イモムシとチョウが同じ生き物だとは、とても思えません。さなぎの中で何が起きているのかを知ると、驚きます。
モンシロチョウは、次の順番で育ちます。
この「さなぎ」がある育ち方を、完全変態といいます。
3年生では言葉まで覚える必要はありませんが、「さなぎになる虫」と「ならない虫」がいることは知っておきます。
| 育ち方 | 順番 | こん虫の例 |
|---|---|---|
| さなぎになる | たまご→幼虫→さなぎ→成虫 | チョウ、カブトムシ、ハチ、アリ、ハエ |
| さなぎにならない | たまご→幼虫→成虫 | バッタ、トンボ、セミ、カマキリ |
バッタは、小さいときからすでにバッタの形をしています。だんだん大きくなるだけです。
でもチョウは、幼虫のときはまったく別の生き物のような姿です。ここが大きな違いです。
アオムシ(モンシロチョウの幼虫)は、ひたすら食べます。
キャベツの葉を食べて、食べて、食べ続けます。そして、どんどん大きくなります。
でも、こん虫の体には問題があります。外側がかたくて、伸びないのです。
人間の皮ふは伸びますが、こん虫の外側(外骨格)は伸びません。だから、大きくなるためには脱皮(だっぴ)が必要です。
モンシロチョウの幼虫は、4回だっぴします。だっぴのたびに大きくなり、最後にさなぎになります。
だっぴの直後は皮がやわらかく、動けません。この時期は敵に襲われやすい危険な時間です。だから、葉のうらなどにかくれてだっぴします。
ここがこの単元でいちばん驚くところです。
さなぎは、外から見るとじっとしていて、何も起きていないように見えます。でも中では、とんでもないことが起きています。
体を作り直しているのです。イモムシの足も、口も、皮ふも、いったんバラバラになって、チョウの羽や細い足やストロー状の口に作り変えられます。
だから、幼虫と成虫はまったく違う姿なのです。同じ体が変形したのではなく、作り直されたからです。
そして、この間さなぎは何も食べません。幼虫のときにためた養分だけで、体を作り直します。だから幼虫はあれほど食べる必要があったのです。
さなぎは動かないので、死んでいると思う子がいます。でも生きています。
そっとさわると、ぴくっと動くことがあります。中で活発に変化が起きているのです。
ただし、さわりすぎると弱ってしまいます。観察は目で見るだけにします。
子どもからよく出る質問です。「バッタみたいに、そのまま大きくなればいいのに」
いい質問です。じつは、さなぎになる育ち方には大きな利点があります。
| 幼虫 | 成虫 | |
|---|---|---|
| 体 | やわらかい・足が短い | 羽がある・足が細い |
| 食べ物 | 葉 | 花のみつ |
| 口 | かむ口 | ストロー状 |
| すみか | キャベツ畑 | 花のある場所 |
| 仕事 | 食べて大きくなる | 移動して卵を産む |
注目してほしいのは、食べ物がちがうことです。
幼虫は葉を食べ、成虫は花のみつを吸う。親子で食べ物を取り合わないのです。
もし同じものを食べていたら、親と子が同じ食べ物を奪い合うことになります。でも別々なら、その心配がありません。
そして、役割分担ができます。
1つの体で両方やろうとすると、どちらも中途半端になります。期間を分けて、それぞれに特化した体になる──これがさなぎになる育ち方の強みです。
実際、こん虫の8割以上がさなぎになる仲間です。この方法が有利だったことの証拠といえます。
モンシロチョウは、教室でも家でも飼えます。観察のポイントを整理します。
とくに③新しい葉が重要です。アオムシはしおれた葉を食べません。毎日交換が必要です。
また、キャベツは農薬のついていないものを使います。スーパーのキャベツで死んでしまうことがあります。
観察するときは、日付と大きさを記録します。
この記録があると、それぞれの段階が何日かかったかが分かります。「卵から成虫まで約35日」と、自分のデータで言えるようになります。
動かないので心配になる。
動かないのが正常です。中で体を作り直しているので、外からは何も見えません。
色が変わってきたら、羽化が近いサインです。
葉を食べずに死んでしまう。
原因の多くは農薬かしおれた葉です。無農薬のキャベツを使い、毎日新しい葉に交換します。
また、種類の違う葉を与えても食べません。モンシロチョウの幼虫はアブラナ科(キャベツ・ダイコン・ブロッコリー)しか食べません。
姿があまりに違うので、信じられない。
実際に飼って、変化を見るのがいちばんです。自分が世話をしたアオムシがチョウになる瞬間は、忘れられない体験になります。
難しい場合は、動画でも代用できます。
Q1 チョウの育つ順番を言えますか。
A たまご→幼虫→さなぎ→成虫。
Q2 バッタとチョウで、育ち方の違いは何ですか。
A バッタはさなぎにならない。チョウはさなぎになります。
Q3 なぜ幼虫はだっぴをするのですか。
A 外側の皮が伸びないから。大きくなるには古い皮をぬぐ必要があります。
Q4 幼虫と成虫で、食べ物はどう違いますか。それはなぜ都合がよいのですか。
A 幼虫は葉、成虫は花のみつ。食べ物が別々なので、同じえさを奪い合わずにすむのです。
モンシロチョウの飼育は、家庭でもできます。プランターでキャベツやブロッコリーを育てると、自然に卵を産みにきます。
ただし、スーパーのキャベツは農薬がついていることがあり、幼虫が死んでしまう原因になります。無農薬のものを用意するか、自分で育てた葉を使ってください。
さなぎの中で体が作り直されている話は、大人が聞いても驚きます。ぜひ話題にしてみてください。「イモムシがドロドロに溶けてチョウになる」と聞くと、多くの子が目を丸くします。
また、羽化の瞬間に立ち会えたら、それは特別な体験です。朝に羽化することが多いので、色が変わってきたら翌朝に注目してみてください。