えんぴつは 1本、紙は 1まい、犬は 1ぴき。数は どれも「1」なのに、あとに つく ことばが 変わります。なぜ 1つの 言いかたで すませられないのか。そこから 見て いきます。
じつは、ほとんどの ものは「1つ」で 数えても 通じます。「えんぴつが 1つ ある」と 言って、通じない ことは ありません。
それでも、大人は「えんぴつ 1本」と 言います。なぜでしょう。
答えは、数え方が「そのものを どんな ものだと 見て いるか」を いっしょに 伝えて いる からです。「1本」と 聞いた だけで、聞いた 人の 頭の 中には 細長い ものが うかびます。「1まい」と 聞けば、うすくて 平らな ものが うかびます。
つまり 数え方は、おまけの ことばでは ありません。形の 説明を、たった 1文字か 2文字で して いる のです。だから 覚える ときも、ことばを 丸暗記するのでは なく、形で まとめる のが いちばん 早い。
下の 表は、数え方を「形」で ならべた ものです。ばらばらに 見えた ことばが、じつは 6つか 7つの グループに 入る ことが 分かります。
| 数え方 | どんな 形・どんな もの | れい |
|---|---|---|
| 本(ほん) | 細長い もの | えんぴつ、木、かさ、バナナ |
| まい | うすくて 平らな もの | 紙、はっぱ、シャツ、おさら |
| こ(個) | 丸っぽい・小さい もの | たまご、りんご、ボール |
| さつ(冊) | 紙を とじた もの | 本、ノート、ざっし |
| 台(だい) | 大きくて 動く もの・機械 | 車、ピアノ、せんぷうき |
| けん(軒) | 建もの | 家、お店 |
| ひき/とう/わ | 生き物 | 犬、牛、とり |
おもしろいのは、同じ ものでも 見かたが 変わると 数え方が 変わる ところです。
「まちがい」では なく、どこを 見て いるかの ちがい です。ここが 分かると、知らない ものに 出会っても こまりません。形を 見て、近い グループの 数え方を 使えば、たいてい 通じます。
紙は 1まい。でも、紙を たくさん かさねて とじると「1さつ」に なります。ばらばらの ときと、まとまった ときで 数え方が 変わる よい れいです。
カルタも 同じです。ばらの カードは「1まい」ですが、はこに 入った ひとそろいは「1組(くみ)」と 数えます。
数え方の 中で いちばん ややこしいのが 生き物です。ここだけは 形では なく、大きさと 仲間 で 変わります。
| 数え方 | どんな 生き物 | れい |
|---|---|---|
| ひき | 小さい 生き物ぜんぱん | 犬、ねこ、金魚、虫 |
| とう(頭) | 人より 大きい 動物 | 牛、馬、ぞう、くじら |
| わ(羽) | とり | にわとり、すずめ、はと |
| 人(にん) | 人間 | 子ども、お客さん |
大きい/小さいの さかいめは、だいたい 人間より 大きいかどうか です。だから 犬は「ひき」でも、牧場の 馬は「とう」。子牛は「ひき」と 言う ことも あります。ゆれても いい ところだと 知って おくと、気が らくです。
ちょうを「1頭」と 数える 言いかたも ありますが、これは 研究する 人たちの 言いかたです。学校では「1ぴき」で かまいません。
「本」は いつも「ほん」と 読む わけでは ありません。前に くる 数で 読み方が 変わります。
ならべて みると、きまりが 見えます。
これは 覚えるのでは なく、声に 出して みる のが 正しい やり方です。「さんほん」と 言って みると、言いにくい ことが 口で 分かります。言いにくいから、音が 変わったのです。日本語の 音の 変わり方は、たいてい 言いやすさ が 理由です。
くつは、左右 そろって はじめて 使えます。だから 2つ そろって「1足(そく)」 と 数えます。
「くつが 2足 ある」と 言えば、くつは ぜんぶで 4つ。数の 話と つながる ところなので、算数の 数え方と ならべて 考えると すっきり します。
ここでも 理由は 同じです。使う ときの まとまりで 数えて いる。ばらばらの くつを 1つずつ 数えても、はく ことは できません。
「えんぴつ 3こ」と 言う 子は とても 多いです。まちがいでは ありません。通じます。
なおす ときは ×を つけるのでは なく、「細長い ものは 本って 言うんだよ」と 形の 話に すりかえる のが こうかてきです。ことばを 直すより、形の グループを 1つ 覚えた ほうが、次の ものにも 使えます。
「1つ」は どんな ものにも 使える 万能の 数え方で、「1こ」は 丸っぽい ものの 数え方です。だから「人が 1こ」は へんですが、「人が 1つ」も へんです。人間だけは「人(にん)」と 決まって いる。ここは ゆれません。
数え方は 何百 種類も あります。ぜんぶ 覚えるのは ムリで、その 必要も ありません。よく 使う 7つくらいを 形で つかむ。あとは 出会った ときに 1つずつ ふやす。それで 足ります。
Q1 「タオル」は 何と 数えますか。
A 1まい。うすくて 平らだからです。たたんで あっても 形の 仲間は 変わりません。
Q2 「3本」は 何と 読みますか。
A さんぼん。3の ときは にごる 音に なります。
Q3 ぞうは「1ぴき」ですか、「1とう」ですか。
A 1とう。人より 大きい 動物は「とう」で 数えます。
Q4 「くつが 3足 あります」。くつは ぜんぶで いくつですか。
A 6つ。2つで 1足なので、3×2で 6つです。
Q5 はじめて 見た 道具の 数え方が 分かりません。どうしますか。
A 形を 見て、近い 仲間の 数え方を 使います。細長ければ「本」、平らなら「まい」。まよったら「1つ」でも 通じます。
この単元は、プリントよりも家の中を歩いて数えるほうが早く身につきます。「台所にあるもの、数え方をつけて言ってみて」と頼むだけで、おさら1まい・なべ1つ・おはし1ぜん・れいぞうこ1台と、グループの違いが自然に出てきます。
お子さんが「えんぴつ3こ」と言ったときに、すぐ「本でしょ」と直さないでください。訂正だけを受け取ると、数え方は覚えるべき正解の一覧になってしまい、種類が何百もあるこの分野で確実に息切れします。かわりに「細長いものは本って言うんだよ」と形の話にすると、次にストローやバナナを見たときに自分で言えます。
読み方の変化(いっぽん・さんぼん・ろっぽん)は、表で覚えさせる必要はありません。大人が声に出して読み、お子さんに真似させるだけで足ります。「さんほん」と言いにくいことは、耳と口が先に分かります。ここは知識ではなく発音の練習だと考えてください。
なお、数え方には地域差も個人差もあり、ゆれて当たり前です。子牛をひきと数える人も、とうと数える人もいます。どちらかを×にするより、「どちらも聞くね」と伝えたほうが、言葉に対する感覚が育ちます。