3年 国語 物語を読む

物語を読む ── 気持ちが変わった「きっかけ」を探す

2年生は「どんな気持ちか」でした。3年生は「なぜ変わったのか」。原因を本文から探します。

3年生の読みとりで変わること

2年生3年生
気持ちその場面での気持ち変化と、その原因
人物誰が出てくるかどんな性格か(人物像)
根きょ「そう思った」本文のどこからそう考えたか
情景あまり扱わない景色の描写にも意味がある

いちばん大きな変化は、「なぜ」を問われるようになることです。

2年生では「うれしかった」と答えられれば十分でした。3年生では「なぜうれしかったのか」「何がきっかけで変わったのか」まで求められます。

気持ちの変化を追う

物語の主人公は、たいてい話の始めと終わりで変わっています

はじめ:こわい・不安・できない ↓ 【きっかけ】 おわり:平気・自信がある・できた

この【きっかけ】の部分を見つけるのが、3年生の読みとりです。

きっかけには、いくつかのパターンがあります。

きっかけの種類
だれかの言葉友だちに「がんばれ」と言われた
だれかの行動だまって手伝ってくれた
出来事失敗した/成功した
気づき相手も同じ気持ちだったと分かった

とくに多いのが「だれかの言葉」です。会話文の中に、物語を動かす一言があることが多いのです。

だから、会話文(「 」の中)には注目して読みます。とくに、主人公以外の登場人物が言ったことに、変化のきっかけが隠れていることがよくあります。

変化の前後をくらべる

まず最初の場面と最後の場面だけを読みくらべます。「どう変わったか」が分かったら、その間のどこで変わったかを探します。
物語全体を頭から順に追うより、両端から挟み撃ちにするほうが早く見つかります。

根きょを示す

3年生から強く求められるのが、「本文のどこからそう考えたか」です。

△ 「たろうはうれしかったと思います」 ○ 「たろうはうれしかったと思います。 なぜなら『やったあ』と言って とびはねているからです」

後者には根きょがあります。本文の言葉を引用して、自分の考えを支えています。

この形は、テストの記述問題でそのまま使えます。

【答え方の型】 〜だと思います(考えます)。 なぜなら、「(本文の言葉)」とあるからです。

「なぜなら」という言葉と、本文からの引用(「 」でくくる)。この2つがあれば、しっかりした答えになります。

そして、この習慣が身につくと読み方そのものが変わります。「なんとなくそう思う」ではなく、「ここにこう書いてあるからそう思う」と考えるようになります。

これは国語だけの話ではありません。理科の観察記録、社会の調べ学習でも、根きょを示すことが求められます。「そう思った」ではなく「こう書いてあった」「こう観察できた」。証拠にもとづいて考えるという姿勢そのものです。

情景描写に気づく

3年生では、景色の描写にも意味があることを学びます。

「空はどんよりと曇っていた。」 → これから悪いことが起きそう 「雲の間から日がさしてきた。」 → 気持ちが明るくなった 「桜がまいちるなか、歩いた。」 → 別れ・さびしさ

物語の中の天気や景色は、ただの背景ではありません。多くの場合、登場人物の気持ちと重ねて描かれています。

これに気づくと、物語の読み方が一段深くなります。「なぜここで雨の描写があるんだろう?」と考えるようになるからです。

ただし、注意も必要です。すべての景色描写に意味があるわけではありません。ただ状況を説明しているだけのこともあります。

見分け方の目安は、気持ちが動く場面の近くにあるかです。主人公が落ち込んだ直後に雨が降り出したら、それは偶然ではないでしょう。

3年生では「そういう書き方があるんだ」と知っておくだけで十分です。本格的に扱うのは5年生・6年生です。

人物像をとらえる

もう一つ、3年生から出てくるのが人物像です。「どんな性格の人物か」を考えます。

これも、本文の記述から判断します

本文の記述読みとれる性格
だまって手伝ったやさしい・おせっかいでない
何度も練習したあきらめない・努力家
すぐに謝ったすなお・正直
みんなを笑わせた明るい・ムードメーカー

ポイントは、「性格」は直接書かれていないことが多いということです。「たろうはやさしい子です」とは書かれていません。

かわりに、行動が書かれています。読者は、その行動から性格を推理するのです。

これは物語の書き方の基本でもあります。「やさしい」と書くより、やさしい行動を書いたほうが、読者に伝わるからです。

作文を書くときにも使える技術です。「妹はかわいい」と書くより、「妹はぼくの顔を見るとにっこり笑って走ってくる」と書いたほうが、かわいさが伝わります。

音読で表現する

3年生でも、音読は重要な学習です。ただし、レベルが上がります。

とくに「間を取る」は高度な技術です。大事な一言の前で少し止まると、聞いている人の注意が集まります。

音読の練習は、読解の確認にもなります。気持ちが分かっていない子は、平坦に読んでしまいます。逆に、うまく読み分けられる子は、内容を理解しています。

「どう読もうか」と考えること自体が、読みとりの作業なのです。

つまずきやすいところ

その1 根きょを示せない

「なんとなくそう思った」で終わる。
「どこにそう書いてある?」と必ず聞く。指で示せればOKです。慣れてきたら、その部分を書き写させます。

その2 変化のきっかけが見つからない

気持ちが変わったことは分かるが、原因が分からない。
会話文に注目します。誰かの一言がきっかけであることが多いです。
また、変化の直前の出来事を探す、という方法もあります。

その3 自分の経験と混ざる

「ぼくだったらこう思う」と答えてしまう。
それも大事な反応ですが、読みとりでは本文が優先です。「お話の中ではどう?」と戻します。
自分の経験と重ねるのは、読みとったあとの段階です。

やってみよう

Q1 主人公の気持ちは、はじめと終わりでどう変わりましたか。

A 「不安→安心」「こわい→平気」など。まず両端をくらべます。

Q2 変わったきっかけは、どの場面のどんな出来事ですか。

A 会話文や出来事の中にあります。ページと行を指せたら完ぺきです。

Q3 「うれしかったと思う」の後に、根きょを付け加えましょう。

A 「なぜなら『〜』と書いてあるからです」。本文の言葉を「 」で引用します。

Q4 物語の中に、天気や景色の描写はありましたか。そのとき主人公はどんな気持ちでしたか。

A 重なっていることが多いです。気づけたら、読みが一段深くなっています。

まとめ

おうちの方へ

3年生の読みとりで最も大事なのが「根きょを示す」習慣です。「どこにそう書いてある?」と聞くだけで、読み方が変わります。
この習慣は、高学年の読解問題で決定的な差になります。記述問題では、根きょのない答えは点になりません。
また、景色の描写に気づくと、物語がぐっと面白くなります。「なんでここで雨が降ってるんだろうね」と聞いてみてください。子どもなりの答えが返ってきます。
音読は3年生でも続けてください。うまく読み分けられているかは、理解できているかのバロメーターです。平坦に読んでいるようなら、内容がつかめていないサインかもしれません。