3年 理科 身近な自然の観察

身近な自然の観察 ──「見る」と「観察する」はちがう

理科の最初の単元です。ここで学ぶ観察のしかたを、これから1年間ずっと使います。

「見る」と「観察する」

理科が始まって最初に学ぶのが、観察のしかたです。

見る観察する
目的とくにない調べたいことがある
時間一瞬じっくり
使うもの目だけ虫めがね・ものさし
記録しないスケッチ・数値
あとで忘れる比べられる

いちばんの違いは、目的があるかどうかです。

「タンポポを見た」だけなら、それは見ただけ。「タンポポの花びらは何枚か調べた」なら観察です。

だから、観察の前には必ず「何を調べるか」を決めます。

この視点を持って見ると、同じものでも見えるものがまったく変わります

虫めがねの使い方

理科の道具として、最初に使うのが虫めがねです。正しい使い方があります。

動かせるものを見るとき

目 ── 虫めがね ── もの ↑固定 ↑動かす 虫めがねを目の近くに固定し、 ものを近づけたり遠ざけたりする

動かせないものを見るとき

目 ── 虫めがね ── 木の幹 ↑一緒に動かす 虫めがねを持った手ごと、 自分が前後に動く

ポイントは、虫めがねは目の近くに持つことです。腕をいっぱいに伸ばして持つ子が多いですが、それでは見にくくなります。

そして、いちばん大事な注意があります。

虫めがねで太陽を見ない

絶対に、虫めがねを通して太陽を見てはいけません。
虫めがねは光を集める道具です。集まった光が目に入ると、目の奥をやけどします。失明する危険もあります
これは理科の授業で最初に習う安全のきまりです。家庭でも必ず伝えてください。

観察カードの書き方

観察したことは、カードに記録します。1・2年生の生活科でも書きましたが、3年生ではより正確になります。

項目書くこと
日時○月○日 ○時ごろ
天気晴れ・くもり・雨
場所校庭のすみ、花だんの横 など
名前観察したものの名前(分からなければ特徴)
スケッチ見たとおりに描く
大きさものさしで測る、または比べる
気づいたこと色・形・数・動き

とくに日時と天気は、1・2年生では書かなかった項目です。なぜ必要なのでしょうか。

あとで比べるためです。「4月と6月でどう変わったか」「晴れの日と雨の日で虫の数はちがうか」──記録に条件が書いてあるから、比べられます。

そして大きさを測るのも3年生からです。「大きい」ではなく「3cm」。算数で学んだものさしが、理科でも使われます。

理科のスケッチ

観察カードのスケッチには、絵画とは違うルールがあります。

図工の絵理科のスケッチ
目的美しく表現する形を正確に伝える
自由細くはっきり1本で
自由に塗る必要な部分だけ
かげつけるつけない
背景描く描かない
大きさ自由大きく描く

理科のスケッチは、「絵がうまいか」ではなく「よく見たか」が問われます。

たとえばタンポポの葉を描くとき、ぎざぎざが何個あるかまで見て描く。これが理科のスケッチです。

コツをいくつか挙げます。

絵が苦手な子でも大丈夫です。特徴が伝わればよいのです。むしろ、ことばで補足を書き込むことが推奨されます。

比べることで見えてくる

3年生の観察でいちばん大事なのが、比べることです。

1つだけ見ていても、何が特徴か分かりません。2つ以上を比べて初めて、違いと共通点が見えます

タンポポ と ナズナ を比べる 【違うところ】 ・花の色(黄色 / 白) ・花の大きさ(大きい / 小さい) ・葉の形(ぎざぎざ / 細長い) 【同じところ】 ・根・くき・葉がある ・日当たりのよい場所にある ・春に花がさく

比べると、「どの植物にも共通すること」が見えてきます。これが理科で見つけたい「きまり」です。

そして、比べるときには観点をそろえる必要があります。

片方は色、もう片方は大きさ、では比べたことになりません。同じ項目で比べる──これが比較の基本です。

この考え方は、算数の表づくりとも同じです。同じ項目を並べるから、比べられるのです。

春の生き物をさがす

この単元は、たいてい4月に行われます。春は生き物が動き出す季節だからです。

種類春に見られるものさがす場所
植物タンポポ、ナズナ、オオイヌノフグリ、サクラ日当たりのよい場所、道ばた
こん虫モンシロチョウ、ミツバチ、テントウムシ、アリ花のまわり、草むら
その他ダンゴムシ、クモ、カエル石の下、しめった場所

ここで、生活科で学んだことが生きます。生き物には、それぞれ合った場所がある。だから、やみくもに探すのではなく、いそうな場所を予想して探します

そして、見つけたら「なぜここにいるのか」を考えます。

生き物と場所の結びつきに気づくこと。これがこの単元のゴールです。

そして、この視点は6年生の「生物と環境」まで続きます。生き物は、まわりの環境と関わりながら生きている──理科の大きなテーマの1つです。

つまずきやすいところ

その1 何を見ればいいか分からない

ただ眺めて終わってしまう。
観点を与えると見えるようになります。「色は?」「いくつある?」「さわるとどう?」。質問があると、探す目になります。

その2 スケッチが描けない

「絵が下手だから」と手が止まる。
うまさは関係ないと伝えます。理科のスケッチは形が伝わればOK。
また、ことばを書き込んでよいことも教えます。「ここがぎざぎざ」と書けば、描けなくても伝わります。

その3 記録が「きれいだった」だけ

感想で終わってしまう。
数と大きさを書くことを求めます。「花びらが5枚」「高さ12cm」。国語の報告文と同じく、事実を書くのが理科です。

やってみよう

Q1 「見る」と「観察する」の違いは何ですか。

A 観察には目的があり、記録を残す。あとで比べられます。

Q2 虫めがねで見てはいけないものは何ですか。

A 太陽。目を痛める危険があります。絶対に見てはいけません。

Q3 観察カードに日時と天気を書くのはなぜですか。

A あとで比べるため。条件が分かると、変化や違いを調べられます。

Q4 身のまわりで植物を2つ見つけて、同じところと違うところを挙げましょう。

A 同じ観点(色・大きさ・場所)で比べます。共通点が見つかれば、それがきまりの候補です。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、理科の1年間を支える技術を学ぶ回です。派手さはありませんが、ここで身につけた観察のしかたが、あとの全単元で使われます。
家庭では、散歩のときに「観点を与える」ことができます。「この葉っぱ、ぎざぎざある?」「花びら何枚?」──質問があるだけで、子どもの見る目が変わります。
虫めがねは100円ショップのもので十分です。ただし「太陽を見ない」ことは、繰り返し伝えてください。好奇心から試してしまう子がいます。
また、観察カードが「きれいだった」で終わっているときは、「何個あった?」「何cmくらい?」と数を聞いてみてください。事実を書く習慣が、理科の土台になります。