わり算の単元の練習問題だからという理由だけで、文章題を見た瞬間に÷の式を立ててしまう。これはよくある落とし穴です。わり算には「1人分を求める」(等分除)と「人数を求める」(包含除)の2つの意味があることは、わり算の意味の単元で学習しました。ここでは一歩進んで、その文章題が本当にわり算なのか、実はかけ算やひき算なのかを、式を立てる前に見分ける3つの視点を整理します。
「3こずつ」「1人に4まいずつ」のように「ずつ」という言葉が出てくると、わり算の単元の最中はそれだけで÷の式を立てがちです。しかし、「ずつ」はかけ算の文章題にも現れる言葉で、「ずつ」の有無だけでは演算を決められません。かけ算とわり算は「何が分かっていて、何を求めるか」が逆です。
「1箱にみかんが6こ入っていて、箱が5箱あります。みかんは何こ?」は、全部の数が分からないのでかけ算(6×5=30)。一方、「みかんが30こあります。1箱に6こずつ入れると、箱は何箱必要ですか?」は、全部の数(30こ)がすでに文章の中に書かれているので、わり算(30÷6=5)です。見分けるポイントは「ずつ」ではなく、全部の数(合計)がすでに文章に書かれているか、それともこれから求める答えかという1点です。
数が2つ出てくる文章題では、わり算ではなくひき算を使う問題も混ざっています。「バラの花が24本、ユリの花が8本あります。バラはユリより何本多いですか」という問題は、同じ数ずつ分ける話ではなく、2つの量の差を聞いている問題です。ここでは24-8=16(16本多い)というひき算を使います。
同じ24と8という数字を使っても、「何本多いか」はひき算、「何倍か」はわり算と、聞かれ方によって使う演算が変わります。わり算の単元を習っている最中は、何でもわり算で解こうとしがちですが、「同じ数ずつ分ける話」なのか「2つの量をくらべる話」なのかを、まず文章から読み取ることが大切です。
ここまでの2つの見分け方を、1つの表にまとめます。文章題を読んだら、まず「全部の数」がすでに書かれているか、2つの量をくらべているかを確認してから、式を立てます。
| 聞かれ方 | すでに分かっていること | 演算 | 式の例 |
|---|---|---|---|
| 全部の数はまだ分からない(1つ分×いくつ分を合わせる) | 1つ分の数と、いくつ分の数 | かけ算 | 6×5=30 |
| 全部の数はすでに書かれている(1つ分か、いくつ分かを求める) | 全部の数と、一方の数 | わり算 | 30÷6=5 |
| 2つの量の差を聞かれている(「多い」「少ない」) | 2つの量(それぞれの数) | ひき算 | 24-8=16 |
3つとも「ずつ」や「2つの数」が出てくる点は同じですが、何がすでに分かっていて、何を求めるかが違うだけで演算が変わります。表の左の列(聞かれ方)を先に読み取る習慣をつけると、単元名(わり算の章だから、など)に引きずられにくくなります。
式を作ったあとは、答えの単位が文章と合っているかを確認すると、まちがいに気づきやすくなります。前に出てきた「みかんが30こ、1箱に6こずつ」の問題で、答えを求める単位は「箱」になるはずです。もし答えを「6こ」にしてしまったら、問題文に書かれていた「1箱に6こずつ」をもう一度答えてしまっているだけで、求められている「箱の数」には答えていません。
「この式で出てくる答えは、何の単位の数だったか」を自分の言葉で言えるかをたしかめる習慣をつけると、数字だけが合っていて意味を取り違えている、という見逃しやすいミスを防げます。
「5」や「6」のように数字だけ合っていても、それが「箱」なのか「こ」なのかを書かなければ、文章題を本当に理解しているかは分かりません。計算が合っていても、単位まで含めて答える習慣をつけることが、取り違えに気づく一番の手がかりになります。
「30このみかんを1箱に6こずつ」という問題で、6÷30と逆に書いてしまう間違いがあります。全部の数(30こ)が先に書かれていることが多いので、「全部の数はどれか」を先に探し、それをわられる数にする、という順番で式を組み立てると逆にしにくくなります。
わり算の単元の練習問題だからという理由だけで、くらべる問題(ひき算)やかけ算の問題にもわり算を使ってしまう子がいます。単元名にとらわれず、「同じ数ずつ分ける話かどうか」を毎回問題文から確認することが、一番の対策です。
Q1 クッキーが24こあります。4人で同じ数ずつ分けると、1人何こになりますか。
A 全部の数(24こ)はすでに分かっているので、わり算です。24÷4=6こ。
Q2 クッキーが6こ入ったふくろを4つ作ります。クッキーは何こ必要ですか。
A 全部の数(クッキーの数)がまだ分からず、これから求める答えなので、わり算ではなくかけ算です。6×4=24こ。
Q3 赤いテープが35m、青いテープが7mあります。赤いテープは青いテープより何m長いですか。
A これは差をくらべる問題なので、わり算ではなくひき算です。35-7=28m長い。
Q4 えんぴつが45本あります。1つの箱に9本ずつ入れると、箱は何箱必要ですか。
A 全部の数(45本)がすでに分かっているので、かけ算ではなくわり算です。45÷9=5箱。
Q5 みかんが42こあります。7人で同じ数ずつ分けました。1人分は何こですか。また、その1人分から3こ食べると、残りは何こになりますか。
A 前半はわり算:42÷7=6こ。後半はひき算:6-3=3こ。1つの文章題でも、前半と後半で聞かれていることが違う点に注意します。
Q3はひき算、Q4はわり算、Q5はわり算の後にひき算が続く2段構成です。「わり算の単元のページにある問題だから、わり算で解けばいい」と決めつけず、その問題が本当に同じ数ずつ分ける話なのか、くらべる話なのかを、問題ごとに確認することが大切です。
わり算の単元の最中は、「ずつ」という言葉を見ただけで反射的に÷の式を立ててしまう子が多くいます。計算(÷)自体ができないのではなく、「全部の数がすでに書かれているか、まだ求める答えか」を意識せずに式を作っていることが原因です。答えが合っていたときほど、「その5は、何の単位の数?」と1つだけ聞き返してみると、本当に理解しているかが分かります。
また、ときどきひき算やかけ算の問題を混ぜて出し、「わり算の単元=全部わり算」という思い込みを防ぐと、2年生で学んだかけ算の文章題との区別がより確かになります。