校ていの 木の 下が、茶色い 葉で いっぱいに なって います。花は へり、虫の 声も 小さく なって いきます。だから 秋は「おわって いく 季節」だと 思われがちです。けれども、秋に 外で 見つかる ものを 一つずつ たどって いくと、じつは ぜんぶが ふゆと 来年の したくだと 分かります。
まず、いちばん まちがえられて いる ところから 話します。葉が 落ちるのは、木が 弱った しるしでは ありません。
もし 木が 弱って 葉を おとして いるのなら、来年の 春に また 葉が 出て くるのは おかしな 話です。じっさいには、木は 元気な まま、自分の つごうで 葉を 手ばなして います。
秋に 外で 目に つく ものを、思いつく だけ ならべて みます。落ち葉、どんぐり、赤や 黄色の 葉、すすき、虫の 声。この どれもが「もう だめだ」の サインでは なく、「つぎの きせつに 向けて、じゅんびが 進んで いる」の サインです。この 記事では、その じゅんびの 中身を、外で たしかめられる 形で 見て いきます。
ふゆに なると、土の 中は つめたく なります。根は つめたい 水を すいにくく なり、木が 使える 水は ぐんと へります。
ところが 葉は、ついて いる だけで 水を そとへ にがして しまいます。入って くる 水が へるのに、出て いく 水は そのまま。これでは 木が こまります。
そこで 木は、さきに 水の 出口の ほうを 閉じます。葉の ねもとに、切りはなす ための 場しょを 自分で 作って、そこから 葉を 切りおとすのです。
ほんとうに そうなのかは、落ち葉を ひろえば たしかめられます。葉の じくの 先を よく 見て ください。ちぎれた ようには なって いなくて、まるく、つるりと した 切り口に なって います。むりに ひきちぎった 葉と くらべると、ちがいが すぐ 分かります。
枝の ほうにも あとが のこります。葉が ついて いた ところに、小さな まるい 形が 見えます。これを 葉こんと いいます。よく 見ると、顔の ように 見える ものも あります。切り口が きれいだ、という ことは、きちんと 切りはなした という ことです。事こで ちぎれたのなら、こんなに そろった 形には なりません。
秋の 葉の 色は、ひとまとめに「こうよう」と よばれます。でも 中身を 見ると、黄色に なるのと 赤に なるのは、まったく べつの できごとです。
| 色 | 木の れい | 何が 起きて いるか |
|---|---|---|
| 黄色 | イチョウ | みどりの 色が ぬけて、もとから あった 黄色が 見えて くる |
| 赤 | カエデ・サクラ | みどりが ぬけた あとで、赤い 色が 新しく 作られる |
| 茶色 | ケヤキ・クヌギ | 色が ぬけきって、のこった 部分の 色に なる |
黄色い 葉は、絵の具を ぬった わけでは ありません。もともと 葉の 中に あった 黄色が、みどりに かくされて いた だけです。夏の あいだ、みどりの 色が こすぎて 見えなかったのです。
赤は ぎゃくで、秋に なってから 作られる 色です。だから、同じ 1本の 木でも 赤く なる 時じきが そろいません。日が よく 当たる そとがわの 葉から さきに 赤く なり、中の ほうや 北がわは おくれます。
この ちがいは、木の 前に 立って 見あげる だけで たしかめられます。「どちらの 向きが 先に 赤いか」を 見ると、色の でき方の 話が 自分の 目で つながります。
どんぐりは ひろって あそぶ ものだと 思われて いますが、木に とっては たねです。うまく いけば、その 1つが つぎの 木に なります。
ひろった どんぐりを しばらく 箱に 入れて おくと、中から 白い 虫が 出て きて おどろく ことが あります。これは きたないから では なく、先に 住んで いたからです。ゾウムシの なかまが、まだ かたく なる 前の どんぐりに たまごを うみつけて いて、中で そだって いたのです。
虫の 入って いない どんぐりを えらびたい ときは、水を つかいます。
作ひんに 使うなら、しずんだ ものを えらんで、ひと晩 水に つけてから かわかすと あんしんです。そだてて みたい ときは、ひろった あきの うちに 土に うめて、外に 出した ままに して おきます。どんぐりは さむさに 当たって から 芽を 出す ものが 多いので、あたたかい 部屋に 入れると かえって 芽が 出ません。
秋の おわりに 近づくと、虫の 声が 聞こえなく なります。すると「虫は ぜんぶ しんで しまった」と 思いがちです。じっさいには、虫ごとに 決まった 形で 冬を こして います。
| 虫 | どの すがたで 冬を こすか | 秋に さがす ところ |
|---|---|---|
| カマキリ | たまご(あわの ような かたまりの 中) | 草の くきや、へいの 上の ほう |
| アゲハ | さなぎ | 木の みきや 板の かべ |
| テントウムシ | おとなの まま、集まって | 石の 下、まどの すきま |
| コオロギ | たまご(土の 中) | 草むらの 土 |
カマキリの たまごの かたまりは、秋に 見つけやすい ものの 一つです。見つけても その 場しょから 動かさないで ください。家に 持ち帰ると、部屋の あたたかさで 早く 生まれて しまい、外に えさが ない 時きに 何百ぴきも 出て きて しまいます。
ここでも 考え方は 同じです。虫たちは 秋に おわらせて いるのでは なく、こす じゅんびを して いる。だから 秋の 観さつでは、「いなく なった」と 書く 前に、どこに 形を 変えて いるのかを さがして みる 価ちが あります。
いちばん おどろく 話を さいごに 置きます。さくらの つぼみは、春に なってから 作られる のでは ありません。
さくらは 夏の あいだに つぎの 年の 花の もとを 作りおえて いて、秋には もう 枝の 先に ついて います。冬の あいだは じっと して いて、さむさに しっかり 当たってから、あたたかく なると いっせいに ひらきます。
つまり、葉が すっかり 落ちて「枝だけ」に 見える 木は、からっぽなのでは なく、じゅんびが 終わった じょうたいなのです。
秋の うちに 枝の 先を 見て おくと、この ことは 自分の 目で たしかめられます。小さな 丸い ふくらみが ならんで いれば、それが 来年の 春の もとです。冬に もう 一度、春に もう 一度 同じ 枝を 見に 行くと、ふくらみが どう 変わって いくかが つながります。
「秋を さがしましょう」と 言われると、どこを 見て いいか 分からなく なります。そこで、場しょを しぼります。近くの 木を 1本 決めて、その 木だけを 1週間に 1回 見るのです。
見る ところは 3つに しぼります。
カードに 書く ときは、「きれいでした」で 終わらせないのが こつです。きれい、は 見た 人の 気もちで、あとから くらべられません。かわりに 数と 場しょを 書きます。
こう 書いて おくと、つぎの 週に 見に 行った ときに「赤が 5まいから 30まいに ふえた」「みどりは 下だけに なった」と、変わった ところが 数で 出て きます。秋の 観さつが おもしろく なるのは、だいたい 2回目からです。
① 落ち葉を「木が 弱った」しるしだと 思う
落ち葉は 弱った けっかでは なく、冬を こす ための 手だてです。水が 足りなく なる 前に、水の 出口を 自分から 閉じて います。なお、まつや すぎの ように 冬も みどりの ままの 木も あります。あれは 葉を おとさなくても 冬を こせる 形の 葉を もって いるからで、強い・弱いの ちがいでは ありません。
② どんぐりから 虫が 出ると「きたない」と 思って しまう
出て くる 虫は、ひろった あとで わいた ものでは なく、まだ 木に なって いる ころから 中に いた ものです。どんぐりを えさに する 生きものが いる、と いう ことは、その 木が 林の 一部として はたらいて いる しるしでも あります。作ひんに 使う ときだけ、水に しずめて えらべば すみます。
③ 「秋は 生きものが いない」と 書いて しまう
いないのでは なく、見える 形が 変わって います。声が 聞こえない 虫は、たまごや さなぎに なって どこかに います。さがす 場しょを「草の うえ」から「くきの わき・石の 下・木の みき」に 変えると、見つかる ものが がらりと 変わります。
Q1 落ち葉を 1まい ひろって、葉の じくの 先を 見て みましょう。それから、まだ 木に ついて いる 葉を そっと ひっぱって みて、先の 形を くらべて ください。
A 落ち葉の 先は まるく、つるりと して います。ひっぱった 葉の 先は、すじが のこって ぎざぎざに なります。この ちがいが、「落ちた」のでは なく「切りはなした」しょうこです。木を いためるので、ひっぱるのは 1まいだけに して ください。
Q2 イチョウの 黄色は、秋に 新しく できた 色でしょうか。それとも、前から あった 色でしょうか。
A 前から あった 色です。夏の あいだは みどりが こくて かくれて いました。みどりが ぬけると 見えて きます。いっぽう カエデの 赤は 秋に 新しく 作られる 色なので、でき方が ちがいます。同じ「こうよう」でも 中身は 2しゅるい ある、と おぼえて ください。
Q3 どんぐりを 10こ ひろって、水に 入れて みましょう。しずんだ ものと うかんだ ものは、それぞれ 何こ ありましたか。
A 数は 場しょや 木に よって ちがうので、正かいは 一つでは ありません。大事なのは、しずんだ 数と うかんだ 数を メモして おくことです。べつの 木で もう 一度 やると、「この 木は うかぶ ものが 多い」と くらべられます。うかんだ ものを わって みると、中の ようすが 分かります。
Q4 秋の 校ていで、虫の すがたを さがします。どこを 見れば 見つかりやすいでしょうか。3か所 あげて ください。
A れいを あげると、草の くきの わき(カマキリの たまご)、木の みきや かべ(アゲハの さなぎ)、石や 植木ばちの 下(テントウムシ)です。ほかに、落ち葉の 下、木の かわの すきまも よく 見つかります。「歩く ところ」では なく「じっと して いられる ところ」を さがすのが こつです。
Q5 葉が ぜんぶ 落ちて 枝だけに なった さくらの 木を、「からっぽ」と 書いて よいでしょうか。
A よく ありません。枝の 先には、来年 ひらく 花の もとが もう ついて います。「からっぽ」では なく「じゅんびが 終わった ところ」と 書くと、見た ことと 合います。ほんとうに ついて いるか、冬の あいだに 枝の 先を 見に 行って たしかめて ください。
2年生の生活科では「なつ」「ふゆ」にくらべて「あき」が、落ち葉ひろいやどんぐり工作といった活動だけで終わりやすい単元です。活動そのものはとても良いので、そこに一言だけ「なぜ落ちたと思う?」を足していただけると、材料あつめが観察に変わります。
ご家庭でおすすめしたいのは、拾った落ち葉のじくの先をいっしょに見ていただくことです。切り口がまるいことは5秒で確認できて、しかも「木が自分から落とした」という話の証拠になります。知識を覚えるというより、見えているものから理由をさかのぼる練習になります。
どんぐりから虫が出てくる件は、驚いて捨ててしまいがちなところです。拾ってきた日に水に沈めて選別し、沈んだものだけ一晩水につけてから乾かすと、後から出てくることはほぼなくなります。
なお、カマキリの卵のうを持ち帰ると室内の暖かさで冬のうちにふ化してしまいます。見つけた場所で観察するようお伝えいただけると安心です。