理科の最初の単元です。ここで学ぶ観察のしかたを、これから1年間ずっと使います。
理科が始まって最初に学ぶのが、観察のしかたです。
| 見る | 観察する | |
|---|---|---|
| 目的 | とくにない | 調べたいことがある |
| 時間 | 一瞬 | じっくり |
| 使うもの | 目だけ | 虫めがね・ものさし |
| 記録 | しない | スケッチ・数値 |
| あとで | 忘れる | 比べられる |
いちばんの違いは、目的があるかどうかです。
「タンポポを見た」だけなら、それは見ただけ。「タンポポの花びらは何枚か調べた」なら観察です。
だから、観察の前には必ず「何を調べるか」を決めます。
この視点を持って見ると、同じものでも見えるものがまったく変わります。
理科の道具として、最初に使うのが虫めがねです。正しい使い方があります。
ポイントは、虫めがねは目の近くに持つことです。腕をいっぱいに伸ばして持つ子が多いですが、それでは見にくくなります。
そして、いちばん大事な注意があります。
絶対に、虫めがねを通して太陽を見てはいけません。
虫めがねは光を集める道具です。集まった光が目に入ると、目の奥をやけどします。失明する危険もあります。
これは理科の授業で最初に習う安全のきまりです。家庭でも必ず伝えてください。
観察したことは、カードに記録します。1・2年生の生活科でも書きましたが、3年生ではより正確になります。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 日時 | ○月○日 ○時ごろ |
| 天気 | 晴れ・くもり・雨 |
| 場所 | 校庭のすみ、花だんの横 など |
| 名前 | 観察したものの名前(分からなければ特徴) |
| スケッチ | 見たとおりに描く |
| 大きさ | ものさしで測る、または比べる |
| 気づいたこと | 色・形・数・動き |
とくに日時と天気は、1・2年生では書かなかった項目です。なぜ必要なのでしょうか。
あとで比べるためです。「4月と6月でどう変わったか」「晴れの日と雨の日で虫の数はちがうか」──記録に条件が書いてあるから、比べられます。
そして大きさを測るのも3年生からです。「大きい」ではなく「3cm」。算数で学んだものさしが、理科でも使われます。
観察カードのスケッチには、絵画とは違うルールがあります。
| 図工の絵 | 理科のスケッチ | |
|---|---|---|
| 目的 | 美しく表現する | 形を正確に伝える |
| 線 | 自由 | 細くはっきり1本で |
| 色 | 自由に塗る | 必要な部分だけ |
| かげ | つける | つけない |
| 背景 | 描く | 描かない |
| 大きさ | 自由 | 大きく描く |
理科のスケッチは、「絵がうまいか」ではなく「よく見たか」が問われます。
たとえばタンポポの葉を描くとき、ぎざぎざが何個あるかまで見て描く。これが理科のスケッチです。
コツをいくつか挙げます。
絵が苦手な子でも大丈夫です。特徴が伝わればよいのです。むしろ、ことばで補足を書き込むことが推奨されます。
3年生の観察でいちばん大事なのが、比べることです。
1つだけ見ていても、何が特徴か分かりません。2つ以上を比べて初めて、違いと共通点が見えます。
比べると、「どの植物にも共通すること」が見えてきます。これが理科で見つけたい「きまり」です。
そして、比べるときには観点をそろえる必要があります。
片方は色、もう片方は大きさ、では比べたことになりません。同じ項目で比べる──これが比較の基本です。
この考え方は、算数の表づくりとも同じです。同じ項目を並べるから、比べられるのです。
この単元は、たいてい4月に行われます。春は生き物が動き出す季節だからです。
| 種類 | 春に見られるもの | さがす場所 |
|---|---|---|
| 植物 | タンポポ、ナズナ、オオイヌノフグリ、サクラ | 日当たりのよい場所、道ばた |
| こん虫 | モンシロチョウ、ミツバチ、テントウムシ、アリ | 花のまわり、草むら |
| その他 | ダンゴムシ、クモ、カエル | 石の下、しめった場所 |
ここで、生活科で学んだことが生きます。生き物には、それぞれ合った場所がある。だから、やみくもに探すのではなく、いそうな場所を予想して探します。
そして、見つけたら「なぜここにいるのか」を考えます。
生き物と場所の結びつきに気づくこと。これがこの単元のゴールです。
そして、この視点は6年生の「生物と環境」まで続きます。生き物は、まわりの環境と関わりながら生きている──理科の大きなテーマの1つです。
ただ眺めて終わってしまう。
観点を与えると見えるようになります。「色は?」「いくつある?」「さわるとどう?」。質問があると、探す目になります。
「絵が下手だから」と手が止まる。
うまさは関係ないと伝えます。理科のスケッチは形が伝わればOK。
また、ことばを書き込んでよいことも教えます。「ここがぎざぎざ」と書けば、描けなくても伝わります。
感想で終わってしまう。
数と大きさを書くことを求めます。「花びらが5枚」「高さ12cm」。国語の報告文と同じく、事実を書くのが理科です。
Q1 「見る」と「観察する」の違いは何ですか。
A 観察には目的があり、記録を残す。あとで比べられます。
Q2 虫めがねで見てはいけないものは何ですか。
A 太陽。目を痛める危険があります。絶対に見てはいけません。
Q3 観察カードに日時と天気を書くのはなぜですか。
A あとで比べるため。条件が分かると、変化や違いを調べられます。
Q4 身のまわりで植物を2つ見つけて、同じところと違うところを挙げましょう。
A 同じ観点(色・大きさ・場所)で比べます。共通点が見つかれば、それがきまりの候補です。
この単元は、理科の1年間を支える技術を学ぶ回です。派手さはありませんが、ここで身につけた観察のしかたが、あとの全単元で使われます。
家庭では、散歩のときに「観点を与える」ことができます。「この葉っぱ、ぎざぎざある?」「花びら何枚?」──質問があるだけで、子どもの見る目が変わります。
虫めがねは100円ショップのもので十分です。ただし「太陽を見ない」ことは、繰り返し伝えてください。好奇心から試してしまう子がいます。
また、観察カードが「きれいだった」で終わっているときは、「何個あった?」「何cmくらい?」と数を聞いてみてください。事実を書く習慣が、理科の土台になります。