3年 国語 送りがな

送りがな ── どこから ひらがなにするかは、決まっている

「話す」か「話なす」か。まようのは、感かくで決めようとしているからです。送りがなには、ちゃんと決まりがあります。

送りがなは、何のためにあるのか

漢字のうしろについているひらがなを送りがなといいます。「歩く」の「く」、「新しい」の「しい」の部分です。

なぜわざわざ、ひらがなをつけるのでしょう。全部漢字で書いたほうが短くてよさそうに見えます。しかし、送りがながないと、こまることが起きます。

上 → 「うえ」? 「あがる」? 「のぼる」? 上る  → のぼる 上げる → あげる

同じ「上」という字でも、読み方はいくつもあります。そこで、うしろのひらがながどの読み方なのかを教える目印になっているのです。「上る」と書いてあれば「のぼる」、「上げる」と書いてあれば「あげる」。ひらがなを見たしゅん間に、読み方が一つに決まります。

つまり送りがなは、かざりではありません。読む人がまよわないための、道しるべです。ここが分かると、「なんで覚えなきゃいけないの」という気持ちが少し変わります。

いちばん大事な決まり ── 形が変わるところから送る

決まりはたくさんあるように見えますが、まずはこの一つだけで、ほとんどの言葉が説明できます。

言葉の形が変わる部分は、ひらがなで書く。

たとえば「話す」を、いろいろな言い方にしてみます。

話さない 話します 話す 話せば 話そう

ならべてみると、「話」の部分はずっと動きません。変わっているのはそのうしろだけです。だから、動かない「話」を漢字にして、変わる「す」からをひらがなにする。これで「話す」になります。

「話なす」と書きたくなる人は、「なす」も動かない部分だと思っているのです。でも「話さない」と言いかえると、「な」が消えてしまいます。消えるということは、そこは変わる部分だということです。

まよったら、言いかえてみる

この考え方は、そのままテストで使えます。まよったら、「〜ない」をつけて言いかえるのです。

動く  → 動かない → 「か」から変わる → 動く 起きる → 起きない → 「き」から変わる → 起きる 考える → 考えない → 「え」から変わる → 考える

変わりはじめる一文字目から、あとを全部ひらがなにします。これだけで、動きを表す言葉の送りがなは、ほとんど正しく書けます。

ようすを表す言葉は、まちがえやすい

「大きい」「新しい」のように、「い」で終わる、ようすを表す言葉があります。これも同じで、変わるところから送ります。

大きい → 大きかった → 大きく 新しい → 新しかった → 新しく

「大き」「新し」までが動かないので、そこまでが漢字とひらがなの決まった形になります。ここでよくおきるまちがいが、次の三つです。

正しいよくあるまちがいなぜまちがえるか
新しい新い「し」も漢字の中に入っていると思っている
少ない少い「な」を落としてしまう
短い短かいいらない「か」を入れている

「新しい」と「短い」で、送る長さがちがうのが分かりにくいところです。これはもう、声に出して何度も書いて、形で覚えるしかありません。「新しい・少ない・短い・細かい・明るい」のあたりが定番の出題です。

送りがなが変われば、言葉そのものが変わる

ここが送りがなのいちばんおもしろいところです。同じ漢字でも、うしろのひらがなのつけ方で別の言葉になってしまうことがあります。

書き方読み方意味
細いほそいはばがせまい(細いえん筆)
細かいこまかい小さくてこまごました(細かい字)
苦いにがい味がにがい
苦しいくるしい体や心がつらい

「細い字」と書いてしまうと、「ほそい字」という意味になり、言いたかったこととずれてしまいます。書きまちがえると読む人につたわる中身が変わるのです。丸をもらうためだけの決まりではない、ということです。

だから作文を書いたあとは、うしろのひらがなだけを見なおす時間をとると効きます。声に出して読んでみて、自分が言いたかった読み方になっているかを確かめます。

じゅく語には、うしろのひらがなはつかない

もう一つ、気づいておきたいことがあります。「話す」にはひらがなが必要なのに、「会話」「電話」にはつきません。漢字二字のじゅく語には、うしろにひらがながつかないのがふつうです。

話す (はなす)  … 音読みではなく訓読み 会話 (かいわ)  … 音読みだけでできている

りゆうは、じゅく語が音読みだけでできていて、形が変わらないからです。「会話さない」「会話せば」とは言いません。形が変わらないのだから、変わる部分を書き分ける必要もない、というわけです。

ぎゃくに言えば、うしろにひらがながついている漢字は、たいてい訓読みです。ここに気づいておくと、4年生で漢字辞典の音訓さくいんを習うときに、読み方のあたりがつけやすくなります。

覚えるしかない、決まった形もある

決まりで説明できないものも、少しだけあります。よく使うのに、決まりの外にいる言葉です。

こういう言葉は、りゆうをさがすよりそのまま形で覚えたほうが早いです。ノートのすみに「まちがえたところ」だけを集めたページを作っておくと、自分せんようの出題リストになります。三回まちがえた言葉は、たいてい四回目もまちがえます。

やってみよう

Q1 「およぐ」を漢字とひらがなで書きましょう。

A 泳ぐ。「泳がない」と言いかえると「が」から変わるので、「ぐ」だけを送ります。

Q2 「新い本」は、どこがまちがっていますか。

A 「し」が足りません。「新しい本」が正しい書き方です。「新しかった」と言いかえると、「し」までは動かないと分かります。

Q3 「細い字」と「細かい字」は、どうちがいますか。

A 「細い字」は線がほそい字、「細かい字」は小さくこまごました字です。ひらがな一文字で、意味が変わります。

Q4 「上る」と「上げる」は、それぞれ何と読みますか。

A 「のぼる」と「あげる」です。うしろのひらがなが、読み方を決める目印になっています。

Q5 「みじかい」で、まちがえやすい書き方は何ですか。

A 「短かい」と、いらない「か」を入れてしまうまちがいです。正しくは「短い」です。

まとめ

おうちの方へ

この単元は、漢字テストで「字は合っているのにバツ」になる代表格です。お子さんにとってはなっとくがいきにくく、「漢字は書けたのに」と不満が残りやすいところでもあります。
そこで役に立つのが、この記事の前半にある「読み方を決める目印」という説明です。「上る」と「上げる」を並べて見せると、うしろのひらがながないと読めないことが一目で分かります。バツの理由が「決まりだから」ではなく「読む人が読めないから」に変わると、覚える気持ちが続きやすくなります。
練習では、書き取りより言いかえのほうが効きます。「動く、を『ない』の形にすると?」と口で聞くだけでよいので、車の中や食たくでもできます。
また、まちがえた語だけを集めたリストを作ると、量がぐっと減ります。ここでつまずく語は、一人につき十語ほどに集中していることがほとんどです。全部をやり直す必要はありません。