友だちは しぜんに できる もの、では ありません。つかえる ことばの 数が、つながれる 人の 数 に なります。
入学した ばかりの 教室には、知らない 子が 30人 ならんで います。同じ ようちえんから 来た 友だちが いる 子も いれば、1人も いない 子も います。
この 中で、これから 1年間 いっしょに すごします。まず やる ことは、おたがいを 知る ことです。
1年生の 生活科では、この ために いろいろな 活どうを します。名まえを おぼえる ゲーム、いっしょに あそぶ 時間、じこしょうかい。すべて 関わる きっかけを 作る ための ものです。
大人から 見ると あそんで いる だけに 見えますが、じつは 人と 関わる 練習 を して います。そして この 力は、勉強の 力と 同じくらい、いや それ以上に、これからの 学校生活を 左右します。
友だち関係は、じつは いくつかの きまった ことば で 動いて います。この ことばが 言えるか どうかで、大きく 変わります。
| ことば | いつ つかう | これが 言えないと |
|---|---|---|
| いれて | あそびに 入りたい とき | ずっと 外から 見て いる ことに なる |
| いいよ | 入れて あげる とき | 相手を 断る ことに なる |
| かして | ものを つかいたい とき | だまって 取って けんかに なる |
| ごめんね | わるい ことを した とき | 仲直りが できない |
| ありがとう | して もらった とき | また して もらえなく なる |
この 5つが つかえれば、たいていの 場めんは のりきれます。ぎゃくに、この ことばが 出て こない 子が、友だち関係で こまります。
とくに 大事なのが 「いれて」 です。あそんで いる わの 外で、入りたいけれど 言えずに 立って いる ── 1年生の 教室で よく 見る 光けいです。
この とき、その子は 意地わるを されて いる わけでは ありません。ただ「いれて」の 一言が 言えない だけ です。そして あそんで いる 子たちは、その子が 入りたがって いる ことに 気づいて いません。
言えない 理由は いくつか あります。
4ばんめは かんたんに 解けつできます。「いれて」と 言えば いい と 教えて あげれば よいのです。
1〜3ばんめは、練習と 成こう体けん で 変わります。家で 大人 相手に 練習する、1回 うまく いく 経けんを する。「いれて」→「いいよ」の やりとりが 1回 でも できると、つぎからは ぐっと 言いやすく なります。
入れて もらう 側だけでなく、入れて あげる 側 の 練習も 必要です。
あそびに むちゅうに なって いると、「いれて」と 言われても 聞こえて いない ことが あります。「言われたら 必ず 返事を する」 と 教えて おくと、外れる 子が へります。
1年生は よく けんかを します。ものの とりあい、じゅんばんの あらそい、言った 言わない。
けんかは わるい ことでは ありません。むしろ、関わって いる しょうこ です。関わらなければ けんかは おきません。
大事なのは、けんかを させない ことでは なく、けんかの あと どうするか です。
とくに ②相手の 気もちを 考える が 山ばです。1年生は まだ、自分の 気もちで いっぱいで、相手の 気もちまで 考えるのが むずかしい 時期です。
だから 大人が 言葉に して あげます。「○○さんは、かして と 言いたかったんだって」。相手の 気もちを 通やくして あげる ── これが 大人の 役わりです。
友だちが ふえて くると、自分と ちがう 人 に 出会います。
足が 速い 子、絵が 上手な 子、しゃべるのが すきな 子、しずかな 子。走るのが にがてな 子、字を 書くのに 時間が かかる 子、大きな 音が こわい 子。
1年生の 生活科では、「みんな ちがって いい」 ことを 学びます。これは きれいごとでは ありません。じっさいに、教室には いろいろな 子が います。
ちがいに 気づいた とき、子どもは 正直に 口に します。「なんで できないの?」「へんなの」。悪気は ありません。でも 言われた 子は きずつきます。
ここで 大人が 「みんな とくいな ことが ちがうんだよ」 と はっきり 伝えます。そして その子の 得意な ところを 見つけて 言います。ちがいは、へんな ことでは なく、あたりまえの こと ── 1年生の うちに この 感かくを もてると、その後の 人間関係が ぜんぜん ちがいます。
学校では 毎日 あいさつを します。「おはようございます」「さようなら」。形だけに なりがちですが、じつは とても 意味の ある ことです。
あいさつは、「わたしは あなたを 見て いますよ」という 合図 です。名まえを 呼んで あいさつ できたら、さらに 強い 合図に なります。
「おはよう」だけと、「○○ちゃん、おはよう」。この 2つでは、言われた 側の 気もちが まったく ちがいます。名まえを 呼ばれる ことは、自分を 分かって もらえて いる しるし だからです。
だから 1年生の 教室では、まず クラス全いんの 名まえを おぼえる 活どうを します。名まえゲーム、名ふだ、じこしょうかい。ぜんぶ この ためです。
そして あいさつには もう 一つ、大事な はたらきが あります。あいさつを した 相手とは、その あと 話しかけやすく なる ことです。
朝 一度も 口を きいて いない 相手に、いきなり「いれて」と 言うのは むずかしい。でも 朝 あいさつを して いれば、ぐっと 言いやすく なります。あいさつは 会話の 入り口 なのです。
「友だち できた?」と 毎日 聞かれると、子どもは プレッシャーを 感じます。
1人で いる ことが 必ずしも 問題では ありません。1人が すきな 子も います。心ぱいなのは「入りたいのに 入れない」場合だけです。
聞くなら「今日 だれと あそんだ?」より 「今日 何して あそんだ?」 の ほうが 答えやすいです。
形だけ あやまっても、何も 学べません。何が わるかったのかを 言わせる ことが 大事です。
「ごめんね」だけでなく「かってに 取って ごめんね」まで 言えると、自分の した ことを 分かって います。
「○○ちゃんは できるのに」は、いちばん 言っては いけない ことばです。
くらべるなら 前の その子 と くらべます。「前より 声が 大きく なったね」。これなら 必ず ほめる ところが 見つかります。
Q1 あそんで いる ところに 入りたい とき、なんと 言いますか。
A 「いれて」。言われた ほうは 必ず「いいよ」と 返事を します。
Q2 友だちの 消しゴムを つかいたい とき、どうしますか。
A 「かして」と 聞く。だまって 取らない。返す ときは「ありがとう」。
Q3 友だちの すきな ものを 3つ 知って いますか。
A 知って いたら すばらしいです。知らなければ 聞いて みましょう。相手を 知る ことが 友だちの 第一歩 です。
「友達できた?」と毎日聞きたくなる時期ですが、この質問は子どもにとって答えにくいものです。「今日は何して遊んだ?」のほうが、具体的で話しやすくなります。
もしお子さんが「いれて」と言えずに困っているようなら、家で練習してみてください。大人が遊んでいるふりをして、そこに「いれて」と言って入る。ばかばかしいようですが、1回言えた経験が学校での一歩になります。
また、けんかの報告を受けたときは、まず最後まで話を聞いてください。すぐに「あなたが悪い」と決めつけず、「相手はどう思ったと思う?」と考えさせるほうが、次につながります。