これまでならった英語は、dog、red、apple のように「名前」の言葉が多かったはずです。きょうならう big(大きい)や small(小さい)は、名前ではありません。名前にくっついて、そのようすを言いそえる言葉です。だから、いみをおぼえるだけでは足りません。どこに置くかまでがセットになっています。そして、その置き場所が日本語とまるでちがうのです。
まず日本語のほうを見てみましょう。「大きい」という言葉は、とても自由に動けます。
四つとも日本語として通じます。じゅんばんを入れかえても、聞いた人には分かってしまうのです。日本語は言葉の置き場所がゆるい言葉で、少しくらい動かしても意味がくずれません。だから、わたしたちはふだん、どこに置いているかなんて考えずに話しています。
ところが英語の big は、そうではありません。立てられる場所が決まっていて、そこ以外に置くと文になりません。ここを知らないまま日本語の感じで並べてしまうのが、この単元でいちばん多いつまずきです。
先に答えを見てしまいましょう。big が立てるのは、つぎの二か所だけです。
立てられるのは、名前の前とis のうしろ。この二つだけです。①は、名前とくっついて「どんな犬か」をせつめいしています。②は、文のおしまいで「その犬について言いたいこと」になっています。日本語に直すと「大きい犬」と「犬は大きい」で、たしかに重さがちがいますね。①はまだ話のとちゅう、②はそれで話がひとつ終わるという感じの差です。「大きい犬」だけ言われたら、その犬がどうしたのかを聞きたくなります。「その犬は大きい」で終われば、それで伝えたいことは伝わっています。
反対に、やってはいけない置き方も見ておきましょう。
三つめが、日本語を話す人にいちばん出やすいまちがいです。「犬は大きい」をそのまま英語の言葉にならべかえると、どうしても The dog big. になってしまいます。日本語では要らない is が、英語では要るのです。is をぬかすと、英語では文の形になりません。ここは理由を考えるより、「The dog is big.」とひとまとまりで何度も声に出して、口におぼえてもらうのが早いところです。
ようすの言葉はたくさんありますが、2年生のうちは反対のことばと二つセットで入れると忘れにくくなります。目で見てすぐ分かるものからいきましょう。
| 英語 | 読み方 | いみ | 反対のことば |
|---|---|---|---|
| big | ビッグ | 大きい | small(スモール・小さい) |
| long | ロング | 長い | short(ショート・短い) |
| hot | ホット | あつい | cold(コールド・さむい) |
| new | ニュー | 新しい | old(オールド・古い) |
| fast | ファスト | 速い | slow(スロウ・おそい) |
この十語は、どれも教室の中で指さして言えるものです。えんぴつは long か short か。まどの外は hot か cold か。くつは new か old か。日本語でいみを確かめるより、目の前のものを指さして言い当てるほうが、ずっと早く身につきます。
ひとつだけ、おもしろい言葉があります。short です。long の反対で「短い」ですが、人について言うと「背がひくい」といういみにもなります。tall(背が高い)の反対もつとめている、はたらきものの言葉です。いま両方おぼえなくてかまいません。そういう言葉もあると知っておくだけで、あとで出てきたときに混乱しません。
ようすの言葉を名前の前に入れると、おもしろいことが起きます。a と an が入れかわるのです。
a と an は、そのすぐうしろの言葉が「ア・イ・ウ・エ・オ」に近い音で始まるかどうかで決まります。だから前に入った言葉によって入れかわるのです。apple はもともと an ですが、big が割りこむと、すぐうしろは big になるので a にもどります。
ここもきまりを暗記するより、声に出して言いやすいほうをえらぶのでだいたい合います。2年生のうちは、a と an を言いまちがえても直さないでよいところです。
2年生の国語でも、音やようすをあらわすことばを勉強します。「ふわふわ」「ぴかぴか」のような言葉です。英語の big・small も同じ仲間ですが、くわしさの向きがちがいます。
| くらべること | 日本語 | 英語 |
|---|---|---|
| 置く場所 | けっこう自由に動ける | 名前の前か is のうしろの二か所 |
| 言葉の数 | ふわふわ・もふもふなど、とても多い | 大きい・小さいなど、もとの形は少ない |
| とくいなこと | 手ざわりや気もちの細かいちがい | 大きさ・長さ・速さのはっきりした差 |
だから「ふわふわの犬」を英語でひとことで言うのはむずかしく、反対に「大きい犬」は英語のほうがかんたんに言えます。どちらがすごいのではなく、とくいな場所がずれているのです。この見方ができると、英語で言えないことがあっても、自分のせいだと思わなくなります。言えないのではなく、その言葉が英語にはあまりない、というだけのことがあるからです。
この単元は、机に向かってならべかえるより、動きながらのほうが入ります。よくやる活動を四つ紹介します。
ひとつめは、大きい・小さいならべっこ。動物の絵カードを配って、big の山と small の山に分けます。分けながら「A big elephant.」と言うので、ならった動物の名前ももう一度使えます。ぞうとありのように差が大きいものから始めると、迷わずに声が出ます。
ふたつめは、二か所入れかえゲーム。先生が「a big dog」と言ったら、子どもは「The dog is big.」と言いかえます。逆も同じです。同じことを二とおりで言う練習なので、二か所のちがいがいちばんはっきり分かる活動です。
みっつめは、教室たんけん。long なものと short なものを三つずつさがします。ものさし、ほうき、けしごむ、チョーク。さがす時間があるので、言葉がすぐに出てこない子も参加できます。
よっつめは、反対むき返し。先生が「big」と言ったら「small」、「hot」と言ったら「cold」と返します。テンポが上がるほど楽しくなり、二つセットの記おくが強くなります。
「The dog big.」と言ってしまうのは、日本語の順番のままならべているからです。
is を「=」の記号だと見せましょう。The dog = big と書いてから、=の場所に is を入れる。目で見えると入れ忘れが減ります。
「a dog big」は、日本語の「犬、大きいやつ」に近いので出やすいまちがいです。
「英語はさきに、どんなかを言う」と一言で決めておきます。色の言い方(a red tomato)と同じ形なので、ならった色の例を思い出すのがいちばん速いです。
背が高いことを big と言ってしまう子はよくいます。まちがいというより、まだ分けていないだけです。
big は「ぜんたいが大きい」、tall は「たてに長い」と、手で形を作って見せましょう。手の動きで分けると説明がいりません。
二か所のきまりを教えたあとに起きやすい副作用です。順番を気にしすぎて、言うのをやめてしまいます。
2年生のあいだは、どちらでもない置き方をしても言い直させません。指さして big と一語だけ言えたら、それでもう伝わっています。
Q1 「大きい犬」を英語で言うと?
A a big dog。ようすの言葉は名前の前に立ちます。
Q2 「その犬は大きい」を英語で言うと? 一語たりません。The dog ___ big.
A is(The dog is big.)。日本語では要らないのに、英語では要る言葉です。
Q3 long の反対のことばは?
A short。人について言うと「背がひくい」といういみにもなります。
Q4 「古いかばん」は a old bag、an old bag のどちら?
A an old bag。すぐうしろの old が「オ」で始まるので an になります。
中学英語では「形容詞の限定用法と叙述用法」として整理される内容ですが、この段階で用語は不要です。ここでねらっているのは、英語では語の置き場所が意味を決める、という感覚づくりです。日本語は語順がゆるく、助詞が働きを示すため、日本語を母語とする子どもは英語でも語を自由に並べてしまいがちです。とくに be動詞の脱落(The dog big.)は中学生になっても出続けるつまずきで、原因は覚え違いではなく、日本語に対応する言葉がないことにあります。ですから「a big dog」「The dog is big.」を、単語ではなくひとまとまりの音として何度も口に出すほうが確実です。ご家庭では、おゆに手を入れて「Hot!」、大きなトラックを見て「Big!」と、一語だけ言う遊びで十分です。一語でもようすは伝わりますし、置き場所のきまりは言う回数がふえるうちにあとから追いついてきます。同じ2年の「動物の名前」と組み合わせると言える文が一気にふえ、6年で学ぶ bigger・biggest(くらべる言い方)は、ここでおぼえた big がそのまま土台になります。