1年 生活 かぞくとくらし

かぞくとくらし ── 家の仕事は「だれかがやっている」

ごはんは しぜんに 出て きません。せんたくものは かってに たたまれません。だれかが やって いる と 気づく ところから 始まります。

気づいて いない ことに 気づく

子どもに とって、家の 中の ことは 「そう なって いる もの」 です。

朝 おきると ごはんが ある。着る 服は きれいに なって いる。ふろは あたたかい。ゴミ箱は いつも 空。── これらが だれかの 仕事の 結かだ と いう ことに、子どもは 気づいて いません。

気づいて いないのは、わるい ことでは ありません。気づかせて いない だけ です。だから この 単元では、まず 家の 中の 仕事を 書き出す ところから 始めます。

時間だれかが やって いる こと
ごはんを 作る、おべんとうを つめる、ゴミを 出す
せんたく、そうじ、買いもの
夕方ごはんを 作る、せんたくものを とりこむ
食きあらい、ふろそうじ、明日の じゅんび

書き出して みると、その 多さに おどろきます。1日に 何十もの 仕事 が、家の 中で 行われて います。

だれが やって いるかを 調べる

つぎに、その 仕事を だれが やって いるか を 調べます。

これは 子どもに とって、けっこう おどろく 発見に なります。「おかあさんが ぜんぶ やって いる」と 思って いたら、じつは おとうさんが ゴミを 出して いた、おばあちゃんが せんたくを たたんで いた ──。

そして 気づきます。「じぶんは 何も して いない」

ここで だいじなのは、それを 責める ふんいきに しない ことです。「あなたは 何も して いないでしょ」では なく、「じゃあ 何が できるかな」 と 前を むかせます。

家の 形は いろいろ

家ぞくの 形は 家に よって ちがいます。ひとり親の 家、おじいちゃん おばあちゃんと くらす 家、きょうだいが 多い 家、少ない 家。
この 単元では 「よその 家と くらべない」 ことが 大事です。どの 家にも 仕事が あり、それを だれかが して いる ── そこは 同じです。

自分の 仕事を 決める

この 単元の 中心が これです。家の 中で 自分の 役わりを 1つ 持つ

ポイントは 「手つだい」では なく「仕事」 と 考える ことです。

手つだい仕事(役わり)
だれの もの本当は 大人の ものその子の もの
やる ときたのまれた とき決まった とき、毎日
やらないとだれかが かわりに やるだれも やらない。こまる
気もちやって あげて いる自分の 役目

ちがいは 「やらないと 家が こまるか」 です。

「おふろそうじは あなたの 仕事」と 決めたら、その子が やらないと おふろが 使えません。自分が やらないと 家族が こまる ── この 実感が、責任感を 育てます。

1年生に むいて いる 仕事

選ぶ とき、子どもに 決めさせる のが コツです。おしつけられた 仕事は つづきません。「どれなら できそう?」と 選ばせます。

「ありがとう」が 言われる 経けん

仕事を すると、「ありがとう」と 言われます。これが 大きいのです。

1年生に とって、人の 役に 立てた という 経けんは、ほめられる こと 以上に うれしい ものです。「ありがとう、助かったよ」の 一言が、つぎも やろうと いう 力に なります。

ぎゃくに、やって もらって 当たり前の ふんいきだと、つづきません。どんなに 小さな ことでも、必ず ことばに して 返す ── ここは 大人の 側の 努力が いります。

そして、子ども自身も 「ありがとう」を 言う 側 に なります。毎日 ごはんを 作って もらって いる こと、服を あらって もらって いる ことに 気づいたら、感しゃの ことばが 出て きます。

この 感しゃの やりとり こそ、この 単元の いちばんの ねらいです。

昔の くらしと くらべる

この 単元では、少し 前の 時代の くらしにも ふれます。おじいちゃん・おばあちゃんに 話を 聞く 活どうです。

仕事むかしいま
せんたくたらいと せんたく板で 手あらいせんたくき(ボタン1つ)
ごはんかまど、まきを もやすすいはんき、ガス、IH
そうじほうきと ぞうきんそうじき、ロボットそうじき
れんらく手紙、こうしゅう電話スマホ

子どもは「むかしは 大へんだったんだね」と 言います。そのとおりです。でも もう 一歩 進めて、こう 聞いて みて ください。

「じゃあ、その ぶん 何を して いたと 思う?」

せんたくに 半日 かかって いた 時代、その ぶん ほかの ことは できませんでした。べんりに なった ぶん、時間が できた。その 時間を いま 何に つかって いるか ── 少し むずかしい 問いですが、3年生の 社会「市の うつりかわり」に つながる 見かたです。

家ぞくの すきな ものを 知る

この 単元には、もう 一つ 大事な 活どうが あります。家ぞくの ことを あらためて 知る ことです。

毎日 いっしょに いるのに、意外と 知らない ことが あります。おかあさんの すきな 食べもの、おとうさんの 子どものころの あそび、おばあちゃんが むかし 住んで いた 場しょ。

そこで 「かぞくインタビュー」 を します。1年生なので、聞く ことを 先に 決めて おきます。

とくに さいごの しつもんは、聞かれた 側も うれしい ものです。子どもも、自分が 生まれた ときの 話を 聞くと、ほとんど 必ず よろこびます。

この 活どうは、家ぞくを「役わりを 果たす 人」から「その人 自身」として 見る きっかけに なります。おかあさんは ごはんを 作る 人 だけでは なく、すきな ものが あって、子どもの ころが あった 一人の 人 だと 気づく ── 1年生に とって 大きな 発見です。

つまずきやすい ところ

その1 仕事が つづかない

3日で やらなく なる。よく ある ことです。
やる タイミングを 決める と つづきます。「ごはんの 前に しょっきを ならべる」の ように、すでに ある 習かんに くっつけます。
また 1つだけに する。いくつも 決めると ぜんぶ できなく なります。

その2 やり方が ざつだと 言われて やめる

たたみかたが へた、ならべかたが ちがう ── つい 直したく なりますが、その場で 直すと やる気が 消えます
1年生の たたんだ タオルは よれよれです。それで いいのです。「たたんで くれて ありがとう」が 先。直すのは 見て いない ところで。

その3 ごほうびが ないと やらなく なる

おこづかいや シールで つらせると、それが ないと やらなく なります。
この 単元の ねらいは 「家族の 一員として 役わりを 持つ」 ことです。ごほうびは 「ありがとう」と 言われる こと で じゅうぶん。むしろ その ほうが 長つづきします。

やって みよう

Q1 家の 中の 仕事を 10こ 書き出して みましょう。

A 朝・昼・夜に 分けて 考えると 出やすいです。10こ 出たら、その 多さに おどろくはずです。

Q2 その 仕事を だれが やって いますか。名まえを 書いて みましょう。

A 自分の 名まえが いくつ ありますか。0でも だいじょうぶ。これから 決めれば よいのです。

Q3 自分の 仕事を 1つ 決めて、1週間 つづけて みましょう。

A できた 日に ○を つけます。7日 ぜんぶ できなくても、○の 数が 大事です。

まとめ

おうちの方へ

正直に言うと、1年生に家事を任せると、かえって時間がかかります。皿を割られるかもしれませんし、たたんだ洗濯物は自分でやり直したくなります。
それでもこの単元に価値があるのは、「自分がやらないと家族が困る」という実感が、他では得られないものだからです。学校の係活動よりも、家庭の役割のほうが手応えがあります。
ポイントは、小さく始めることです。1つだけ、既にある習慣にくっつける形で。そして必ず「ありがとう」と言葉にすること。この2つだけで、驚くほど続きます。
また、おじいちゃん・おばあちゃんに昔の暮らしを聞く機会があれば、ぜひ作ってあげてください。子どもにとっては貴重な学びであり、話す側にとっても嬉しい時間になります。