3年 国語 国語辞典の使い方

国語辞典の使い方 ── 引けるようになると、自分で学べる

辞典が引けるかどうかは、大きな分かれ道です。知らない言葉に出会ったとき、自分で解決できるようになります。

なぜ3年生で習うのか

3年生になると、教科書に出てくる言葉が急に難しくなります。理科と社会が始まり、専門的な用語も増えます。

そのたびに先生や家の人に聞いていては、学習が進みません。自分で調べられるようになる──それがこの単元の目的です。

そして、辞典を引く力は一生使えます。今はスマホで検索することも多いですが、調べ方の基本は同じです。

とくに3つめの「意味を選ぶ」は、検索でも同じです。出てきた情報の中から、今の場面に合うものを選ぶ力が必要になります。

五十音順のきまり

国語辞典の言葉は五十音順に並んでいます。まずはこの順番を体に入れます。

あいうえお かきくけこ さしすせそ たちつてと なにぬねの はひふへほ まみむめも やゆよ らりるれろ わをん

そして、いくつかのきまりがあります。

きまり1 1文字目が同じなら、2文字目で比べる

あさ → あし → あす → あせ → あそ ↑ 2文字目が あいうえお 順

きまり2 清音 → 濁音 → 半濁音の順

はな → ばな → ぱな (清音) (濁音) (半濁音) 「はし」→「はじ」の順

「はし(橋)」と「はじ(恥)」なら、「はし」が先です。てんてんがつく前が先、と覚えます。

きまり3 大きい字 → 小さい字の順

やっと → やつと ではなく 「やつ」→「やっ」の順 つまり 大きい「つ」が先、小さい「っ」が後

きまり4 のばす音は、その段の音として扱う

「ケーキ」の「ー」は「え」として扱う → ケエキ の位置に並ぶ

きまり3と4は、はじめは難しく感じます。でも実際に何度も引くうちに、感覚がつかめてきます。理屈より練習量が大事な部分です。

速く引くための道具

辞典には、速く引くための工夫がついています。

つめ(辞典の横についた印)

辞典を閉じたまま横から見ると、「あ」「か」「さ」…と印がついています。これを「つめ」といいます。

「さ」で始まる言葉を探すなら、まず「さ」のつめのところを開く。いきなり目的地の近くへ飛べます

はしら(ページの上にある言葉)

各ページの上か外側に、そのページの最初と最後の言葉が書いてあります。これを「はしら」といいます。

ページ上部 【さくら ── さつまいも】 → このページには「さくら」から 「さつまいも」までの言葉がある

探している言葉がこの範囲に入るかどうかで、ページをめくる方向が分かります

この2つを使うかどうかで、引く速さが何倍も変わります。1ページずつめくっている子には、必ず教えてあげたいところです。

引く練習は遊びで

辞典引き競争が効果的です。「『こおり』を引いて!」とお題を出し、誰が早く見つけられるか。
ゲームにすると、子どもは何十回でも引きます。回数をこなすほど速くなり、五十音順の感覚も身につきます。
見つけたページにふせんを貼っていくのもおすすめです。辞典がふせんだらけになると、達成感があります。

言葉の形を直してから引く

ここが意外な難所です。文章の中の形のままでは、辞典に載っていません

文章中の形辞典で引く形
走った走る
楽しく楽しい
静かに静かだ(または静か)
読まない読む
大きな大きい

動きを表す言葉は「〜う段」の形に、様子を表す言葉は「〜い」の形に直します。

これを言い切りの形といいます。「走った」を「走る」に直す──この作業が必要だと知らないと、辞典を引いても見つかりません。

コツは、「〜。」で文を終えられる形にすることです。「走った」→「走る。」と言えるか確かめます。

これは4年生・5年生の文法学習にもつながる、大事な感覚です。

意味を選ぶ

辞典を引くと、1つの言葉に複数の意味が載っていることがあります。

【とる】 ① 手に持つ 「本をとる」 ② 選んで手に入れる 「メダルをとる」 ③ 取り除く 「よごれをとる」 ④ 写す 「写真をとる」 ⑤ 記録する 「メモをとる」

ここで「どれが今の場面に合うか」を選ぶ必要があります。

選び方のコツは、元の文にあてはめてみることです。

「先生が黒板の字をノートにとる」 ① 手に持つ → 意味が通らない ⑤ 記録する → 意味が通る!

この作業は、読解力そのものです。文脈から適切な意味を判断する──これは高学年の読解問題でも問われる力です。

また、辞典には例文が載っています。「メモをとる」のような短い文です。この例文が、意味を選ぶ大きな手がかりになります。

意味だけ読んで分からないときは、例文を見る。これも辞典を使う技術の一つです。

どんな辞典を選ぶか

3年生が使う辞典には、いくつかの種類があります。

種類特徴
小学生向け国語辞典言葉数は少なめ、説明がやさしい、絵や写真が多い
一般の国語辞典言葉数が多い、説明が難しい
電子辞書・アプリ速い、複数の辞典を同時に引ける

3年生なら小学生向けの紙の辞典がおすすめです。理由は2つあります。

2つめは、紙の辞典ならではの良さです。「こおり」を引くとき、「こおろぎ」「ごうかく」なども目に入ります。思わぬ発見があるのが紙の辞典です。

ただし、電子辞書やアプリが悪いわけではありません。速く引けるのは大きな利点です。使い分けができればいちばんです。

つまずきやすいところ

その1 1ページずつめくって探す

時間がかかり、途中で嫌になる。
つめとはしらを使うことを教えます。この2つを知っているだけで、引く速さが劇的に変わります。

その2 言い切りの形に直せない

「走った」のまま探して見つからない。
「〜。」で終われる形に直すと教えます。「走った」→「走る。」。何度か練習すれば身につきます。

その3 最初の意味だけ読んで終わる

①だけ見て、場面に合わないのに納得してしまう。
最後まで読んでから選ぶ。そして元の文にあてはめて確かめる。この2ステップを習慣にします。

やってみよう

Q1 「はし」と「はじ」、辞典で先に出てくるのはどちら?

A 「はし」。清音が濁音より先です。

Q2 「楽しかった」を辞典で引くには、どんな形に直しますか。

A 「楽しい」。言い切りの形に直します。

Q3 辞典の横についている「あ」「か」「さ」の印を何といいますか。

A つめ。ここから開くと速く探せます。

Q4 「かける」を引いて、意味がいくつあるか数えてみましょう。

A 辞典によりますが、10個以上あることも。「橋をかける」「電話をかける」「かけ算」など、まったく違う意味が並んでいます。

まとめ

おうちの方へ

辞典を引く力は、家庭での使用頻度で決まります。学校で習っただけでは身につきません。
おすすめは、辞典を出しっぱなしにしておくことです。しまい込むと使わなくなります。リビングの手の届くところに置いておくだけで、引く回数が増えます。
そして、お子さんが言葉の意味を聞いてきたら、すぐ答えずに「一緒に調べてみようか」と誘ってみてください。答えを教えるより、調べ方を身につけるほうが長い目で価値があります。
また、引いたページにふせんを貼っていくのもおすすめです。辞典がふせんで膨らんでいくのは、目に見える成果になります。
辞典引き競争は盛り上がります。大人が本気でやると、意外と子どもに負けます。