動物園の動物の英語は、もうならいましたね。きょうは場所をかえて、水族館です。fish(魚)は知っているはず。では、たこは? クラゲは? ヒトデは? ……じつは、海の生き物の英語には、ほかの単元にはない楽しみ方があります。名前そのものが、なぞなぞのように組み立てられているのです。組み立ての読み方が分かると、一度もならったことのない名前を見ても、「これはあの生き物だ!」と当てられるようになります。
水そうの中を思いうかべてみましょう。泳いでいるのは魚だけではありません。足が8本のたこ、すきとおったクラゲ、岩にはりついたヒトデ。魚ではない生き物のほうが、かえって人気者だったりします。
まずは、水族館でよく会う生き物から。声に出しながら読んでみてください。
| 日本語 | 英語 | 近い読み方 |
|---|---|---|
| 魚 | fish | フィッシュ |
| イルカ | dolphin | ドルフィン |
| クジラ | whale | ウェイル |
| サメ | shark | シャーク |
| ペンギン | penguin | ペングィン |
| ウミガメ | sea turtle | シー タートル |
| たこ | octopus | オクトパス |
| いか | squid | スクイッド |
| かに | crab | クラブ |
| えび | shrimp | シュリンプ |
ぜんぶ一度におぼえなくてだいじょうぶです。この表は「よく会う組」。ここからが、きょうの本番です。
つぎの英語を見てください。まだ日本語は書きません。
海のうま。さて、どの生き物のことでしょう。水そうの中で、たてにゆらゆら立って泳ぐ、首の曲がったあの小さな生き物……そう、タツノオトシゴです。頭の形がうまにそっくりだから、英語では「海のうま」とよばれています。
このように、英語の海の生き物には、知っている言葉を二つ組み立てて作った名前がたくさんあります。なぞなぞのつもりで、当てながら読んでみましょう。
| 組み立て | 直訳すると | こたえ |
|---|---|---|
| star + fish(starfish) | 星の魚 | ヒトデ |
| jelly + fish(jellyfish) | ゼリーの魚 | クラゲ |
| sea + lion(sea lion) | 海のライオン | アシカ |
| sea + otter(sea otter) | 海のカワウソ | ラッコ |
| sea + cucumber(sea cucumber) | 海のきゅうり | ナマコ |
| killer + whale(killer whale) | 強いハンターのクジラ | シャチ |
海のきゅうり! たしかにナマコは、色も形もきゅうりににています。名づけた人も、水の中をのぞきこんで「きゅうりみたいだなあ」と思ったのでしょう。英語の名前は、見た目から作った「あだ名」なのです。だから、star(星)や horse(うま)のようなかんたんな言葉を知っていれば、初めて見る長い名前でも、意味のけんとうがつきます。
「英語っておもしろい名づけ方をするんだな」と思ったかもしれません。でも、ちょっと待ってください。日本語も、まったくおなじことをしています。
いちばん分かりやすいのは金魚です。金魚は「金」+「魚」。英語では goldfish、つまり gold(金)+ fish(魚)。日本語と英語が、べつべつの国で、そっくりおなじ組み立ての名前を作っていたのです。
逆に、おなじ生き物を、ちがうものに見立てている組もあります。starfish(星の魚)を、日本語では「ヒトデ」とよびます。漢字で書くと「人手」。英語を話す人は星に見え、日本語を話す人は人の手のひらに見えたわけです。クラゲは漢字で「海月」と書くことがあり、海にうかぶ月に見立てた名前。英語の jellyfish はゼリーに見立てた名前。タツノオトシゴは「竜の落とし子」で、日本語ではうまではなく竜の子どもです。
おなじ生き物をじっと見ても、何に見えるかは国によってちがう。でも、「何かに見立ててあだ名をつける」という名づけの仕組みは、世界共通だったのです。どちらの見立てが正しい、ということはありません。
名前をおぼえたら、水族館にいるつもりで、指さしながら言ってみましょう。
家族や友だちがいれば、なぞなぞクイズであそべます。出題する人が「sea + cucumber!」のように組み立てだけを言い、こたえる人が「海のきゅうり……ナマコ!」と日本語名を当てるあそびです。なれてきたら逆向きにして、「タツノオトシゴ」とお題を出し、「sea +……horse!」と英語を組み立てる側にまわってみましょう。組み立てる側のほうがむずかしく、そのぶん力がつきます。
その1 fish とついていても、魚のなかまとはかぎらない
jellyfish(クラゲ)も starfish(ヒトデ)も、名前に fish が入っていますが、理科でいう魚のなかまではありません。名前はあくまで見た目から作ったあだ名だからです。「ゼリーの魚という名前だけど、ほんとうは魚じゃない」と知っていること自体が、ちょっとした自まんになります。
その2 2ひきになっても fish は fish のまま
英語では、2つ以上になると名前のおしりに s がつくことが多いのですが、fish はつきません。1ぴきでも two fish(2ひきの魚)でも、形はおなじ fish です。jellyfish や goldfish も、fish でおわる名前はおなじ仲間のきまりです。ふしぎなきまりですが、「fish は s がきらい」とおぼえておけばじゅうぶんです。
その3 カタカナの読み方は「近い音のメモ」
この記事の「オクトパス」「シュリンプ」は、英語の音にいちばん近いカタカナをメモしたものです。ほんものの英語では、octopus は頭の「オ」を強くはっきり言います。カタカナを平らに読むだけだと通じにくいことがあるので、じゅぎょうや動画でほんものの音を聞いたら、聞こえたままをまねしてみてください。カタカナと英語の音のずれの話は、野さいの英語の記事でもくわしくべんきょうできます。
Q1 たこは英語でなんと言いますか。
A octopus(オクトパス)です。頭の「オ」を強く言います。
Q2 seahorse は「海の何」という意味で、どの生き物のことですか。
A 「海のうま」という意味で、タツノオトシゴのことです。頭の形がうまににているからです。
Q3 jellyfish は魚のなかまですか。
A いいえ。jellyfish はクラゲで、魚のなかまではありません。名前の fish は見た目から作ったあだ名の一部です。
Q4 金魚は英語でなんと言いますか。名前の組み立てにはどんなひみつがありますか。
A goldfish です。gold(金)+ fish(魚)で、日本語の「金」+「魚」とまったくおなじ組み立てになっています。
Q5 starfish とヒトデは、おなじ生き物を何に見立てた名前ですか。
A 英語の starfish は星に、日本語のヒトデ(人手)は人の手に見立てた名前です。見立ては国によってちがいますが、見立てて名づける仕組みはおなじです。
この記事の主役は単語の暗記ではなく、複合語(compound words)の仕組みです。seahorse や starfish のような名前を「sea+horse」「star+fish」と分解して読む経験は、学年が上がって長い英単語に出会ったとき、知っている部品を手がかりに意味を推測する力の土台になります。「知らない単語=お手上げ」ではなく「分解すれば手がかりがある」という構えを、楽しい生き物の名前のうちに作っておくのがねらいです。
遊び方は本文のなぞなぞクイズがそのまま使えます。出題側が「sea+cucumber!」と部品だけ言い、回答側が日本語名を当てる形式は、単語を知らない保護者の方でも表を見ながら出題できます。水族館に行く機会があれば、館内の英語表記(多くの水族館で学名・英名が併記されています)を探す宝探しにすると、本物の表示で答え合わせができます。
なお「金魚と goldfish が同じ作り」という話題は、言語がちがっても人間の発想が重なる例として、お子さんの印象に残りやすいところです。逆に「ヒトデは人の手、starfish は星」のように見立てが分かれる例では、「あなたにはどっちに見える?」と聞いてみてください。正解のない問いを考えること自体が、ことばへの興味を育てます。