3年 算数 円と球

円と球 ──「まん中から同じきょり」がすべて

まるい形、では説明になりません。円には正確な定義があり、それが分かるとコンパスを使う理由も分かります。

円とは何か

「円ってどんな形?」と聞かれたら、多くの人は「まるい形」と答えます。でもそれでは、たまご形やだ円との区別がつきません。

算数では、円をこう定義します。

1つの点から、同じきょりにある点をぜんぶ集めた形 ● ● ● ● ・ ● ← ・が中心 ● ● すべての●が中心から同じきょり ●

この「同じきょり」が円のすべてです。どこか1か所でもきょりが違えば、それは円ではありません。

ことば意味
中心まん中の点
半径(はんけい)中心から円までの直線。またはその長さ
直径(ちょっけい)中心を通って、円の端から端までの直線

そして、いちばん大事な関係がこれです。

直径 = 半径 × 2 半径 = 直径 ÷ 2

直径は、半径2本ぶんです。中心から片側へ1本、反対側へ1本。合わせて直径になります。

コンパスはなぜ円が描けるのか

コンパスを使うと、きれいな円が描けます。なぜでしょうか。

答えは単純です。コンパスは、針とえんぴつの間のきょりを変えない道具だからです。

針 ●━━━━━ ✎ えんぴつ ↑ ↑ 中心 このきょりが半径 針を動かさずに回すと → えんぴつはつねに中心から同じきょり → 円ができる

つまり、コンパスは円の定義をそのまま道具にしたものです。「同じきょりの点を集める」を機械的にやっているのです。

これが分かると、コンパスの使い方のコツも見えてきます。

とくに「針を動かさない」が最重要です。針がずれると、中心からのきょりが変わってしまいます。

コンパスは円を描くだけの道具ではない

じつはコンパスには、もう一つ大きな使い方があります。長さを写しとることです。

① 直線ABの長さにコンパスを開く ② そのまま別の場所へ移す ③ 同じ長さが写しとれる

ものさしで測って書き写すより、正確で速いのがコンパスです。ものさしだと「4.7cmくらい」と読み間違えることがありますが、コンパスなら長さそのものを移せます。

この使い方は、こんな場面で活躍します。

とくに三角形の作図では、コンパスが必須です。「辺の長さが3cm・4cm・5cmの三角形」を描くには、コンパスで長さを写しとる技術が必要になります。

だから、この単元ではコンパスに慣れること自体が目標でもあります。円をたくさん描き、模様を作り、長さを写す。手が覚えるまで使うことに意味があります。

球(きゅう)

円を立体にしたものがです。ボール、ビー玉、地球。

球の定義も円とまったく同じです。1つの点から同じきょりにある点を、空間ぜんぶで集めた形

球にも中心・半径・直径があります。そして、球には円にない大きな特徴があります。

球をどこで切っても、切り口は必ず「円」 ┌─────┐ │ ● │ ← どの方向に切っても │ / \ │ 切り口は円 └─────┘

どの向きに切っても切り口は円。これは球だけの性質です。

そして、中心を通るように切ったとき、切り口の円がいちばん大きくなります。このときの円の直径が、球の直径です。

これは実験で確かめられます。ねん土で球を作って切ってみる、オレンジやリンゴを切ってみる。中心からずれるほど、切り口は小さくなることが目で分かります。

球の直径をはかる

ボールの直径をはかるのは、意外と難しい問題です。ものさしを当てても、どこが直径か分からないからです。

そこで、こんな方法を使います。

┃ ┃ ┃ ●●● ┃ ← 2枚の板ではさむ ┃● ●┃ ┃ ●●● ┃ ┗━━━━┛ └──┬──┘ この長さが直径

2枚の板(または本)ではさんで、板の間のきょりをはかる。これで直径が正確に求められます。

なぜこれでよいのか。板は球に1点で接するので、板と板の間のきょりは、必ず球のいちばん太いところ=直径になるからです。

この考え方は「はしをそろえる」の応用です。1年生の「おおきさくらべ」から続く測定の基本が、ここでも生きています。

身のまわりの円

円は生活のあちこちにあります。しかも理由があって円になっているものが多いです。
車輪:中心からのきょりが同じだから、なめらかに転がる
時計:針が回るのに都合がよい
マンホールのふた:どの向きでも穴に落ちない(四角だと対角線で落ちる)
「なぜ円なんだろう?」と考えると、円の性質が見えてきます。

つまずきやすいところ

その1 コンパスがうまく回せない

途中で開き具合が変わる、針がずれる。
コンパス自体の問題のこともあります。ゆるいコンパスはネジを締める、それでもだめなら買い替えを検討してください。道具が悪いと、いくら練習しても上達しません。
また、紙のほうを回すやり方も試してみてください。コンパスを持つ手は動かさずにすみます。

その2 半径と直径を取り違える

「直径6cmの円を描きなさい」に、コンパスを6cmに開いてしまう。
コンパスの開き=半径です。直径6cmなら、半径は3cm。
問題文を読んだら、まず半径がいくつかを書き出す習慣をつけます。

その3 球の切り口をイメージできない

頭の中で立体を切るのは難しい作業です。
実物を切って見せるのがいちばんです。ねん土、オレンジ、ゆで卵。実際に見ると一発で分かります。

やってみよう

Q1 半径5cmの円の直径は何cmですか。

A 5×2=10cm

Q2 直径8cmの円を描くには、コンパスを何cmに開きますか。

A 8÷2=4cm。コンパスの開きは半径です。

Q3 球をどこで切ると、切り口の円がいちばん大きくなりますか。

A 中心を通るところ。このときの直径が球の直径です。

Q4 コンパスを使って、同じ長さの直線を2本引いてみましょう。

A 1本目の長さにコンパスを開き、そのまま移して印をつけます。ものさしより正確です。

Q5 円の中に引ける直線で、いちばん長いものは何ですか。

A 直径。中心を通る直線がいちばん長くなります。

Q5は、言われてみれば当たり前ですが、意識したことがない子が多い性質です。円の中に定規をあてて、いろいろな向きに直線を引いてみると確かめられます。中心を通ったときだけ、いちばん長くなるのです。

これは球の切り口の話とまったく同じ構造です。中心を通るときが最大──円でも球でも、中心が特別な点であることが分かります。

そして、この性質があるからボールの直径を板ではさんで測れるのでした。1つの性質が、別の場面で道具になる。算数の面白いところです。

まとめ

おうちの方へ

この単元でつまずく子の多くは、コンパスの操作そのものが原因です。まずコンパスの状態を確認してください。ネジがゆるんで開き具合が変わるものは、練習しても上達しません。
使い方のコツは「紙を回す」ことです。手首をひねるより安定します。100円ショップのものでも、しっかりしたものを選んであげてください。
また「直径6cmの円」で半径3cmに開く、という変換は間違えやすいところです。問題を読んだら半径を書き出す習慣をつけると防げます。
球の切り口は、実物で見せるのが一番です。オレンジやゆで卵を切るとき、「中心を通ると切り口が大きいね」と一言添えるだけで、立体の感覚が育ちます。