クモは、こん虫ではありません。「虫」と「こん虫」はちがうのです。その境目を決めているものは何でしょうか。
3年生から、理科という教科が始まります。1・2年生の生活科とは、何が違うのでしょうか。
| 生活科 | 理科 | |
|---|---|---|
| やること | ふれあう・親しむ | 調べる・確かめる |
| 見方 | 感じたこと | 共通するきまり |
| 記録 | 絵と感想 | 数値・スケッチ・条件 |
| 進め方 | 自由に | 予想→観察→結果→考察 |
いちばん大きな変化は、「きまりを見つける」ことです。
1年生では「だんごむしを見つけた」で終わりました。3年生では「だんごむしは石の下にいる。ほかの虫はどうか。共通するきまりはあるか」と考えます。
そして「こん虫のからだ」は、まさにきまりを見つける単元です。
こん虫かどうかは、体のつくりで決まります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ① | 体が頭・胸・腹の3つに分かれている |
| ② | 足が6本ある |
| ③ | 足はすべて胸についている |
この3つをすべて満たすものが、こん虫です。1つでも欠けたら、こん虫ではありません。
とくに③が見落とされがちです。足はすべて胸から出ています。腹には足がありません。これがこん虫の大きな特徴です。
身近な生き物で確かめてみましょう。
| 生き物 | 足の数 | 体の分かれ方 | こん虫? |
|---|---|---|---|
| バッタ | 6本 | 頭・胸・腹 | ○ |
| チョウ | 6本 | 頭・胸・腹 | ○ |
| アリ | 6本 | 頭・胸・腹 | ○ |
| クモ | 8本 | 2つ(頭胸部・腹部) | × |
| ダンゴムシ | 14本 | たくさんの節 | × |
| ムカデ | とても多い | たくさんの節 | × |
| ミミズ | 0本 | 節だけ | × |
子どもがいちばん驚くのがクモです。虫だと思っていたものが、こん虫ではないと分かる瞬間です。
クモは足が8本、体は2つに分かれています。条件を満たしていません。クモはサソリやダニと同じ仲間です。
ダンゴムシはもっと意外です。足が14本もあり、じつはエビやカニの仲間です。海にいるエビの遠い親せきが、陸で暮らしているのです。
この単元は、実際に数えることが大事です。写真や図でもよいので、足を1本ずつ数えます。
「6本だからこん虫」「8本だからちがう」──自分で数えて判断した経験が、知識を確かなものにします。
虫が苦手な子は、写真や図鑑で構いません。数えることに意味があります。
3つの部分には、それぞれ役割があります。
とくに口の形は、食べ物によって大きく異なります。
| こん虫 | 口の形 | 食べ物 |
|---|---|---|
| チョウ | ストロー状(丸まっている) | 花のみつ |
| バッタ | かむ口 | 草の葉 |
| カ | 針状 | 血・しる |
| カブトムシ | ブラシ状 | 木のしる |
食べ物に合った形になっている──これは大きな発見です。生き物のからだは、暮らし方と結びついています。
足6本とはねがついています。動くための部分です。
胸は3つの節に分かれていて、1節に足が2本ずつついています。だから合計6本。はねは後ろの2節についています。
いくつもの節に分かれています。ここには呼吸のための穴(気門)があり、内臓が入っています。
こん虫は肺がありません。腹の横の小さな穴から空気を取り入れています。虫めがねで見ると、点々と並んでいるのが分かります。
こん虫は、食べ物のある場所にいます。あたりまえのようですが、これも大事なきまりです。
| こん虫 | いる場所 | なぜそこにいるか |
|---|---|---|
| モンシロチョウ | キャベツ畑 | 幼虫がキャベツを食べる |
| カブトムシ | クヌギ・コナラの木 | 木のしるを吸う |
| バッタ | 草むら | 草を食べる、かくれる |
| アメンボ | 池・水面 | 落ちた虫を食べる |
| ゲンゴロウ | 水の中 | 水中の小さな生き物を食べる |
だから、こん虫をさがすときは、食べ物をさがせばよいのです。
「カブトムシがいる場所」を探すのではなく、「クヌギの木」を探す。「モンシロチョウ」ではなく「キャベツ畑」を探す。これが理科的な考え方です。
そして、かくれる場所も重要です。バッタは草の色に似ていて見つかりにくい。ナナフシは枝そっくり。体の色や形が、すみかと関係していることにも気づけます。
理科では、観察したことを記録に残します。生活科の観察カードより、少しくわしくなります。
スケッチのコツがあります。色をつけすぎない・線をはっきり描くことです。
理科のスケッチは、絵画ではありません。形やつくりが分かることが目的です。だから、足の数・体の分かれ方・触角の位置などが正確に描けていることが大事です。
そして、数を書く。「足がたくさん」ではなく「足が6本」。数字で書くのが理科の記録です。
地球上の生き物の中で、こん虫はもっとも種類が多いグループです。
しかも、まだ名前のついていないこん虫がたくさんいると考えられています。実際には数百万種いるという説もあります。
なぜこれほど多いのでしょうか。理由はいくつか考えられています。
とくに「はねがある」のは大きな強みです。動物の中で、自分の力で飛べるのはこん虫・鳥・コウモリだけ。そして、いちばん早く飛べるようになったのがこん虫です。
身のまわりを見わたすと、確かにこん虫だらけです。アリ、チョウ、ハエ、カ、テントウムシ、バッタ。数えきれないほどいることに気づきます。
3年生でこの数字を覚える必要はありません。でも「こん虫はすごく種類が多い」と知っておくと、身のまわりの虫への興味がわきます。
いちばん多い誤解です。
足を数えることで解決します。8本ならこん虫ではない。実際に写真で数えさせると、はっきり納得します。
アリやハチは、くびれがあるので分かりやすいですが、バッタなどは分かりにくいです。
足がついているのが胸と覚えます。足の付け根までが胸、その後ろが腹です。
無理に触らせる必要はまったくありません。
写真・図鑑・動画でも観察はできます。むしろ、写真のほうがじっくり数えられることもあります。
大事なのは「触れること」ではなく「きまりを見つけること」です。
Q1 こん虫の3つの条件を言えますか。
A ①頭・胸・腹に分かれる ②足が6本 ③足はすべて胸につく。
Q2 クモがこん虫でない理由を2つ挙げましょう。
A 足が8本あること、体が2つにしか分かれていないこと。
Q3 カブトムシをさがすには、どこへ行けばよいですか。なぜですか。
A クヌギやコナラの木。木のしるを吸うので、食べ物のある場所にいます。
Q4 チョウの口とバッタの口は、なぜ形がちがうのですか。
A 食べ物がちがうから。チョウは花のみつを吸うのでストロー状、バッタは葉をかむのでかむ口です。
3年生から理科が始まります。生活科との違いは「きまりを見つける」こと。感想ではなく、共通点や条件を探す教科です。
この単元では、ぜひ実際に数えさせてください。クモの足が8本だと自分で数えて確かめた経験は、教わっただけの知識よりずっと強く残ります。
虫が苦手なお子さんも心配いりません。図鑑や写真で十分です。むしろ写真のほうが、じっくり観察できることもあります。
また、散歩のときに「この虫、こん虫かな?」と聞いてみてください。足を数える習慣がつくと、身のまわりの生き物への見方が変わります。