読み書きと ちがって、テストに 出にくい たんげんです。でも すべての 学習の 土台 に なる 力を ここで そだてます。
「聞く」なんて、だれでも できる ように 思えます。耳が 聞こえて いれば 聞ける はずだ、と。
でも じっさいは ちがいます。音が 耳に 入る こと と、話の 中身を 分かる こと は べつの ことです。
1年生の 教室では、こんな ことが 毎日 おきます。先生が「あしたは 体そうふくを 持って きて ください」と 言う。ぜんいん 聞いて いた はずなのに、次の日 何人かは 持って きません。
これは 話を 聞いて いなかったのでは なく、聞いた ことを 自分の こととして うけとる 力、そして おぼえて おく 力 が まだ そだって いない からです。だから 学校で わざわざ 習うのです。
教科書では、聞きかたを 具体的に 教えます。だいたい つぎの 3つです。
1年生に とって「さいごまで 聞く」は なかなかの 難問です。話を 聞いて いる とちゅうで、自分が 言いたい ことを 思いつく。すると 言いたくて たまらなく なる。
これは わがままでは ありません。思いついた ことを おぼえて おく 力が まだ 弱い ので、いま 言わないと わすれて しまう ── そういう 感かくなのです。
だから しかるより、「あとで 聞くから、おぼえて おいてね」 と 言う ほうが うまく いきます。「そのあと 必ず 聞いて もらえる」と 分かって いれば、待てるように なります。
分からない ときに「分かりません」「もう いちど お願いします」と 言えるのは、じつは とても 高い 力 です。
大人でも、分かった ふりを して しまう ことは よく あります。「聞きかえすのは はずかしい」と 感じる からです。聞きかえせる ことは、はずかしい ことでは なく りっぱな こと ── これを 1年生の うちに はっきり 伝えて おきたい ところです。
| ポイント | ぐたいてきに |
|---|---|
| 声の 大きさ | いちばん 後ろの 人に とどく 声で |
| 話す 早さ | ゆっくり。とくに 発表の ときは いつもの 8わり |
| じゅんばん | いつ・どこで・何を・どうした の 順に |
1年生の 発表で いちばん 多い 問題は、声が 小さい ことです。はずかしい、じしんが ない、というのが 理由です。
これには こつが あります。「後ろの 人に とどける」と 目ひょうを かえる ことです。「大きな 声で」と 言われると 子どもは こまりますが、「いちばん 後ろの ○○さんに 聞こえるように」なら、具体的で 分かりやすく なります。
もう ひとつ、話す 順ばんを 決めて おく と 声が 出やすく なります。何を 話すか 決まって いない から 不安に なるのです。「いつ・どこで・何を・どうした」の 4つを 先に メモして おけば、じしんを もって 話せます。
この たんげんで いちばん 高度なのが 質問する ことです。人の 話を 聞いて、分からない ところや もっと 知りたい ところを 見つけて 聞く。
これが できる ためには、話を 理かいして いる ことが 前ていに なります。だから 質問は「ちゃんと 聞いて いた しょうこ」なのです。
1年生には、質問の 型 を 教えると 出やすく なります。
この 5つを 教室に はって おく 先生も います。型が あると、質問が 出やすく なります。質問が 出る 発表は、聞いて もらえた 発表 です。話した 子も うれしく なります。
夕食の とき、1人が 今日の できごとを 話し、ほかの 人が 質問する ── これだけで りっぱな 練習に なります。
大人が 先に お手本を 見せると、子どもも まねを します。「へえ、それは 何時ごろ?」「だれと 行ったの?」と 聞いて あげて ください。
「話す・聞く」は 国語の たんげんですが、育つ 力は 国語だけの ものでは ありません。
とくに 先生の 指示を 一回で 聞ける かどうかは、学校生活の しやすさに 直けつします。何度も 聞きかえす 必要が あると、その ぶん 学習の 時間が へって しまいます。
だから この たんげんは、テストには 出にくいけれど、じつは いちばん 学力に ひびく と 言っても 言いすぎでは ありません。
発表の とき、書いた ものを 読み上げる 子が います。それも 一つの 方法ですが、話す ことと 読む ことは ちがう という ことも 知って おきたい ところです。
| 読み上げる | 話す | |
|---|---|---|
| 目の むき | 紙を 見る | 聞く 人を 見る |
| ことば | 書いた とおり | その場で えらぶ |
| よい ところ | 言いわすれが ない | 気もちが 伝わる |
1年生では、まず 紙を 見ながらでも かまいません。ぜんぶ おぼえて 話すのは 大人でも むずかしい ことです。
ただ、少しずつ 「顔を 上げる 回数を ふやす」 ことを 目ひょうに します。「1回でも いいから、みんなの ほうを 見て みよう」。1回 できたら 大しょうさんです。
じつは、聞く 人の 顔を 見ると 話し手の ほうが 安心します。うなずいて くれる 人が 見えるからです。だから これは 聞き手の 役わりでも あります。うなずきながら 聞いて くれる 人が いる 教室 では、発表が 上手に なって いきます。
まだ 話して いる とちゅうなのに 話しはじめる。「まだ おわって いないよ」と、その場で 短く 伝える のを くりかえします。しかるのでは なく、事実を 伝えるだけで じゅうぶんです。
「大きな 声で」より 「いちばん 後ろの 人に とどけて」。
家では、少し はなれた ところから 話す 練習が できます。ろうかの はしと はし、へやの 反対がわ など。とどいたら 必ず「聞こえたよ!」と 返す ことが 大事です。
「それでね、それでね」で どんどん 話が ずれる。1年生には よく ある ことで、心配は いりません。
ただ、発表の ときは 「1つだけ 話す」 と 決めると まとまります。「今日の いちばん 楽しかった ことを 1つだけ」。話す ことを しぼると、かえって よく 伝わります。
Q1 おうちの 人の 話を さいごまで 聞いて、あとで 内ようを 3つ 言えますか。
A 3つ 言えたら すばらしいです。2つでも じゅうぶん。聞きながら おぼえるのは 大人でも むずかしい ことです。
Q2 今日の できごとを 1つ、「いつ・どこで・何を・どうした」の 順に 話して みましょう。
A 4つ そろって いれば 合かく。順ばんが 少し ちがっても かまいません。
Q3 人の 話を 聞いて、質問を 1つ 作って みましょう。
A 「いつ」「どこ」「だれと」「どうして」の どれかを つかえば、必ず 質問に なります。
この単元は宿題が出ないため、家庭では見過ごされがちです。しかし「聞く力」は学校生活のあらゆる場面に影響します。
家庭でできる最も効果的な練習は、夕食時などに「一人が話し、他の人が質問する」時間を作ることです。1日5分で構いません。
もう一つ大切なのは、大人が最後まで聞く姿を見せることです。子どもが話しているときにスマホを見ながら「うんうん」と返すと、子どもはその聞き方を学びます。逆に、手を止めて目を見て聞いてもらえた経験がある子は、自分も同じように聞けるようになります。教えるより、見せるほうが早い単元です。