クラスで「すきな くだものは なに?」と きいて、ひとり 1まいずつ 絵カードを 出して もらいました。あつまった カードは 12まい。ばらばらに おいた ままだと、どれが いちばん 多いのか、じつは だれにも 分かりません。この きじでは、ならべかえた とたんに 答えが 見えて しまう ふしぎを たしかめます。「かずしらべ」(教科書に よっては「わかりやすく せいりしよう」)の たんげんです。
つくえの 上に、12まいの カードが ばらばらに おいて あると しましょう。り=りんご、バ=バナナ、み=みかんの カードです。
「りんごと みかん、どっちが 多い?」と きかれたら、どう しますか。じっと 見つめて いても 答えは 出て きません。1まいずつ ゆびで おさえて、「りんごは 1、2、3…」と かぞえる しか ないのです。
しかも、かぞえおわった あとが たいへんです。「りんごは 5まい」と 分かっても、つぎに みかんを かぞえて いる あいだ、その 5を あたまの 中で おぼえて おかなければ なりません。かぞえて、おぼえて、また かぞえて、やっと くらべられる。ばらばらの ままの カードは、とても 手間の かかる 持ちものです。
では、おなじ 12まいを、しゅるいごとに よこ 1れつに ならべて みます。
どうでしょう。「いちばん 多いのは りんご」「いちばん 少ないのは バナナ」── かぞえる 前に、見た しゅんかんに 分かって しまいます。
なぜ 分かるのか。ならべた ことで、かずの 多い 少ないが れつの 長い みじかいに かわったからです。長さなら、1年生は もう くらべかたを 知って います。「おおきさくらべ」で ならった、あの やりかた ── はしを そろえて ならべれば、長い ほうが 多い。かずしらべの 正体は、かずくらべを 長さくらべに 作りかえる わざなのです。
ただし、この わざが きくのは、ならべかたの やくそくを まもった ときだけです。
| やくそく | どう する | やぶると どう なる |
|---|---|---|
| ① はしを そろえる | どの れつも、左はしの いちを ぴったり 合わせて はじめる | スタートが ずれて、長さで くらべられなく なる |
| ② おなじ 大きさの しるしに する | カードや ●は ぜんぶ おなじ 大きさで | 大きな 絵 1まいが、小さな 絵 2まいより 長く 見える |
| ③ あいだを あけない | すきまを 作らず、つめて ならべる | すくない れつが 長く 見える ことが ある |
ためしに、③を わざと やぶって みましょう。バナナの 3まいだけ、あいだを 大きく あけて ならべます。
バナナの れつの ほうが 長く 見えませんか。でも かずは、バナナが 3で みかんが 4。多いのは みかんの ほうです。ならべかたの やくそくを やぶると、見た目が うそを つくのです。やくそくは、きれいに 見せる ための かざりでは なく、見た目に だまされない ための 道具なのだと 分かります。
ばらばらの カードを ならべなおす とき、1年生が いちばん よく やって しまうのが、おなじ カードを 2回 うつす ことと、うつしわすれる ことです。ふせぐ ほうほうは かんたんで、うつした カードに ✓を 1つ つける。これだけです。✓の ついた カードは もう うつさない。ぜんぶに ✓が ついたら おわり。
そして、さいごに もう ひとつ たしかめを します。ならべた ●を れつごとに かぞえて、ぜんぶ たすのです。
カードを 出して くれたのは 12人でしたから、ごうけいも 12に なる はずです。もし 11に なったら どこかで うつしわすれ、13に なったら どこかで 二重うつし。ごうけいと 人数を くらべる だけで、まちがいに 気づけます。「3つの かずの けいさん」で ならった 前から じゅんに たす けいさんが、ここで 見はりばんの 仕事を して くれるのです。
ならべた 絵から 読みとれるのは、いちばん 多い ものだけでは ありません。
| しつもん | 答え | どこを 見るか |
|---|---|---|
| いちばん 多いのは? | りんご(5まい) | いちばん 長い れつ |
| いちばん 少ないのは? | バナナ(3まい) | いちばん みじかい れつ |
| りんごと バナナの ちがいは? | 2まい | はみ出した ぶん |
| りんごと みかんの ちがいは? | 1まい | はみ出した ぶん |
「ちがい」が おもしろい ところです。はしを そろえて ならべて あると、りんごの れつと バナナの れつは、とちゅうまで 1こずつ ペアに なって います。ペアに なれずに はみ出した ●の かずが、そのまま ちがいです。しきで 書けば 5−3=2。ひきざんの「ちがいを もとめる」つかいかたが、ならべた 絵の 上では 目に 見える 形で あらわれます。
かずしらべで やった ことは、この あと 名前を かえながら ずっと つづいて いきます。
2年生に なると、くだものの 絵は ○に かわり、ます目の 中に ならぶように なります。これが グラフです。さらに、れつの 長さを 見る かわりに、かずだけを ぬき出して 書いた「ひょう」も ならいます。3年生では ぼうグラフ、4年生では おれせんグラフ。どの 学年の グラフも、「はしを そろえて、おなじ 大きさで、ならべて くらべる」という かずしらべの やくそくの 上に 立って います。
ぎゃくに 言うと、大人に なってから 見る むずかしい グラフも、やって いる ことは 1年生の かずしらべと おなじです。ならべかたの やくそくが まもられて いるかを たしかめる 目は、ここから そだちはじめます。
ぞうの カード 2まいと、ありの カード 3まいを ならべると、ぞうの れつの ほうが 場しょを とる ことが あります。見た目の 大きさに ひっぱられて「ぞうが 多い」と 答えて しまうのは、1年生では ふつうの ことです。
なおしかたは、やくそく②の とおり、どちらも おなじ 大きさの ●に おきかえて から ならべる こと。絵の 大きさと かずの 多さは べつものだと、手を うごかして たしかめます。
ばらばらの まま 何回 かぞえても、かぞえもれや 二重かぞえで、答えが 11に なったり 13に なったり します。これは かぞえる 力の もんだいと いうより、✓を つける しゅうかんが まだ ないだけです。しるしを つけ、ごうけいを 人数と くらべる。この 2つで 答えは ぴたりと 合いはじめます。
カードを うごかして ならべなおすと、「もとの かずと かわって いない?」と ふあんに なる 子が います。ならべかたを かえても、カードの まい数は かわりません。しんぱいな ときは、ならべる 前に かぞえた かずと、ならべた あとの ●の かずを 見くらべて、おなじに なって いる ことを たしかめさせて ください。この「うごかしても かずは かわらない」という 安心が、あとの 学しゅう ぜんぶの 土台に なります。
Q1 ならべる とき、どの れつも 左はしを そろえるのは なぜですか。
A れつの 長さで かずの 多い 少ないを くらべる ため。スタートの いちが ずれて いると、長さの くらべっこに ならないからです。
Q2 3まいの カードを、あいだを 大きく あけて ならべました。れつは どう 見えますか。
A まい数の わりに 長く 見えます。つめて ならべた 4まいの れつより 長く 見える ことも あるので、あいだは あけません。
Q3 12人に きいた かずしらべで、●の ごうけいが 11に なりました。なにが おきて いますか。
A どこかで 1まい うつしわすれて います。✓の ついて いない カードが のこって いないか、さがしなおします。
Q4 りんごが 5まい、バナナが 3まいの とき、ちがいは 何まいですか。
A 2まい。しきは 5−3=2。ならべて あれば、ペアに なれずに はみ出した ●を かぞえるだけで 分かります。
この単元は、のちの「表とグラフ」、さらに中学・高校の統計まで続く「データの活用」領域の、いちばん最初の一歩です。教科書によって「かずしらべ」「わかりやすくせいりしよう」「せいりしよう」と名前が違いますが、中身は同じです。
家庭でやるなら、くつ下の色しらべ、おもちゃの仲間分けなど、実物を床にならべるのがいちばんです。そのとき、端をそろえる台紙(紙に線を1本引くだけ)を用意してあげると、やくそく①が自然に身につきます。
ひとつだけ気をつけたいのは、ならべ方が多少ゆがんでいても、まず「ならべようとしたこと」をほめることです。きれいにならべる技術より、「ならべれば分かるはずだ」と思いつくことのほうが、この単元では大切な中身です。見た目のゆがみは、やくそくを1つずつ確かめれば自分で直せます。