1年 算数 すうじの書き方

6と9、2と5はなぜ逆になるのか ── すうじの「むき」をおぼえるコツ

「6」のつもりで書いたら「9」に見える。「2」と「5」がどっちか分からなくなる。1年生の算数ノートで、とてもよく見る まちがいです。これは、不注意でも、やる気がないわけでも ありません。すうじの書き方には「むき」がある、という こと自体が、1年生にとっては 新しい ルールだからです。

6と9が にて いるのは、気のせいでは ない

紙に 大きく「6」を 書いて、それを 180度(さかさま)に くるっと まわして みて ください。「9」に なります。6と9は、べつべつの 形では ありません。同じ 1つの 形を、上下さかさまに した だけです。

これを さんすうでは なく、形の せかいの ことばで 言うと「回転かいてん」の かんけいに あると 言います。まるい わっかの 下に しっぽが ついて いる だけの シンプルな 形だからこそ、くるっと まわすと もう一方に 変わって しまうのです。三角や 四角のような、かどの ある 形なら、まわしても すぐに「あ、むきが ちがう」と 分かります。でも 6と9は 曲線だけで できて いるので、まわった あとの 形が、もとの 形と そっくりに 見えて しまいます。

ですから「6と9を まちがえる 子は、よく 見て いない」と 思うのは、じつは まちがいです。よく見ても、むきを おぼえて いなければ 区別できない形だからです。これは 1年生だけの 弱点では なく、6と9という すうじの 形そのものの せいしつです。

2と5、3は「鏡」の まちがい

6と9とは べつに、「2と5」や「3」を 左右 さかさまに 書いて しまう 子も います。これは 6と9の「回転」とは、げんいんが ちがいます。こちらは「鏡かがみ」の かんけいです。

6と9の まちがい ── 上下に 180度 まわす(回転) 2と5、3の まちがい ── 左右を 入れかえる(鏡うつし)

鏡の 前に 立つと、右手を あげても 鏡の 中の 自分は 左手を あげて いるように 見えます。右と左が 入れかわるのが「鏡」の とくちょうです。「3」を 書く とき、右むきに 2つの ふくらみを 書くのが 正しい 形ですが、頭の 中で 左右が 入れかわって しまうと、ふくらみが 左むきに なってしまいます。これが「鏡文字」と よばれる げんしょうです。

じつは、国語の ひらがなを おぼえる 時期にも 同じ ことが 起きます。「め」と「ぬ」、「わ」と「れ」を まよう 子が いるのと、仕組みは そっくりです。すうじも ひらがなも、どちらも「形は 同じだけど むきで いみが 変わる きごう」だから、まちがえる りゆうが 同じなのです。

どうして この時期に 起きるのか

6歳や7歳の 子どもは、ふだん 身の まわりの 物を 見分ける ときに、むきを あまり 気に しません。たとえば コップは、右むきに 置いてあっても 左むきに 置いてあっても「コップ」です。さかさまに なって いても、横に たおれていても、「同じ コップ」だと すぐに 分かります。むきが 変わっても 同じ物だと みなす ちからは、生きて いく 上で とても べんりな ちからです。

ところが、すうじと 文字だけは 話が ちがいます。「6」を さかさまに したら「9」という べつの いみに 変わって しまいます。むきが 変わっても 同じと みなす、今まで べんりに つかって きた ちからを、すうじと 文字の ときだけ 止めなければ いけません。これは 1年生に とって、生まれて はじめて 出あう「むきを 気に する」という しんしい ルールです。だから、はじめの うちは うまく いかなくて 当たり前なのです。

まよわない ための 3つの コツ

  1. 書きはじめの 場所を きめる 6は 上から 右まわりに 書きはじめて、下で 丸く とじます。9は 上に 丸を 先に 書いて、そこから 下に まっすぐ おります。「丸が 上に あるか、下に あるか」で 書きはじめる 場所を 分ければ、まよいません。
  2. すうじの れつで たしかめる まよったら、1から 10までを 声に 出して 言って みましょう。「5、6、7」と 言いながら 書けば、6は 5の あと、7の 前に 出て くる 形だと 思い出せます。9も 同じように「8、9、10」の あいだだと 確かめられます。
  3. かいた あとに、見本と くらべる れんしゅうちょうや 教科書の お手本の すうじと、自分が 書いた すうじを ならべて 見くらべます。ちがいに 気づけたら、それだけで じゅうぶんな れんしゅうに なります。

おうちで できる れんしゅう3つ

  1. 大きく 書いて、くるっと まわす 紙に 大きく 6を 書いて、紙そのものを 180度 まわして みせます。「ほら、9に なったね」と 見せてあげると、6と9が にて いる りゆうを 体で 分かります。
  2. なぞり書きに 矢じるしを つける 6や9、2、3、5の お手本に、書く じゅんばんの 矢じるしを つけて あげましょう。どこから 書きはじめるかを 目で 見える ように すると、むきを まちがえにくく なります。
  3. 100までの 表の 中で 見つける 100までの 数が ならんだ 表を つかって、「6が ある 場所に 丸を つけて」「9は どこかな」と、見つける あそびを します。たくさんの 数の 中から 自分で 見つける ことが、形を おぼえる 近道に なります。

つまずきやすい ところ

その1 なおしても、しばらくすると また まちがえる

きのう 直った はずなのに、きょう また 6と9を まちがえる。これは よく ある ことで、しんぱいする ひつようは ありません。むきの 区別は、1回 教わって すぐに できる ものでは なく、何回も 書いて、少しずつ しみこんで いくものです。1回 なおった ように 見えても、何日か あとに また まちがえるのは、ふつうの じゅんばんです。

その2 強く しかると、すうじが きらいに なる

「また まちがえた」と 強く しかられると、子どもは「自分は できない」と 思いこみ、すうじを 書く こと自体を いやがる ように なる ことが あります。まちがえた ときは、「6と9は にて いるから、まようよね」と、形の せいだと 伝えて あげる ほうが、つぎも また 書こうと いう 気もちに つながります。

その3 消しゴムで 何回も けして、紙が やぶれる

まちがえる たびに 強く 消して 書きなおすと、紙が けばだったり、やぶれたり します。まちがえた すうじの となりに、正しい すうじを もう一度 書く「書きたし」の やり方に すると、消す 回数が へって、どこを まちがえたかも 後で 見くらべられます。

やって みよう

Q1 6を 180度 まわすと、何に 見えますか。

A 9。6と9は 同じ 形を 上下さかさまに した かんけいです。

Q2 2と5、3を まちがえる げんいんは、6と9と 同じ ですか、ちがい ますか。

A ちがいます。6と9は「回転」のまちがい、2と5や3は「鏡(左右)」のまちがいです。

Q3 「5、6、7」と 声に 出して 言う れんしゅうは、何の やくに 立ちますか。

A 6が 5と7の あいだに ある 数だと 思い出す やくに 立ちます。れつの 中での 場所から、すうじの むきを たしかめられます。

Q4 まちがえた すうじを 見つけた とき、1番 さいしょに すべき ことは 何ですか。

A 強く しからず、お手本と ならべて 見くらべる こと。ちがいに 気づく ことが、直す ための 1歩めです。

まとめ

おうちの方へ

「10までのかず」の単元で、6と9・2と5の書きまちがいは「1年生のはじめにはよくあることで、心配しすぎなくて大丈夫」と軽くふれていますが、なぜ起きるのかを分けて説明すると、直すときの声かけが変わります。6と9は形そのものが回転の関係にあるため、何度書いても似て見えるのは自然なことです。一方で2と5や3の鏡文字は、ひらがなの「め」と「ぬ」を間違えるのと同じ、左右弁別の未発達によるものです。どちらも発達の途中で起きる自然な現象であり、繰り返し練習すれば多くの場合は小学校低学年のうちに自然になおっていきます。
家庭での声かけは「どこが違うか一緒に見てみよう」で十分です。急いで完璧に直そうとせず、書くこと自体への苦手意識を作らないようにしてあげてください。