1年 生活 手の あらい方

手の あらい方 ── せっけんは、ばいきんを やっつけて いない

「手を あらって きなさい」と 言われて、水で ちゃちゃっと ぬらして おしまい。それでも 手は ぬれて いるので、あらった ように 見えます。でも その 手には、水だけでは ぜったいに おちない よごれが のこって います。そして、せっけんを つかった ときに 手の 中で おきて いる ことは、「ばいきんを やっつける」では ありません。はがして、水に のせて、ながして いるのです。この ちがいが 分かると、「なぜ こするのか」「なぜ ながすのか」「なぜ 30びょうも かかるのか」が、ぜんぶ つながって 分かります。

よごれには、水で おちる ものと、おちない ものが ある

手に つく よごれは、大きく 2つに 分かれます。1つめは どろや すな。これは 水と なかよしなので、水で ながせば だいたい おちます。すな場で あそんだ あとの 手が、水だけで きれいに 見えるのは この ためです。

2つめが あぶらです。きゅうしょくの からあげ、おかしの ふくろ、そして じぶんの かおや かみの毛。さわった おぼえが なくても、人の はだ からは いつも すこしずつ あぶらが 出て いるので、手の ひょうめんには 一日 かけて うすい あぶらの まくが できます。

そして ここが 今日の 話の 入り口です。水と あぶらは、なかが わるい。水を かけても、あぶらは 水を はじいて、手に ぴったり くっついた まま です。雨の 日の かさが 水を はじくのと 同じです。

 水だけで あらった 手(よこから 見た 図)  〜〜〜 水 〜〜〜   ← ながれて いく  ▲▲▲ あぶらの まく ▲▲▲ ← 水を はじいて のこる  ・ ・ ばいきん ・ ・  ← まくの 中で へいき  ────── 手の ひふ ──────

目に 見えない 小さな ばいきんは、この あぶらの まくの 中や 下に います。つまり 水だけの 手あらいは、ばいきんの 家の やねに 水を かけて いるような もの。やねが あぶらで できて いるので、中までは とどかないのです。

せっけんの しごとは 「ころす」では なく 「はがす」

では、せっけんは 何を して いるのでしょうか。せっけんの あわの つぶには、おもしろい とくちょうが あります。かた方の 手で あぶらと つながり、もう かた方の 手で 水と つながれるのです。水と あぶらの 両方と なかよく なれる、めずらしい ものなのです。

あわが あぶらの まくに さわると、あぶらを 小さな つぶに くだいて、つぶごと だきかかえます。だきかかえられた あぶらは、もう 手に くっついて いられません。水が ながれて きた とき、あぶらは ばいきんごと 水に のって ながれて いきます。

だから、せっけんの しごとは ながし おわった ときに はじめて おわります。あわを つけた だけで すぐ ながすと、まだ だきかかえて いない あぶらが 手に のこります。ぎゃくに、こすった のに ながし方が てきとうだと、はがれた よごれが 手の 上に もどって きます。

「あわが もこもこ 立って いるから、もう きれいに なった」と 思いたく なりますが、あわは まだ しごとの とちゅうです。こする 時間は、あわが 手の あぶら ぜんぶに さわる ための 時間。ながす 時間は、だきかかえた よごれを 手から はこび出す ための 時間です。どちらを けずっても、よごれは のこります。

あらいのこしの 場しょは、いつも 同じ

手あらいの あとに、よごれが 光って 見える とくべつな クリームを ぬって しらべる じっけんが あります。けっかは おどろく ほど みんな 同じで、あらいのこしは 決まった 場しょに あつまって いました。

 あらいのこしが 多い 場しょ  ① ゆびさきと つめの あいだ ← いちばん 多い  ② ゆびと ゆびの あいだ  ③ おやゆびの まわり  ④ 手くび

なぜ この 4つなのか。りゆうは かんたんで、ふつうに 手を こすり合わせた とき、そこには 一度も さわって いないからです。手のひらと 手のひらは、合わせれば かってに こすれます。でも おやゆびは、もう かた方の 手で にぎって 回さない かぎり、どこにも こすれません。ゆびさきは まるい ので、たいらな 手のひらに 当たりません。手くびは そでに かくれて いて、あらう ことを わすれられて います。

つまり、あらいのこしが あるのは あらう 力が よわい からでは なく、さわって いない 場しょが ある からです。力を こめて ごしごし する ことより、「さわって いない 場しょに さわる こと」の ほうが、ずっと ききめが あります。

コースを 決めると、ぜんぶに さわれる

「じゃあ 4つの 場しょも あらおう」と 思っても、つぎの 日には わすれて います。気が むいた ところから あらうと、どこを 通ったか 分からなく なる からです。そこで、あらう コースを 1つ 決めて、毎日 同じ 道を 通ります。

 まい日 おなじ コース  ① 手のひらと 手のひらを こする  ② 手のこうを こする(左の手 → 右の手)  ③ ゆびを くんで、ゆびの あいだを こする  ④ おやゆびを にぎって、くるくる 回す(左右)  ⑤ ゆびさきと つめを、手のひらで ひっかく ように(左右)  ⑥ 手くびを にぎって、くるくる 回す(左右)  さいごに 水で しっかり ながす

この コースは、④⑤⑥に さっきの 「のこりやすい 場しょ」が ぜんぶ 入って います。コースを ぜんぶ 通ると、かかる 時間は だいたい 30びょう。「ハッピーバースデー」の うたを 2回 うたう くらいの 長さです。時間を はかるのでは なく、コースを さいごまで 通れば、ちょうど よい 長さに なるように できて います。

気づいた 人も いるかも しれませんが、これは 教科書の せつめいぶんと 同じ 形です。「まず」「つぎに」「さいごに」の じゅんじょで 書いて あるから、だれが やっても 同じように できる。手の あらい方は、じゅんじょの 力を 毎日 つかう れんしゅうでも あるのです。

ふく ところまでが 手あらい

ながし おわって、手が ぬれた まま ろうかへ 出て いく。じつは これ、さいごの ところで そんを して います。ぬれた 手は、かわいた 手より ばいきんが くっつきやすいのです。ぬれた ゆびで ドアや つくえを さわると、水の 力で そこの よごれを すいとって しまいます。

ふく ものにも 気を つけます。ふくの すそや ズボンで ふく 人が いますが、ふくには その 日 さわった ものの よごれが ついて います。あらった 手を、わざわざ よごれに こすりつける ことに なります。じぶんの ハンカチで、おしつける ように ふく。ごしごし こすらなくても、水は ハンカチが すいとって くれます。ハンカチは 毎日 とりかえて、ともだちと かしあいは しません。

いつ あらうか ── 見た目では 決められない

さいごに、「いつ あらうか」です。あぶらも ばいきんも 目に 見えないので、「手が きれいに 見えるから あらわなくて いい」は あてに なりません。見た目の かわりに、「何かの あと」と 「何かの 前」で 決めます。

 あらう タイミング  【あと】そとから 帰った あと / トイレの あと      どうぶつを さわった あと / はなを かんだ あと  【前】 ごはん・きゅうしょくの 前

「あと」の 手あらいは、そとから もって きた よごれを 家や 教しつに 広げないため。「前」の 手あらいは、よごれを 口に 入れないためです。とくに きゅうしょくの 前は だいじです。きゅうしょく当番の 手が よごれて いると、じぶんの 分だけで なく、くばる みんなの 分まで よごれて しまうからです。

たしかめて みよう

Q1 水だけの 手あらいで おちるのは、どんな よごれですか。

A どろや すなです。あぶらは 水を はじくので、あぶらと その 中の ばいきんは のこります。

Q2 せっけんは ばいきんに 何を して いますか。

A ころすのでは なく、あぶらごと はがして、水に のせて ながして います。だから ながす ところまでが しごとです。

Q3 あわを つけて すぐ ながすと、どう なりますか。

A あわが 手の あぶら ぜんぶに まだ さわって いないので、はがれて いない よごれが のこります。

Q4 あらいのこしが 多い 場しょを 4つ 言いましょう。

A ゆびさきと つめの あいだ・ゆびと ゆびの あいだ・おやゆび・手くびです。

Q5 おやゆびに よごれが のこりやすいのは、なぜですか。

A 手を こすり合わせる だけでは、おやゆびは どこにも こすれない からです。にぎって 回さない と、一度も さわれません。

Q6 あらった あと、手が ぬれた ままだと どう なりますか。

A ぬれた 手は かわいた 手より ばいきんが くっつきやすいので、さわった ものの よごれを すいとって しまいます。じぶんの ハンカチで ふく ところまでが 手あらいです。

まとめ

おうちの方へ

手洗い指導は「30秒洗いなさい」と時間で教えるより、本文のような固定の手順(コース)で教えるほうが定着します。順序が決まっていれば数える必要がなく、親指・指先・手首といった洗い残しの定番部位が手順の中に組み込まれているため、結果として所要時間もおよそ30秒に収まります。低学年のうちは、蛇口やタオル掛けの高さが合わず途中を省略しがちなので、踏み台や掛け位置など物理的な環境もあわせて確認してみてください。

石けんは固形・泡タイプのどちらでも効果に大きな差はなく、種類より「全部位に触れること」と「十分にすすぐこと」が重要です。アルコール消毒は便利ですが、目に見える汚れや油分が付いたままでは効きにくく、ノロウイルスなど一部のウイルスには効果が限定的なため、流水と石けんによる手洗いが基本で、消毒はその補助と位置づけるのが安全です。

また、タオル・ハンカチの共用は、せっかくの手洗いを無効にする一番の抜け道です。学校にはハンカチを毎日持たせて取り替え、家庭では家族それぞれのタオルを分けるか、ペーパータオルを使うと効果が保てます。帰宅後すぐ手を洗える動線(玄関から洗面所まで何も触らずに行けるか)を見直すのも、声かけを減らす近道になります。