2年生に なると、おもちゃや 遊びの 作り方を せつめいする 文 を 書く 学しゅうが あります。この とき ほとんどの 子が、「まず」「つぎに」「それから」「さいごに」を 文の 先に つけて 書きおわりに します。ところが、その 文を べつの 人に わたして 本当に 作らせて みると、たいてい 作れません。足りないのは 順じょの ことばでは なく、べつの もの だからです。
そもそも 作り方の説明文を書くという 学しゅうは、ほかの 作文と ねらいが まるで ちがいます。そこを 先に そろえて おきます。
日記や 物語は、読んだ 人が 分かれば それで しごとが おわります。楽しかった 気もちが つたわれば せいこうです。
ところが 作り方の 文は ちがいます。読んだ 人は そのあと 手を うごかします。はさみを 持ち、紙を 切り、テープを はります。つまり この 文は、読む ための 文では なく、やらせる ための 文 です。
だから できばえの 見分け方も かんたんです。上手か 下手かを 感かくで 決める ひつようは ありません。その 文を 見た 人が、聞きかえさずに 同じ ものを 作れたら せいこう。作れなかったら、どこかが 足りない。ただ それだけです。作文の 中で これほど はっきり 正かいが 決まる ものは、あまり ありません。
そして 作れなかった 原いんを しらべて いくと、出て くる 場しょは だいたい 同じ 四つに 分かれます。順じょの ことばが ない、と いう 原いんは その 中に 入って いません。
いちばん 多い しっぱいが これです。手じゅんの とちゅうで きゅうに 新しい どうぐが 出て きます。
作る 人は、はじめる 前に つくえの 上に ぜんぶ そろえて おきたい のです。とちゅうで 席を 立つのは、いちばん いやな ことです。
だから 本や せつめい書は、かならず 先ほうに「ざいりょう」と「どうぐ」の ならびを おいて います。りょうりの 本も、プラモデルの かみも、同じ 形を して います。これは かざりでは なく、読む 人を 席から 立たせない ための しくみ です。
書く ときの やり方は かんたんです。手じゅんを ぜんぶ 書きおわって から、自分の 文を もう 一度 読み、出て きた ものに ぜんぶ ○を つける。その ○を あつめて、先ほうに うつす。これで ぬけません。さいしょから ざいりょうを 思い出そうと すると、かならず 一つ 二つ わすれます。
つぎに 多いのが、一つの ばんごうの 中に やる ことを つめこんで しまう 書き方です。
| 書き方 | どう なるか | |
|---|---|---|
| × | つぎに、紙を 切って のりを つけて はります。 | 三つの どうさが 一つの 文に 入って いる。どこまで やって から つぎに 行くのか 分からない。 |
| ○ | ② 紙を 切ります。 ③ 切った 紙に のりを つけます。 ④ はこに はります。 | 一つの ばんごうに どうさが 一つ。手を 止めて 読みなおす 場しょが はっきり する。 |
作って いる 人の 手は、たいてい ふさがって います。のりが ついて いたり、紙を おさえて いたり します。その 人が 文を ちらっと 見て、目で 一か所 見つけるだけで つぎが 分かる 形に して おく。それが ばんごうを 分ける 本当の わけです。
目やすは 一つの ばんごうに 「〜ます」は 一回だけ。「切って」「つけて」と 「〜て」で つないだ ところが あったら、そこで 切って ばんごうを ふやす。この 二つを 見るだけで、ほとんど 直せます。
「紙を 切ります」と 言われても、どれくらい 切るのかは 人に よって ばらばらです。書いた 本人は 頭の 中に できあがりが 見えて いるので、書きわすれても 気づきません。
コツは 二つ あります。一つは、算数で ならった 数を そのまま つかう こと。センチ・こ・まい・回。国語の 時間だから 数を つかっては いけない、と いう 決まりは ありません。
もう 一つは、近くに ある ものを ものさしに する こと。10円玉、けしごむ、おや指の つめ。長さを はかる どうぐが なくても、これなら だれでも 同じ 大きさに できます。
向きも 同じです。「たて」「よこ」は、紙を おく 向きで 入れかわって しまいます。まよう ときは、「長い ほう」「みじかい ほう」 と 言いかえると、どちらに おいても ずれません。
これは 気づきにくい のに、いちばん 大きく ひびく ところです。作って いる 人は いつも 同じ ことを 思って います。
「これで あって いるのかな。もう つぎに 行って いいのかな」
この 声に 答えるのが、できあがりの 合図です。その 手じゅんが おわった とき どう 見えるか・どう なるか を、一言 そえて おきます。
合図が あると、まちがえた 人は その 場で 気づいて やりなおせます。合図が ないと、さいごまで 作りきって から「ちがう ものが できた」と 分かります。そこまで 行くと、どこで まちがえたのかは もう 分かりません。
じっさいの せつめい書を 見ると、写真が この しごとを して います。文だけで 書く ときは、写真の かわりに ことばで できあがりを 見せる ひつようが あります。
要ります。ただし しごとの 大きさが ちがう、と いう 話です。
順じょの ことばは、道あんないの 矢じるし です。矢じるしは、道が できて いる ところに 立てるから 役に 立ちます。道その ものが ないのに 矢じるしだけ 立てても、だれも 進めません。
だから 書く 順ばんも、この とおりに します。
じゅんばんを 入れかえるだけで、できあがる 文は まったく べつの ものに なります。さいしょに「まず」と 書いて しまうと、もう それで 書いた 気に なって、中みを たしかめなく なるからです。
なお、④の ざいりょうは 先ほうに おきますが、書くのは いちばん 後 です。書く 順ばんと、ならべる 順ばんは 同じで なくて かまいません。
作り方の 文だけは、自分では 直せません。書いた 人の 頭には できあがりが 見えて いるので、ぬけて いる ところも 見えた ことに して 読んで しまう からです。
直す ときは、かならず ほかの 人に わたします。家の 人でも、友だちでも かまいません。そして 説明を 口で たさない。聞かれても 答えず、止まった 場しょだけを 見ます。そこが 直す ところです。これ いがいに、たしかめる 方ほうは ありません。
「きれいな 色紙を やさしく ゆっくり おります」のような 文です。気もちは 分かりますが、作って いる 人には 要らない ことばです。作り方の 文では、かざる ことばは じゃま に なります。日記や 物語で ほめられた 書き方が、ここでは ぎゃくに はたらきます。
同じ 「書く」でも、にっきと作文 とは ねらいが べつ、と 分けて 考えて ください。
ばんごうが ついて いれば、じつは 順じょの ことばは なくても 通じます。手じゅんが 十も あるのに「それから」が 六回 出て くると、かえって どこまで 進んだか 分からなく なります。つけるなら、はじめ・まん中・おわりの 三か所くらいで じゅうぶんです。
Q1 「つぎに、わゴムを かけます。」この 文の 前に、足りて いない ものが あります。何ですか。
A わゴムが ざいりょうの ならびに 書かれて いません。とちゅうで 出て くる ものは、ぜんぶ 先ほうに あつめて おきます。
Q2 「紙を 切って テープで はって 立てます。」を、ばんごうに 分けて ください。
A ② 紙を 切ります。③ テープで はります。④ 立てます。──「〜て」で つないだ ところが 切れ目です。どうさ 三つなので ばんごう 三つに なります。
Q3 「紙を 少し おります」を、だれが 読んでも 同じに なるように 書きかえて ください。
A 「はしから 2センチの ところで おります」など。「少し」を 数に かえます。ものさしが なければ「おや指の はばだけ おります」でも かまいません。
Q4 できあがりの 合図を 一つ たします。「わゴムを かけます。」の あとに、どんな 一文を そえますか。
A 「うまく かかって いれば、下に ひっぱって はなすと ぴょんと とび上がります。」のように、どう なったら 合って いるか を 書きます。「かかりました」だけでは 合図に なりません。
Q5 自分の 書いた 作り方を、家の 人に わたして 作って もらいましょう。
A 見る ところは 一つだけです。手が 止まった 場しょ。そこが なおす ところです。作れて しまったなら、その 文は もう かんせいです。長さや 字の きれいさは 見なくて かまいません。
さいごに 一つ。この 学しゅうは、作文の 中では めずらしく 答え合わせが できる ものです。上手か 下手かを 人に 決めて もらう ひつようが ありません。わたして、作って もらって、止まった ところを 直す。それを 二回 くりかえすと、たいていの 文は 通るように なります。そして この やり方は、せつめい文を 読む ときにも きいて きます。自分で 書いて みた 人は、本の せつめいを 読む ときに「ここに 合図が ある」と 気づけるからです。
この単元の宿題を見てあげるとき、つい「まず・つぎに・さいごにが入っているね」と接続語をほめてしまいがちですが、それは最後に付け足すだけの一番簡単な部分です。ほめるなら、材料が先頭にまとまっていること、手順が一つずつ切れていること、数が入っていることのほうを見てあげてください。
そして最も効く関わり方は、実際にその通りに作ってみせることです。このとき大事なのは、途中で「これってどういうこと?」と聞かないことです。黙って手を止めてください。子どもは自分の書いた文が人を止めた瞬間を見ると、説明が足りないことを一度で理解します。赤ペンを何十回入れるより速く、しかも本人が納得します。
なお、うまく作れなかったことを失敗として扱わないでください。手が止まった箇所が見つかったこと自体が、この学習の成果です。「二回目でちゃんと作れた」という体験までを一セットにすると、書き直しを嫌がらない子になります。