「もらった」「やってきた」「ふえた」── これらの ことばを 見たら、たしざん。そう おぼえて いる 子は たくさん います。でも、もんだいの 中には、ふえた ことばが 出て くるのに、しきは ひきざんに なる もんだいが あります。ことばだけで しきを きめると、かならず つまずきます。
つぎの もんだいを 見て ください。
いけに かえるが いました。あとから 3びき やって きたので、ぜんぶで 8びきに なりました。はじめは なんびき いたでしょう。
「やって きた」は ふえる ことばです。でも、この もんだいで ひく べき かずは、やって きた 3びきの ほうでは ありません。しきを つくると、答えは 8-3=5。ひきざんです。
なぜ ひくのでしょうか。いけには もともと 5ひき いて、そこに 3びきが やって きたので 8びきに なった ──これが ほんとうの すじ道です。わかって いるのは「へった・ふえた あとの かず(8)」と「ふえた かず(3)」の 2つ。わからないのは「はじめの かず」。はじめの かずを さがす には、いまの かずから、ふえた分を もとに もどす ひつようが あります。だから しきは ひきざんに なります。
反対の むきの もんだいも あります。
あめを 4こ たべたら、のこりが 5こに なりました。はじめは なんこ あったでしょう。
「たべた」は へる ことばです。でも、ここでは 5+4=9。たしざんです。
たべて へったのだから、はじめは いまより 多かった はずです。いまの 5こに、たべた 4こを たせば、たべる前の 9こに もどります。ことばは「へる」ほうを 向いて いますが、はじめの かずを さがす しきは、その反対の たしざんに なるのです。
この 2つの もんだいに 共通する コツが あります。もんだいに 出て くる かずは、いつも はじめ・へんか・いま の3つです。どれが わからないかで、やる けいさんが きまります。
①は、いままで 文章題で ならった、ふつうの といかたです。②③は、わからない ところが「はじめ」に 動いた だけ。ことばが ふえる話か へる話かでは なく、わからないのが はじめ・へんか・いまの どこかで、しきが きまるのです。これは「たしざんと ひきざんは うらおもて」で 見た、ぜんたいと ぶぶんの かんけいと 同じ 考え方です。
もし 3つとも わかって いる もんだいは、しきを たてる ひつようが ありません。文章題として 出て くる 以上、かならず 1つだけが □に なって います。まず その □が はじめ・へんか・いまの どこに あるかを 指で さして 言って みる──それだけで、たしざんか ひきざんかの まよいは、ほとんど なくなります。
ふつうの もんだいでは、絵を「はじめ」の かずから かきます。でも、はじめが わからない もんだいで「はじめ」から かこうとすると、なんこ かいて よいか わからず 手が 止まります。
①まず わかって いる「いま(8こ)」を ○で かく。②つぎに「ふえた分(3こ)」に しるしを つけて よける。③のこった ○の かずが「はじめ」。見えて いる ところから さかのぼって かくのが コツです。
これは、かずの せんの 上で「いまの ところから、ふえた分だけ もどる」のと 同じ うごきです。わからない ところを 先に かこうとせず、わかって いる「いま」から 絵を かきはじめれば、はじめの かずは 自然に のこりとして 見えて きます。
「もらった」「やって きた」を 見た しゅんかんに たしざんを して しまう 子が います。8と 3を 見て「8+3=11」。しかし この もんだいの 11は、どの かずの ことでも ありません。たす前に「わからないのは、はじめ・へんか・いまの どれか」を 1びょう 考える くせを つけます。
いつも 通り「はじめ」の ○を かこうとして、何こ かけば よいか わからず こまって しまう 子が います。この もんだいでは「いま」から かきはじめる、という じゅんばんの ちがいに 気づけるかが わかれめです。
ふえる話なら、はじめは いまより 少ない はずです。へる話なら、はじめは いまより 多い はずです。8-3=5を 8+3=11と まちがえても、「ふえる話なのに、いまより 大きい 答え」に 気づかなければ 見のがして しまいます。しきを 書いたら、たしざんで たしかめる くせ(たしかめ算)が、この まちがいを ふせぎます。
Q1 公園に 子どもが なんにんか いました。あとから 4人 きたので、ぜんぶで 9人に なりました。はじめは 何人 いたでしょう。
A 9-4=5人。いまの 9人から、あとから来た 4人を もとに もどします。
Q2 色えんぴつを もって いました。4本 おねえさんに あげたら、のこりが 6本に なりました。はじめは 何本 もって いたでしょう。
A 6+4=10本。あげて へった分を、のこりに もどします。
Q3 バスに なんにんか のって いました。3人 おりたら、のこりは 7人に なりました。はじめは 何人 のって いたでしょう。
A 7+3=10人。おりた話なので、はじめは いまより 多かったはずです。
Q4 はこに あめが なんこか 入って いました。5こ 入れたら、ぜんぶで 12こに なりました。はじめは 何こ 入って いたでしょう。
A 12-5=7こ。入れた話なので、はじめは いまより 少なかったはずです。
Q1とQ3は 人の かずが うごく もんだいですが、ふえる話は ひきざん、へる話は たしざんと、ぎゃくに なって います。やって くる前・おりる前の「はじめ」を さがす とき、ことばの むきと しきの むきは、いつも ぎゃくに なる ──そのことに、4問を くらべて みて 気づけたら 十分です。
この単元は教科書で「逆思考の文章題」と呼ばれ、1年生の後半から2年生にかけて少しずつ登場します。「もらった」「ふえた」という言葉だけで演算を機械的に決める癖がついていると、はじめの数を求める問題で必ず止まります。声をかけるときは「わかっているのは、はじめ・ふえた分・いまの、どの2つ?」と聞き、絵を「いま」から描かせてみてください。
この考え方は、2年生以降の「□を使った式」、5年生の「逆算」、6年生の「文字と式」まで、同じ骨格で繰り返し出てきます。今の時点では、言葉の方向と計算の方向が一致しない場合があることに気づくだけで十分です。