3年 国語 詩を読む

詩を読む ── 短いのに心に残るのはなぜか

物語より、ずっと短い。それなのに強く心に残る。詩には工夫があるからです。

詩と文章のちがい

物語・説明文
長さ長いとても短い
書き方文をつなげる行で区切る
言葉説明するそぎ落とす
読み方意味を追うひびきも味わう

詩のいちばんの特徴は、言葉が少ないことです。説明を省き、いちばん伝えたいものだけを残します。

だから、ひとつひとつの言葉が重いのです。物語なら1000字で伝えることを、詩は50字で伝えようとします。

そして、詩にはという単位があります。文章のように続けて書かず、途中で改行します。

【文章として書くと】 空が青い。雲が白い。風がふく。 【詩として書くと】 空が青い 雲が白い 風がふく

同じ内容ですが、印象が違います。1行ずつ読むことで、それぞれの言葉が立ってきます。改行そのものが、詩の表現なのです。

工夫その1 くり返し

詩でいちばんよく使われるのがくり返しです。

ぼくは走る ぼくは走る どこまでも走る

同じ言葉を重ねると、強調されます。「走る」という行為が、読む人の頭に残ります。

また、くり返しにはリズムを生むはたらきもあります。同じ形が続くと、読んでいて心地よくなります。

そして、くり返しの中の変化が大事です。

ぼくは走る ぼくは走る どこまでも走る ← ここだけ違う!

3行目だけが違います。同じものが続くから、違いが目立つのです。この「違う部分」に、詩の中心があることが多いです。

1年生で読んだ「おおきなかぶ」も、同じしくみでした。「うんとこしょ、どっこいしょ」のくり返しの中で、よぶ人がどんどん増えていく。くり返しと変化は、物語でも詩でも使われる技法です。

工夫その2 たとえ

たとえ(比ゆ)も、詩でよく使われます。

【たとえを使わない】 雲が白い 【たとえを使う】 雲は まっ白な わたあめ

「わたあめ」と言われると、ふわふわした感じ、あまそうな感じまで伝わります。ただ「白い」と言うより、ずっと豊かです。

たとえには2つの種類があります。

種類
「ような」を使うAはBのようだ雲はわたあめのようだ
「ような」を使わないAはBだ雲はわたあめだ

3年生では、この区別まで覚える必要はありません(4年生以降で「直ゆ」「隠ゆ」として学びます)。「何かを別のものにたとえている」と気づければ十分です。

そして、なぜそのたとえを選んだのかを考えると、詩が深く読めます。

「雲はわたあめ」──ふわふわしていて、白くて、やわらかそう。でも「雲は綿」でもよかったはずです。あえて「わたあめ」にしたのは、あまそう・食べたい・うれしい感じを出したかったからかもしれません。

たとえには、書き手の気持ちが表れます

工夫その3 リズム

詩は声に出して読むと、よさが分かります。

リズムを作る方法はいくつかあります。

とくに五音・七音は、日本語で心地よく感じるリズムです。俳句(五七五)や短歌(五七五七七)はこのリズムでできています。

「ふるいけや」(5音) 「かわずとびこむ」(7音) 「みずのおと」(5音) 読むと自然にリズムが生まれる

また、音の感じも詩の要素です。

「さらさら」「そよそよ」 → やわらかい感じ 「ごろごろ」「どんどん」 → 重い・強い感じ 「きらきら」「ぴかぴか」 → 明るい感じ

1年生・2年生で学んだ音を表す言葉が、詩では重要な道具になります。同じ雨でも「しとしと」と「ざあざあ」ではまったく違う情景が浮かびます。

詩を書いてみる

詩は読むだけでなく、自分で書くのも大事な学習です。

難しく考える必要はありません。短くていいのが詩のよさです。

  1. 題材を1つ決める 空、雨、犬、給食、なんでも
  2. よく見る・思い出す 色、形、音、動き
  3. 思いついた言葉を並べる 文にしなくてよい
  4. いらない言葉を消す これがいちばん大事
  5. 行に分ける どこで切ると気持ちいいか

ポイントは④いらない言葉を消すです。詩は「足す」より「引く」ことで作られます。

【最初】 きのう見た夕日がとてもきれいで オレンジ色にかがやいていて 思わず立ち止まってしまいました 【けずる】 夕日 オレンジ 立ち止まる 【行に分ける】 夕日が オレンジに もえている 立ち止まった

短くなるほど、ひとつひとつの言葉が強くなります。

そして、工夫を1つ入れてみます。くり返しでも、たとえでもいい。「もえている」は、じつはたとえです。本当に燃えているわけではありません。

うまく書こうとしない

詩を書くとき、「うまく書こう」と思わないことが大事です。かっこいい言葉を使おうとすると、かえって伝わらなくなります。
自分が本当に感じたことを、そのまま短く書く。それが一番よい詩になります。

連(れん)というまとまり

詩には、というまとまりがあります。行がいくつか集まって、1行あけたところで区切られます。

空が青い 雲が白い ← 1行あける 風がふく 草がゆれる 上が第一連、下が第二連

連は、説明文の段落にあたるものです。「ここで内容が変わる」という区切りを表しています。

連ごとに、何が書かれているかを見ていくと、詩の組み立てが分かります。

よくある組み立て内容
第一連見たもの・場面の紹介
第二連もっとくわしく/別の見方
最後の連気持ち・気づき

とくに最後の連には、書き手がいちばん伝えたいことが来ることが多いです。説明文で「このように」の後にまとめが来るのと同じです。

だから、詩を読むときは最後の連をていねいに読む。ここに詩の中心があることが多いからです。

ただし、これも決まりではありません。最初の一行が一番強い詩もあります。連の構成に注目しながら、その詩なりの組み立てを見つけることが大事です。

つまずきやすいところ

その1 「何が言いたいか分からない」

詩は説明しないので、意味が取りにくいことがあります。
まず声に出して読む。意味より先に、ひびきを感じます。何回か読むうちに、見えてくることがあります。
また、正解が1つとは限りません。感じ方が人によって違うのが詩です。

その2 工夫に気づかない

さらっと読んで終わってしまう。
「くり返しはある?」「たとえはある?」と探しながら読む。見つけるゲームのようにすると、注意して読むようになります。

その3 詩が書けない

「何を書けばいいか分からない」
身近なもの1つから始めます。空、給食、消しゴム。そして短くてよいと伝えます。3行でも詩です。
行数を増やそうとすると、かえって手が止まってしまいます。

やってみよう

Q1 教科書の詩を声に出して読んでみましょう。くり返されている言葉はありますか。

A 見つかったら、なぜくり返しているのか考えてみましょう。強調か、リズムか。

Q2 「雲はわたあめだ」──何を何にたとえていますか。

A わたあめに。ふわふわして白い、という共通点があります。

Q3 雨の音を表す言葉を3つ挙げましょう。それぞれどんな雨ですか。

A 「しとしと」=静かな雨、「ざあざあ」=激しい雨、「ぽつぽつ」=降り始め。音で情景が変わります。

Q4 好きなもの1つについて、3行の詩を書いてみましょう。

A 長く書かなくて大丈夫。いらない言葉を消すのがコツです。

まとめ

おうちの方へ

詩の学習は「正解がない」ため、教える側も戸惑いやすいところです。でも、それでいいのです。感じ方が違ってよい、というのが詩の学習の前提です。
お子さんが詩を読んだら、「どこが好き?」と聞いてみてください。理由は言えなくても構いません。好きな一行を選べれば十分です。
詩を書くときは、短くてよいと伝えてください。3行でも立派な詩です。長く書かせようとすると、かえって書けなくなります。
また、音読が特に効果的なのが詩です。声に出すとリズムが分かり、意味が後からついてくることもあります。意味が分からなくても、まず読ませてみてください。