図工の時間にはさみを忘れた。のりを隣の人から借りたい。そんなとき日本語なら「かして」の一言ですみます。でも英語の教室では、一言だけではうまく伝わりません。きょうは、英語で「かして」と言おう、を練習しましょう。頼み方とこたえ方には合言葉のような決まった形があり、道具によってこたえの言葉がすこし変わる、おもしろいひみつもかくれています。
日本語の「かして」は一言ですが、英語で同じ気持ちを伝えるには、短い文を組み立てます。
| 日本語 | 英語 |
|---|---|
| (えんぴつを)かして | Can I use your pencil? |
この文は4つの部品がつながっているだけです。「Can I use」はいつも同じ形で、そのあとにyour(きみの)+道具の名前をつければ、どんな持ち物にも使えます。「Can I use your eraser?」「Can I use your ruler?」のように、最後の単語を入れかえるだけで、たずねたい道具を自由に変えられます。
英語の授業で「I have a pencil.」という文を習ったことがあるかもしれません。ここでは「a」ではなく「your」を使っています。この2つには大きなちがいがあります。
「a pencil」は「どれでもいいえんぴつ」を指す言い方です。でも、かりるときは「どれでもいい」では困ります。かりたいのは相手が持っている、その1本だからです。だから「a」のかわりに「your(きみの)」を使って、「だれの持ち物を指しているか」をはっきりさせているのです。
教室でよくかりる道具の単語を見てみましょう。
| 英語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| pencil | ペンスィる | えんぴつ |
| eraser | イレイサー | 消しゴム |
| ruler | ルーラー | じょうぎ |
| crayon | クレイアン | クレヨン |
| notebook | ノートブック | ノート |
| pencil case | ペンスィるケイス | ふでばこ |
| glue | グルー | のり |
| scissors | スィザーズ | はさみ |
この8つのうち、6つ(pencil・eraser・ruler・crayon・notebook・pencil case)は「ふつうの数えられる道具」です。でも最後の2つ、glue(のり)とscissors(はさみ)は、ちょっと仲間はずれの顔を持っています。
「I have a pencil.」のように、道具の前に「a」をつけて数えるのがふつうです。でも、glueとscissorsだけはこの形になりません。
glue(のり)は、水や絵の具のようにドロッとした「数えないもの」の仲間です。コップ1杯、バケツ1杯のように量でしか表せないので、英語では「a」をつけずに、ただ「glue」と言います。一方scissorsは、刃が2枚くっついて1つの道具になっているため、英語では最初から複数のかたまりとして扱われます。くつ下(socks)やくつ(shoes)が2つで1組でも必ず「s」がつくのと、同じ考え方です。1本しかなくても「a scissor」とは言えず、いつも「scissors」のままなのです。
おもしろいのは、「your」をつけた頼み方では、pencilでもglueでもscissorsでも、同じ形がそのまま使えることです。
| かりたいもの | 頼む文 |
|---|---|
| pencil | Can I use your pencil? |
| glue | Can I use your glue? |
| scissors | Can I use your scissors? |
「your」がつくと「a」や「s」の心配はいらなくなります。「your」はいつも持ち主がだれかだけを示す言葉なので、道具が1つでも、数えないものでも、いつも複数のものでも、形を変えずに使えるのです。これが「Can I use your ~?」という合言葉の便利なところです。
頼むときの文は同じ形でしたが、こたえるときは道具によって言葉が変わります。かしてもらった人が「はい、どうぞ」と言う場面を見てみましょう。
pencil・eraser・ruler・crayon・notebook・pencil case・glueは、ぜんぶ「Here it is.」で受け答えします。ところがscissorsだけは「Here they are.」になります。理由は、scissorsが英語では「2枚の刃が集まった、複数のもの」として扱われているからです。日本語の「はさみ」は1つの道具ですが、英語のscissorsは、くつ下やくつと同じ「ペアになったことば」の仲間なので、itではなくthey(それら)で受けるのです。
もし貸せる道具を持っていないときは、どう答えればいいでしょうか。これも道具によって少し形が変わります。
eraserやpencilのような「ふつうの数えられる道具」がないときは、「1つ」を指すoneを使って「I don't have one.」と言います。でも、glueは数えないことば、scissorsはいつも複数のことばなので、どちらも「1つ」という意味のoneが使えません。かわりに、どちらにも使えるanyを使って「I don't have any.」と言うのです。glueとscissorsは、頼み方もこたえ方もそれぞれ別の形で仲間はずれでしたが、「ないとき」の言い方では、2つとも同じanyの仲間になるのがおもしろいところです。
道具をかりたら、最後に欠かせないひとことがあります。
かしてもらったら、必ず「Thank you.(ありがとう)」を言います。頼む・こたえる・お礼を言う、この3つがそろって、ていねいな貸し借りの会話が完成します。使い終わったら道具を返すときも、「Here you are.」と言いながら渡すと、同じ合言葉が今度は逆の役目で使えます。
pencilと同じ気持ちで「a glue」「a scissor」と言ってしまうことがあります。
glueは数えないことば、scissorsはいつも複数のことば。どちらも「a」はつきません。
ほかの道具と同じ形で覚えていると、scissorsのときも「it」を使ってしまいがちです。
scissorsだけは「Here they are.」。くつ下・くつと同じ、ペアになったことばの仲間だと思い出しましょう。
かしてもらえたことに満足して、お礼のひとことを忘れてしまうことがあります。
「Can I use your ~?」「Sure.」「Thank you.」の3つで、1つの会話が完成します。
Q1 消しゴムをかりたいとき、何と言う?
A Can I use your eraser?「your」をつければ、どんな道具でも同じ形で頼めます。
Q2 はさみを貸してもらえるとき、相手は何と言う?
A Sure. Here they are. scissorsはいつも複数の形なので、it ではなく they で受けます。
Q3 のりを持っていないとき、何と言う?
A Sorry, I don't have any. glueは数えないことばなので、oneではなくanyを使います。
Q4 えんぴつを借りて、渡してもらったあとに言うひとことは?
A Thank you. かしてもらったら必ずお礼を言います。
Q5 「はさみ(scissors)」が、いつも最後に「s」がつく理由は?
A 刃が2枚くっついて1つの道具になっているから。くつ下(socks)やくつ(shoes)と同じ、2つで1組のことばの仲間です。
この単元のねらいは、「かして」という日常のやりとりを通して、英語の名詞には「ふつうに数えられる」「数えない」「いつも複数」という3つの顔があることに、やさしく触れることです。scissorsが「いつも複数」になる理由は、くつ下・くつのように2つで1組のものに必ず「s」がつく、という小1の英語でふくの名前を言おう(colors/body/weatherの単元)で学んだ考え方の延長線上にあります。glueのような「数えない名詞」や、こたえ方のit/they・one/anyの使い分けをもっと文法として整理して学ぶのは高学年です(Can I ~?/May I ~?の深い使い方は6年生の単元で扱います)。ご家庭では、実際に消しゴムやのり、はさみを並べて「これはa〜?」「これはs がつく?」と実物を見ながら確認すると、理屈だけでなく手ざわりとして覚えられます。借りたら必ずThank you.を言う、という礼儀の部分もあわせて声をかけてあげてください。