英語でさそってみよう ── Let's には「じぶんもやる」が入っている

この単元について

休み時間になると、教室のあちこちで「あそぼう!」という声が上がります。この「あそぼう!」を英語にしたものが Let's play.(レッツ プレイ)です。英語でさそってみよう、という今回の学習は、この一言から始まります。

じつは Let's は、教科書に大きな単元としてのっていることが少ない言葉です。それなのに、外国語活動の時間になると先生は毎回のように Let's start!(はじめよう)、Let's try!(やってみよう)、Let's sing!(歌おう)と言います。単元としてならう前に、耳のほうが先におぼえてしまう、めずらしい英語なのです。だからこそ、一度立ち止まって「Let's って結局なんなの?」を見ておくと、毎回の授業の聞こえ方が変わります。

Let's のつくりは「Let's + うごきのことば」

作り方はとても単純です。Let's のうしろに、うごきをあらわす言葉をそのままの形でつなげるだけ。形が変わったりくっついたりしないので、知っているうごきの言葉の数だけ、さそいの文が作れます。

英語近い読み方意味口から出る場面
Let's play.レッツ プレイあそぼう休み時間のはじまり
Let's go.レッツ ゴー行こう校庭に出発するとき
Let's sing.レッツ シング歌おう音楽や英語の歌の前
Let's dance.レッツ ダンスおどろうダンスの練習
Let's eat.レッツ イート食べよう給食のはじまり
Let's clean.レッツ クリーンそうじしようそうじの時間

表をたてに見ると、学校の一日がそのままならんでいることに気づくでしょうか。朝の会から給食、そうじまで、みんなで同時に何かを始める場面には、ぜんぶ Let's が使えるのです。学校は「みんなでいっせいに」が多い場所なので、Let's ととても相しょうがいい、と言うこともできます。

「すわって」と「すわろう」は、べつの文

ここからが、この学習のいちばん大事なところです。次の二つの文をくらべてみてください。

英語意味やるのはだれ?
Sit down.すわって。相手だけ
Let's sit down.すわろう。相手と、言った本人

Sit down. は、言った本人は立ったままでもかまいません。すわるのは相手だけだからです。ところが Let's sit down. と言ったら、言った本人もすわらないとおかしいのです。Let's という短い言葉の中に、「じぶんもその中に入っています」という気もちが、最初からつめこまれています。

日本語でも「すわって」と「すわろう」は一字ちがいで意味が変わりますね。英語はそれを、文の頭に Let's を置くか置かないかで切りかえている、というわけです。頭に Let's が聞こえたら、じぶんもやる話だと思って聞く。これがこの単元の芯になります。

先生の Let's try! が命令に聞こえないのも、同じ理由です。「やりなさい」ではなく「先生もいっしょにやるつもりだよ」という形をしているから、教室の空気がやわらかくなるのです。

さそわれたら、返事をする

さそいの言葉は、投げたら終わりではありません。受け取った側の一言があって、はじめて成立します。

返事近い読み方気もち
Yes, let's!イエス レッツうん、やろう!
OK!オーケーいいよ!
Sorry, I can't.ソーリー アイ キャントごめん、できない

おもしろいのは、Yes, let's! という返事のほうにも Let's が入っていることです。「やろう!」に「うん、やろう!」と同じ言葉でかえす。さそった側とさそわれた側が、同じ一語を言い合ってから動き出すので、気もちがそろいやすいのです。

そして、ことわる言い方も最初からセットでおぼえておきます。用事があるとき、体調が悪いとき、さそいを受けられない日はだれにでもあります。だまって首をふるのではなく、Sorry, I can't. と口に出せれば、ことわっても仲は悪くなりません。さそう練習とことわる練習は、二人一組の表とうらだと考えてください。

まちがえやすいところ

1. Let's のうしろに「to」を入れてしまう

少し英語を知っている子ほど、Let's to play. と言ってしまうことがあります。to はいりません。Let's のうしろは、うごきの言葉をそのままの形で。これだけ守れば形はほぼ完成です。

2. 「レッツゴー」を一つのかたまりだと思っている

Let's go. はかけ声としてカタカナでも有名なので、「レッツゴー」で一語だと思っている子がよくいます。ほんとうは Let's と go に切れていて、go の席には play も sing も入れられます。「レッツゴー」の「ゴー」は取りかえのきく部品だと分かると、作れる文が一気にふえます。

3. Let's は Let us がちぢんだ形

Let's の「's」は、じつは us(わたしたち)がちぢんだものです。小2でここを深くやる必要はありませんが、「Let's の中には『わたしたち』がかくれている」と一言そえると、「じぶんもやる」の意味が音の中に見えてきます。

4. 相手だけにたのみたいときに Let's を使ってしまう

ドアを閉めてほしいとき、じぶんは動かないのに Let's close the door. と言うと、聞いた相手は「いっしょに閉めるの?」と首をかしげます。相手だけにお願いしたいときは、Please(プリーズ)をつけてたのむ言い方のほうが合います。じぶんも動くなら Let's、動かないならお願いの形。ここを分けられたら、小2としては十分すぎる理解です。

家や教室でできる短い練習

1. 一日一さそい

一日に一回、家族か友だちを英語でさそってみます。Let's eat. でも Let's go. でもかまいません。さそう場面をじぶんでさがすようになるのが、この遊びのねらいです。

2. かけ声じゃんけん

じゃんけんで勝った人が Let's ○○! とさそい、負けた人が Yes, let's! と返してから、二人でそのまねをします。おどる、歌う、ジャンプする。体が動くので、意味が体でおぼえられます。

3. 「いただきます」を英語の日

週に一度だけ、給食や夕ごはんの前に Let's eat. と言ってみます。毎日の工程に英語を一つまぜるだけなので、続けるのがかんたんです。

4. ことわられても平気の練習

わざと Sorry, I can't. と返してもらう回を作ります。ことわられる側を練習しておくと、ほんとうにことわられた日に、いやな気もちになりにくくなります。

他の学びとのつながり

国語

小2の国語では、「〜しよう」とよびかける文を書く練習があります。遠足のおさそいの手紙、係のポスター。あれはまさに日本語版の Let's です。よびかける文には、書いた本人も入っているという同じ軸で、国語と英語をつなげて見ることができます。

体育・音楽

じゅんび運動のかけ声や、歌い出しの合図は、みんなの動きをそろえるための言葉です。Let's が使われる場面と役わりがそっくりなので、体育や音楽の時間に頭の中でこっそり英語にしてみると、よい練習になります。

高学年の英語へ

5年生になると、Can you come to my party?(パーティーに来られる?)のような、相手の都合をたずねるさそい方をならいます。Let's は「もう決まったことに、いっしょにおいで」、高学年のさそいは「来られるかどうかをまず聞く」。さそい方が一段ていねいに進化するその出発点に、この Let's が立っています。

まとめ

Let's は、たった一語で「じぶんもやるよ」までつたわる、小さくて力のある言葉です。発音がきれいかどうかより、さそったあとにじぶんもちゃんと動いたかのほうが、この言葉では大事になります。口に出して、いっしょに動く。そこまでできたら、この単元は合格です。