2年生では「返し方」を学びました。3年生では役割を持って、目的に向かって進めることを学びます。
| 2年生 | 3年生 | |
|---|---|---|
| 中心 | 人の意見に返す | 目的に向かって進める |
| 役割 | なし(または先生が司会) | 司会・記録・参加者 |
| ゴール | 意見を出し合う | 結論を出す・決める |
| 記録 | しない | 書いて残す |
いちばんの違いは、ゴールがあることです。「なんとなく話し合った」では終われません。何かを決める必要があります。
そのために、役割が必要になります。
話し合いを前に進める役です。仕事は思ったより多いです。
とくに⑤整理するが、司会の腕の見せどころです。
こう整理すると、全員が今の状況を理解できます。整理がないと、同じ意見が繰り返されて話が進みません。
出た意見を書いて残す役です。黒板や紙に書きます。
記録があると、3つのよいことがあります。
書き方のコツは、短く・箇条書きで。全部書こうとすると追いつきません。キーワードだけで十分です。
意見を言う役です。2年生で学んだ4つの返し方(同じ・ちがう・つけたし・しつもん)を使います。
3年生では、さらに理由を必ず言うことが求められます。
これは2年生から続くことですが、3年生ではさらに重要になります。
なぜ理由が必要なのでしょうか。理由がないと、比べられないからです。
「ドッジボールがいい」「サッカーがいい」──理由がなければ、どちらがよいか判断できません。多数決で決めるしかなくなります。
でも理由があれば、理由どうしを比べられます。
これが話し合いで決めるということです。多数決ではなく、理由の強さで決める。
この考え方は、5年生の「意見文」、6年生の「提案する文章」へつながります。主張には根きょが必要という、一生使う原則です。
話し合いをすれば、必ず意見は分かれます。3年生では、いくつかの解決方法を学びます。
| 方法 | どんなとき |
|---|---|
| 合わせる | 両方できるとき「前半ドッジ、後半サッカー」 |
| 条件をつける | 「次回は別のをやる」という約束つきで |
| 目的に立ち返る | 「そもそも何のため?」を確認する |
| 多数決 | どうしても決まらないとき(最後の手段) |
とくに「目的に立ち返る」は強力です。
目的を思い出すと、判断の基準ができます。何を大事にするかがはっきりすれば、選ぶことができます。
これは大人の会議でも使われる方法です。議論が行き詰まったら「そもそも何のためだったか」に戻る。3年生で学ぶことが、そのまま実社会で使えます。
多数決は簡単ですが、少数の意見が消えます。しかも、理由を考える必要がありません。
だから最後の手段です。まず理由を出し合い、合わせられないか考え、目的に立ち返る。それでも決まらないときに使います。
また、多数決で決めたあとも「反対だった人の意見をどう生かすか」を考えると、よりよい結論になります。
話し合いの最後に、必ずやることがあります。決まったことの確認です。
確認すべきことは、だいたい次の4つです。
ここまで確認しないと、決めたのに動かないということが起こります。「誰かがやるだろう」と全員が思って、誰もやらない。よくある失敗です。
そして、これを記録に残す。記録係の出番です。あとで「そんなこと決めたっけ?」とならないためです。
いきなり司会をやらされて固まってしまう。
台本を用意するのが有効です。「今日の議題は〜」「意見のある人?」など、言うことを紙に書いておきます。
慣れてきたら台本なしで。最初から完璧を求めません。
「なんとなく」しか出てこない。
考える時間を先に取る。いきなり話し合いを始めず、「まず3分、自分の考えと理由をノートに書きましょう」。書いたものがあれば、発言しやすくなります。
強く主張する子の意見で決まってしまう。
司会が「ほかに意見はありませんか」と必ず聞く。また、ペアで話す時間を先に取ると、発言しにくい子の意見も出やすくなります。
意見の強さは、声の大きさではなく理由の強さだと確認しておきます。
Q1 司会の仕事を3つ言えますか。
A 議題を確認する、意見を求める・指名する、整理する、まとめる など。
Q2 記録があると、どんなよいことがありますか。
A 同じ意見の繰り返しが減る、あとで見返せる、決まったことが残る。
Q3 意見が分かれて決まらないとき、多数決の前に何ができますか。
A 両方合わせる、条件をつける、目的に立ち返る。多数決は最後の手段です。
Q4 話し合いの最後に確認すべき4つのことは?
A 何に決まったか・なぜ・誰が何をするか・いつまでに。
Q5 「なんとなくこっちがいい」と言われたら、司会は何と聞きますか。
A 「どうしてそう思いましたか」。理由を引き出すのも司会の仕事です。
Q5のように、司会は理由を引き出す役でもあります。理由のない意見が出たら、そのままにせず「どうしてですか」と聞く。これだけで話し合いの質が変わります。
ただし、聞き方には気をつけます。責めるような口調だと、その子は次から発言しなくなります。「もう少しくわしく教えて」のような、興味を持って聞く言い方がよいでしょう。
話し合いの力は、家庭での経験がそのまま出ます。家族で何かを決めるとき、お子さんにも意見と理由を聞いてみてください。
「どこに行きたい?」だけでなく「なぜそこがいいの?」まで聞く。そして、理由が納得できるものなら実際に採用する。この経験があると、話し合いに前向きになります。
また、お子さんが司会を任されて困っているようなら、台本作りを手伝ってあげてください。言うことが決まっていれば、緊張が減ります。
「目的に立ち返る」という方法は、家庭でも使えます。きょうだいげんかのときに「そもそも何がしたかったの?」と聞くと、意外と解決することがあります。