3年 理科 電気の通り道

明かりがつかないとき ── 一か所ずつ、たしかめる

かん電池と豆電球をつないだのに、明かりがつかない。となりの班はついている。あせって、どう線をぬいてはさし直し、電池を入れかえ、豆電球を取りかえる。しばらくしてやっとついたけれど、どこが悪かったのかは分からないまま。3年の電気の勉強でいちばんもったいないのは、この時間です。つかない原いんは、多くて五つしかありません。順番に見ていけば、かならず見つかります。

電気の道は、輪になっていないと通らない

まず、明かりがつく形を思い出します。かん電池には出っぱりのある方と、平らな方があります。出っぱりのある方がプラス極、平らな方がマイナス極です。

明かりがつく形 かん電池のプラス極 ↓ どう線 豆電球 ↓ どう線 かん電池のマイナス極 ↓ (電池の中を通って、またプラス極へ)

矢印をたどっていくと、出発した場所にもどってきます。このひとつながりの輪が、電気の通り道です。

ここで大事なのは、輪が一か所でも切れていたら、どこにも通らないということです。九か所つながっていて一か所だけ外れている、という場合でも明かりはつきません。「ほとんどつながっているから、少しは光る」ということは起きないのです。

ということは、つかないときにさがすものは決まっています。切れている、その一か所です。ぜんぶを同時にうたがう必要はありません。

しらべる順番を、先に決めておく

手当たりしだいにさわると、うまくいったときに理由が分かりません。二か所を同時に直してしまえば、どちらがきいたのかも分からない。これは風とゴムの実験で「変えるのは一つだけ」と習ったことと、まったく同じ考え方です。

調べる場所には、多い順・見るだけで分かる順があります。この順で、上からたどっていきます。

順番調べるところ見かた
1どう線のはしが、金属でふれているかビニルの上をはさんでいないか
2豆電球が、しっかりねじこまれているかもう半回転、回してみる
3電池の両はしに、ちゃんと当たっているかゆびで軽くおすとつくなら、これ
4とちゅうに、通さないものが入っていないか紙・ビニル・とりょうの色
5豆電球の中の細い線が切れていないかすかして見る/別の豆電球ととりかえる

この順番には理由があります。1と2はいちばん多い原いんで、しかも見るだけでたしかめられます。5の「豆電球が切れている」はいちばん少ないのに、とりかえに手間がかかります。少ない原いんから先に手を出すと、時間ばかりかかってしまうのです。

そして、直したら、そのつど明かりを見る。1を直して、つくかどうかを見る。つかなければ2へ進む。こうすれば、ついたしゅんかんに「原いんは今直したところだった」と分かります。直っただけでなく、理由が手もとに残ることが大事です。

つないだつもりで、通っていない

いちばん多いのが、表の1番です。どう線のはしは、ビニルをむいて金属が出ています。ところが、そのビニルの部分をはさんでしまうことがある。見た目はきちんとつながっているので、まさか通っていないとは思いません。

同じことは、ゼムクリップやかんでも起きます。クリップは金属ですが、色のついたクリップは表面にとりょうがぬってあります。とりょうは電気を通しません。空きかんも、外がわはぬってあって、切り口や内がわだけが金属です。

通ると思ったのに、通らないもの ・色つきクリップの、色のところ ・かんの、ぬってある外がわ ・アルミはくの、上にはった紙テープ ・さびてしまった、古いどう線のはし → どれも「中は金属」だが、 さわっている面が金属ではない

電気が通るのはふれている面です。中身が金属かどうかではなく、ふれているところが金属かどうかで決まる。これが分かると、うまくいかない実験の半分は自分で直せるようになります。

スイッチは、わざと切るための道具

ここまでは「切れていると困る」という話でした。ところが、切れることを役に立てている道具もあります。スイッチです。

スイッチは、電気の通り道を自分の手で切ったりつないだりできる場所を、わざと作ったものです。つまみを動かすと金属どうしがはなれ、輪が切れて明かりが消える。もどすと金属どうしがくっつき、輪がつながって明かりがつく。

教室の電気も、かい中電灯も、しくみは同じです。「消えている」というのは電気がなくなったのではなく、どこか一か所を、わざと切ってあるという状態です。

やってはいけないつなぎ方がある

かん電池のプラス極とマイナス極を、どう線だけで直接つなぐことはしてはいけません。豆電球やモーターを通さないつなぎ方のことです。

このとき、どう線とかん電池はとても熱くなります。やけどをすることがあり、かん電池もすぐに使えなくなってしまいます。実験でどう線があまったときは、電池につないだままにせず、はしをはなしておきます。

豆電球やモーターには、電気の流れをちょうどよい強さにおさえる役目もあります。だから、電池のプラスとマイナスを、道具ぬきで直接つながない。これは3年のうちに覚えておく約束です。

つまずきやすいところ

その1 二か所を同時に直してしまう

電池を入れかえながら、豆電球も回してしめる。それでついたとき、原いんは電池だったのか豆電球だったのか、もう分かりません。直すのは一か所、そのたびに明かりを見る。急がば回れで、こちらのほうが結局は早く終わります。

その2 「金属なら通る」で止まってしまう

電気を通すのは金属だ、という言い方は正しいのですが、テストで出されるのは金属に見えて、表面が金属ではないものです。色つきクリップ、ぬってあるかん、紙をはったアルミはく。「これは、さわっている面が金属か」と言いかえて考えます。

その3 電池の向きを、いつも気にしてしまう

豆電球だけをつなぐ場合、かん電池の向きを反対にしても明かりはつきます。明るさも変わりません。向きが問題になるのはモーターや発光ダイオードで、これは4年で習います。3年のうちは、豆電球なら向きは関係ないと覚えておけば十分です。

やってみよう

Q1 電気の通り道が一か所だけ切れているとき、豆電球はどうなりますか。

A まったくつきません。輪がひとつながりでないと電気は通らないからです。少しだけ光る、ということはありません。

Q2 つかないとき、いちばん先に見るところはどこですか。

A どう線のはしが、金属の部分でふれているかです。いちばん多い原いんで、しかも見るだけでたしかめられるからです。

Q3 色のついたゼムクリップをつないだのに、明かりがつきませんでした。なぜですか。

A 表面のとりょうが電気を通さないからです。中は金属でも、ふれている面が金属でなければ通りません。

Q4 スイッチを切ると明かりが消えるのは、どういうことが起きているからですか。

A 電気の通り道が、そこで切れるからです。スイッチは、わざと切ったりつないだりできる場所を作った道具です。

Q5 かん電池のプラス極とマイナス極を、どう線だけでつないではいけないのはなぜですか。

A どう線と電池が熱くなって、やけどのおそれがあるからです。電池もすぐ使えなくなります。かならず豆電球などを通してつなぎます。

まとめ

おうちの方へ

この記事は電気の知識そのものより、うまくいかないときの調べ方を扱っています。「原いんは一つ」「調べる順番を決める」「一つ直すごとに結果を見る」という進め方は、4年の直列・並列、5年の電磁石、6年の電気の利用まで、そのまま使い続けられる考え方です。理科の実験でつまずいているお子さんの多くは、知識ではなく、この手順を持っていないだけということがあります。
ご家庭で見ていただくときは、答えを教えるより「今、どこをうたがっているの?」と聞いてみてください。場所を一つ言えれば、その子は順番に調べる進め方ができています。「ぜんぶかな」と答えるようなら、上の表を一緒に見ながら、1番から順に指でたどってみてください。
器具がなくても練習はできます。かい中電灯の明かりがつかないとき、電池・向き・電球・ふたのしまりぐあいを、順番に一つずつ確かめさせてみる。それだけでも同じ力がつきます。
なお、かん電池のプラス極とマイナス極を直接つなぐのは危険です。この一点だけは、ご家庭でも約束として確認しておいていただけると安心です。