「風とゴムの力」の単元では、力の大きさを走った距離で調べました。でも、力そのものを数字で表す道具があります。それがばねです。
力をものに伝える道具は、これで3つ目です。くらべてみましょう。
| ゴム | 風 | ばね | |
|---|---|---|---|
| 力の加え方 | のばす | 当てる | 引く・押す |
| 力の大きさの見え方 | 車が走る距離 | 車が走る距離 | ばね自身がのびる長さ |
| 力をはなしたら | 車は止まったまま | 車は止まったまま | ばねは元の長さに戻る |
ゴムや風では、力の大きさを知るために車を走らせて距離を測るという遠回りが必要でした。ところがばねは、ばね自身の変化を見るだけで力の大きさが分かります。これは大きな違いです。
力は目に見えません。重さも、押す力も、引く力も、手で感じることはできても、そのままでは数字になりません。ばねの力は、目に見えない力を、目に見える「のびの長さ」に変えてくれる道具なのです。
この単元で学ぶ道具としての「ばねの力」は、ゴムや風とまったく同じ仲間です。力を加える物が、ゴムから風へ、風からばねへと変わっただけで、「力が大きいほど変化が大きい」という理科のきまりは、ずっと変わらず通用しています。
ばねの下に、重さの違うおもりを1個ずつつるして、のびの長さを調べます。変える条件はおもりの重さだけ。ばねの種類・つるす場所・測り方はそろえます。
| おもりの重さ | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 |
|---|---|---|---|---|
| 10g | 2.1cm | 1.9cm | 2.0cm | 約2.0cm |
| 20g | 4.0cm | 4.1cm | 3.9cm | 約4.0cm |
| 30g | 6.1cm | 5.9cm | 6.0cm | 約6.0cm |
結果を見ると、はっきりしたきまりがあります。
のびの長さは、力の大きさにきちんと比例する。これがばねの一番大事な性質です。中学校では「フックの法則」という名前で習いますが、3年生ではまず、実験で「比例している」という事実を確かめることが目標です。
算数で出てきたばねばかりを覚えていますか。ものをつるすと針が動いて、重さの目もりを指す、あの道具です。
ばねばかりの中には、まさにこの実験で使ったようなばねが入っています。ものをつるすと、ものを下に引く力の分だけばねがのびる。そのびの長さを、あらかじめ「10g」「20g」という目もりに直して表示しているのです。
算数では「重さ」を数字として習いますが、理科で見ると、重さはものを下に引く力の大きさのことです。ばねばかりが本当に測っているのは「力」。それを、目もりの工夫で「重さ」として読めるようにしてあるのです。
つまりばねばかりは、ばねの「力の大きさとのびが比例する」という性質を、そのまま道具にしたものです。もし比例していなかったら、目もりを等間隔に並べることはできません。
ここまでの実験をまとめます。3つとも「力が大きいほど、変化も大きい」という同じきまりに従っていました。
| 力が大きいとき | 何で分かるか | |
|---|---|---|
| ゴム | 車が遠くまで走る | 走った距離 |
| 風 | 車が遠くまで走る | 走った距離 |
| ばね | ばねが長くのびる | のびた長さ |
ゴムと風は「力を使って何かを動かす」道具でした。ばねは「力そのものを目に見える数字にする」道具です。使い方が違うだけで、3つとも力の大きさが変化の大きさを決めるという同じ仕組みの上にあります。
この「力の大きさを測る」という考え方は、6年生のてこのはたらきで、もっと細かく使われます。てこでは「どこに力を加えるか」と「力の大きさ」の両方が関係してきます。ばねで力の大きさを測る経験は、そこへの土台になります。
ばねは実験室だけの道具ではありません。身のまわりにも、たくさんの「ばねの力」が使われています。
どの道具も、力を加えるとばねがのびたり縮んだりし、力をやめると元に戻ろうとするという同じ性質を利用しています。身近な道具を見るとき、「これもばねの力かな?」と探してみると、理科の見方が広がります。
「ばねが長いから、重いんじゃないか」と考えてしまう。
のびを決めているのは、つるしたおもりの力です。ばね自身の重さは、実験の最初に「何もつるさない長さ」として測っておき、のびはそこからの増え分だけを比べます。
比例のきまりを見ると「もっと重いものをつるせば、もっとのびる」と思いがちですが、ばねには限界があります。のびすぎると、元の長さに戻らなくなったり、切れてしまったりします。ゴムが伸びすぎると切れるのと同じです。
「10gで2cm、20gで4cm」を見て「10g増えるごとに2cmずつ増える」と覚えてしまうと、重さが0gでない別の実験で間違えます。正しいのは「もとの何倍か」という比例の関係です。表や図で、2倍・3倍の関係を確かめる習慣をつけましょう。
Q1 ばねに10gのおもりをつるすと2cmのびました。20gのおもりをつるすと、何cmのびると考えられますか。
A 約4cm。おもりの重さが2倍になると、のびの長さも2倍になります。
Q2 ばねばかりは、本当は何を測っている道具ですか。
A 力の大きさ(ものを下に引く力)。それを目もりの工夫で「重さ」として読めるようにしています。
Q3 ばねが、ゴムや風の実験と比べて便利なのはどんな点ですか。
A 車を走らせて距離を測る必要がなく、ばね自身のびの長さを見るだけで力の大きさが分かる点です。
Q4 ばねにおもりをどんどん重くしていくと、のびはどうなりますか。
A 重さに比例してのびが増えていきますが、限界をこえるとばねが切れたり元に戻らなくなったりするので、どこまでも増え続けるわけではありません。
この単元は、目に見えない「力」を、目に見える「のびの長さ」という数字に変えて測る、という理科の大事な考え方の入り口です。
家に輪ゴムやばね状の文房具(クリップをはずしたばねなど)があれば、いろいろな重さのものをつるしてのびを比べてみると、比例の関係を実感しやすくなります。
買い物で使うばねばかり式のキッチンスケールがあれば、「これも実は力を測っているんだよ」と話してみてください。算数の「重さ」と理科の「力」がつながる、良いきっかけになります。