですか。
A 60+30=90分。「1時間30分」と「90分」は同じ長さです。
Q5のような変換は、生活の中でよく使います。「映画は120分」と言われたら2時間、「90分授業」と言われたら1時間半。どちらの言い方でも同じ長さだと分かることが大事です。
とくに90分=1時間30分は覚えておくと便利です。サッカーの試合時間、大学の授業、映画の長さ。よく出てくる数字です。
また、150分=2時間30分、180分=3時間も、60でわる練習として何度かやっておくとよいでしょう。60を引けるだけ引く、あるいは60でわってあまりを見る。どちらの方法でも構いません。
時間の計算は、大人でも一瞬考えるところです。60でくり上がるという特殊さが原因なので、子どもが間違えても当然だと思ってください。
いちばん効くのは、数直線を描く習慣です。頭の中で計算しようとすると混乱しますが、線を引いて時刻を書き込めば、足すのか引くのかが見えます。「困ったら線を引く」と教えてあげてください。
秒の感覚は、ストップウォッチで遊ぶのが一番です。スマホのタイマーで十分。「10秒だと思ったら止めて」を家族でやると盛り上がります。
また、生活の中で時間を意識させることも大切です。「あと何分?」と時計を見て答えさせるだけで、感覚が育ちます。