3年 国語 話し合いの進め方

話し合いの進め方 ── 司会がいると、話し合いは前に進む

2年生では「返し方」を学びました。3年生では役割を持って、目的に向かって進めることを学びます。

2年生からの進化

2年生3年生
中心人の意見に返す目的に向かって進める
役割なし(または先生が司会)司会・記録・参加者
ゴール意見を出し合う結論を出す・決める
記録しない書いて残す

いちばんの違いは、ゴールがあることです。「なんとなく話し合った」では終われません。何かを決める必要があります。

そのために、役割が必要になります。

3つの役割

司会

話し合いを前に進める役です。仕事は思ったより多いです。

  1. 議題を確認する 「今日は○○について話し合います」
  2. 時間を伝える 「20分で決めましょう」
  3. 意見を求める 「意見のある人?」
  4. 指名する 「はい、○○さん」
  5. 整理する 「今、2つの意見が出ています」
  6. まとめる 「では、○○に決まりました」

とくに⑤整理するが、司会の腕の見せどころです。

「今、意見が2つに分かれています。 1つめは○○がいいという意見で、 理由は△△だからです。 2つめは□□がいいという意見で、 理由は××だからです。」

こう整理すると、全員が今の状況を理解できます。整理がないと、同じ意見が繰り返されて話が進みません。

記録

出た意見を書いて残す役です。黒板や紙に書きます。

記録があると、3つのよいことがあります。

書き方のコツは、短く・箇条書きで。全部書こうとすると追いつきません。キーワードだけで十分です。

参加者

意見を言う役です。2年生で学んだ4つの返し方(同じ・ちがう・つけたし・しつもん)を使います。

3年生では、さらに理由を必ず言うことが求められます。

意見には必ず理由をつける

これは2年生から続くことですが、3年生ではさらに重要になります。

△ 「ドッジボールがいいです。」 ○ 「ドッジボールがいいです。 なぜなら、クラス全員が ルールを知っているからです。」

なぜ理由が必要なのでしょうか。理由がないと、比べられないからです。

「ドッジボールがいい」「サッカーがいい」──理由がなければ、どちらがよいか判断できません。多数決で決めるしかなくなります。

でも理由があれば、理由どうしを比べられます

A「ドッジボール。全員がルールを知っているから」 B「サッカー。運動場が広く使えるから」 → どちらの理由が、今回の目的に合っているか? → 「全員が楽しめる」が目的なら、Aのほうが強い

これが話し合いで決めるということです。多数決ではなく、理由の強さで決める

この考え方は、5年生の「意見文」、6年生の「提案する文章」へつながります。主張には根きょが必要という、一生使う原則です。

意見が分かれたとき

話し合いをすれば、必ず意見は分かれます。3年生では、いくつかの解決方法を学びます。

方法どんなとき
合わせる両方できるとき「前半ドッジ、後半サッカー」
条件をつける「次回は別のをやる」という約束つきで
目的に立ち返る「そもそも何のため?」を確認する
多数決どうしても決まらないとき(最後の手段)

とくに「目的に立ち返る」は強力です。

意見が対立して進まない ↓ 司会が問いかける 「そもそも、何のためのお楽しみ会でしたっけ?」 → 「1年生に楽しんでもらうため」 → 「じゃあ、1年生でもできるほうがいいね」 → 決まる

目的を思い出すと、判断の基準ができます。何を大事にするかがはっきりすれば、選ぶことができます。

これは大人の会議でも使われる方法です。議論が行き詰まったら「そもそも何のためだったか」に戻る。3年生で学ぶことが、そのまま実社会で使えます

多数決は最後

多数決は簡単ですが、少数の意見が消えます。しかも、理由を考える必要がありません。
だから最後の手段です。まず理由を出し合い、合わせられないか考え、目的に立ち返る。それでも決まらないときに使います。
また、多数決で決めたあとも「反対だった人の意見をどう生かすか」を考えると、よりよい結論になります。

決まったことを確認する

話し合いの最後に、必ずやることがあります。決まったことの確認です。

「では、まとめます。 お楽しみ会でやるのは【ドッジボール】です。 理由は、1年生も知っているルールだからです。 準備は【〇〇さんと△△さん】が担当します。 次回までに【ボールを用意する】ことになりました。 これでよろしいですか?」

確認すべきことは、だいたい次の4つです。

ここまで確認しないと、決めたのに動かないということが起こります。「誰かがやるだろう」と全員が思って、誰もやらない。よくある失敗です。

そして、これを記録に残す。記録係の出番です。あとで「そんなこと決めたっけ?」とならないためです。

つまずきやすいところ

その1 司会が何をすればいいか分からない

いきなり司会をやらされて固まってしまう。
台本を用意するのが有効です。「今日の議題は〜」「意見のある人?」など、言うことを紙に書いておきます。
慣れてきたら台本なしで。最初から完璧を求めません。

その2 理由が言えない

「なんとなく」しか出てこない。
考える時間を先に取る。いきなり話し合いを始めず、「まず3分、自分の考えと理由をノートに書きましょう」。書いたものがあれば、発言しやすくなります。

その3 声の大きい人の意見に流される

強く主張する子の意見で決まってしまう。
司会が「ほかに意見はありませんか」と必ず聞く。また、ペアで話す時間を先に取ると、発言しにくい子の意見も出やすくなります。
意見の強さは、声の大きさではなく理由の強さだと確認しておきます。

やってみよう

Q1 司会の仕事を3つ言えますか。

A 議題を確認する、意見を求める・指名する、整理する、まとめる など。

Q2 記録があると、どんなよいことがありますか。

A 同じ意見の繰り返しが減る、あとで見返せる、決まったことが残る。

Q3 意見が分かれて決まらないとき、多数決の前に何ができますか。

A 両方合わせる条件をつける目的に立ち返る。多数決は最後の手段です。

Q4 話し合いの最後に確認すべき4つのことは?

A 何に決まったか・なぜ・誰が何をするか・いつまでに

Q5 「なんとなくこっちがいい」と言われたら、司会は何と聞きますか。

A 「どうしてそう思いましたか」。理由を引き出すのも司会の仕事です。

Q5のように、司会は理由を引き出す役でもあります。理由のない意見が出たら、そのままにせず「どうしてですか」と聞く。これだけで話し合いの質が変わります。

ただし、聞き方には気をつけます。責めるような口調だと、その子は次から発言しなくなります。「もう少しくわしく教えて」のような、興味を持って聞く言い方がよいでしょう。

まとめ

おうちの方へ

話し合いの力は、家庭での経験がそのまま出ます。家族で何かを決めるとき、お子さんにも意見と理由を聞いてみてください。
「どこに行きたい?」だけでなく「なぜそこがいいの?」まで聞く。そして、理由が納得できるものなら実際に採用する。この経験があると、話し合いに前向きになります。
また、お子さんが司会を任されて困っているようなら、台本作りを手伝ってあげてください。言うことが決まっていれば、緊張が減ります。
「目的に立ち返る」という方法は、家庭でも使えます。きょうだいげんかのときに「そもそも何がしたかったの?」と聞くと、意外と解決することがあります。