3年 理科 チョウの育ち方

チョウの育ち方 ── さなぎの中で、体が作り直されている

イモムシとチョウが同じ生き物だとは、とても思えません。さなぎの中で何が起きているのかを知ると、驚きます。

4つの段階

モンシロチョウは、次の順番で育ちます。

たまご ↓ 約1週間 幼虫(ようちゅう)=アオムシ ↓ 約2〜3週間(4回だっぴ) さなぎ ↓ 約1〜2週間 成虫(せいちゅう)=チョウ

この「さなぎ」がある育ち方を、完全変態かんぜんへんたいといいます。

3年生では言葉まで覚える必要はありませんが、「さなぎになる虫」と「ならない虫」がいることは知っておきます。

育ち方順番こん虫の例
さなぎになるたまご→幼虫→さなぎ→成虫チョウ、カブトムシ、ハチ、アリ、ハエ
さなぎにならないたまご→幼虫→成虫バッタ、トンボ、セミ、カマキリ

バッタは、小さいときからすでにバッタの形をしています。だんだん大きくなるだけです。

でもチョウは、幼虫のときはまったく別の生き物のような姿です。ここが大きな違いです。

幼虫は食べる係

アオムシ(モンシロチョウの幼虫)は、ひたすら食べます

キャベツの葉を食べて、食べて、食べ続けます。そして、どんどん大きくなります。

たまごからかえったばかり:約1mm ↓ 食べる さなぎになる直前:約3cm → 長さが30倍! 重さは数百倍にもなる

でも、こん虫の体には問題があります。外側がかたくて、伸びないのです。

人間の皮ふは伸びますが、こん虫の外側(外骨格)は伸びません。だから、大きくなるためには脱皮(だっぴ)が必要です。

中身が大きくなる ↓ 外側の皮がきつくなる ↓ 古い皮をぬぐ(だっぴ) ↓ 新しい皮はまだやわらかいので、 その間に体が大きくなる ↓ 新しい皮がかたまる

モンシロチョウの幼虫は、4回だっぴします。だっぴのたびに大きくなり、最後にさなぎになります。

だっぴの直後は皮がやわらかく、動けません。この時期は敵に襲われやすい危険な時間です。だから、葉のうらなどにかくれてだっぴします。

さなぎの中で起きていること

ここがこの単元でいちばん驚くところです。

さなぎは、外から見るとじっとしていて、何も起きていないように見えます。でも中では、とんでもないことが起きています

さなぎの中では… 幼虫の体が、いったんドロドロに溶ける ↓ その材料を使って、 まったく新しい体が組み立てられる ↓ チョウの体になる

体を作り直しているのです。イモムシの足も、口も、皮ふも、いったんバラバラになって、チョウの羽や細い足やストロー状の口に作り変えられます。

だから、幼虫と成虫はまったく違う姿なのです。同じ体が変形したのではなく、作り直されたからです。

そして、この間さなぎは何も食べません。幼虫のときにためた養分だけで、体を作り直します。だから幼虫はあれほど食べる必要があったのです。

さなぎは動かないけれど生きている

さなぎは動かないので、死んでいると思う子がいます。でも生きています
そっとさわると、ぴくっと動くことがあります。中で活発に変化が起きているのです。
ただし、さわりすぎると弱ってしまいます。観察は目で見るだけにします。

なぜこんな面倒な育ち方をするのか

子どもからよく出る質問です。「バッタみたいに、そのまま大きくなればいいのに」

いい質問です。じつは、さなぎになる育ち方には大きな利点があります。

幼虫成虫
やわらかい・足が短い羽がある・足が細い
食べ物花のみつ
かむ口ストロー状
すみかキャベツ畑花のある場所
仕事食べて大きくなる移動して卵を産む

注目してほしいのは、食べ物がちがうことです。

幼虫は葉を食べ、成虫は花のみつを吸う。親子で食べ物を取り合わないのです。

もし同じものを食べていたら、親と子が同じ食べ物を奪い合うことになります。でも別々なら、その心配がありません。

そして、役割分担ができます。

1つの体で両方やろうとすると、どちらも中途半端になります。期間を分けて、それぞれに特化した体になる──これがさなぎになる育ち方の強みです。

実際、こん虫の8割以上がさなぎになる仲間です。この方法が有利だったことの証拠といえます。

飼育と観察のポイント

モンシロチョウは、教室でも家でも飼えます。観察のポイントを整理します。

  1. 卵を見つける キャベツの葉のうら。とても小さい(1mm)
  2. 葉ごと持ち帰る 卵だけ取ると死んでしまう
  3. 新しい葉を毎日入れる しおれた葉は食べない
  4. ふんを掃除する 病気を防ぐ
  5. さなぎになる場所を用意 容器の壁や枝
  6. 羽化したら逃がす 飼い続けるのは難しい

とくに③新しい葉が重要です。アオムシはしおれた葉を食べません。毎日交換が必要です。

また、キャベツは農薬のついていないものを使います。スーパーのキャベツで死んでしまうことがあります。

観察するときは、日付と大きさを記録します。

5月10日 卵を見つけた 1mm 5月17日 かえった 約2mm 5月22日 だっぴ1回目 約8mm 5月28日 だっぴ3回目 約20mm 6月 3日 さなぎになった 約25mm 6月15日 羽化した

この記録があると、それぞれの段階が何日かかったかが分かります。「卵から成虫まで約35日」と、自分のデータで言えるようになります。

つまずきやすいところ

その1 さなぎが死んだと思う

動かないので心配になる。
動かないのが正常です。中で体を作り直しているので、外からは何も見えません。
色が変わってきたら、羽化が近いサインです。

その2 幼虫が育たない

葉を食べずに死んでしまう。
原因の多くは農薬しおれた葉です。無農薬のキャベツを使い、毎日新しい葉に交換します。
また、種類の違う葉を与えても食べません。モンシロチョウの幼虫はアブラナ科(キャベツ・ダイコン・ブロッコリー)しか食べません。

その3 幼虫と成虫が同じ生き物だと実感できない

姿があまりに違うので、信じられない。
実際に飼って、変化を見るのがいちばんです。自分が世話をしたアオムシがチョウになる瞬間は、忘れられない体験になります。
難しい場合は、動画でも代用できます。

やってみよう

Q1 チョウの育つ順番を言えますか。

A たまご→幼虫→さなぎ→成虫

Q2 バッタとチョウで、育ち方の違いは何ですか。

A バッタはさなぎにならない。チョウはさなぎになります。

Q3 なぜ幼虫はだっぴをするのですか。

A 外側の皮が伸びないから。大きくなるには古い皮をぬぐ必要があります。

Q4 幼虫と成虫で、食べ物はどう違いますか。それはなぜ都合がよいのですか。

A 幼虫は葉、成虫は花のみつ。食べ物が別々なので、同じえさを奪い合わずにすむのです。

まとめ

おうちの方へ

モンシロチョウの飼育は、家庭でもできます。プランターでキャベツやブロッコリーを育てると、自然に卵を産みにきます。
ただし、スーパーのキャベツは農薬がついていることがあり、幼虫が死んでしまう原因になります。無農薬のものを用意するか、自分で育てた葉を使ってください。
さなぎの中で体が作り直されている話は、大人が聞いても驚きます。ぜひ話題にしてみてください。「イモムシがドロドロに溶けてチョウになる」と聞くと、多くの子が目を丸くします。
また、羽化の瞬間に立ち会えたら、それは特別な体験です。朝に羽化することが多いので、色が変わってきたら翌朝に注目してみてください。