「りんご」と 言ったら、つぎの 人は「ご」から はじまる ことばを さがします。「ごりら」「ごはん」……。だれでも 知って いる あそびですが、じつは これ、ひらがなを 読む 力とは すこし ちがう「音を 聞きとる 力」の れんしゅうに なって います。1年生が つまずきやすい「ん」の ルールや 小さい 字の 読みかたを、この 記事で せいりします。
しりとりは、むずかしい きまりが たくさん ある あそびでは ありません。おぼえる ことは 2つだけです。
そして もう ひとつ、知って おくと あそびが もっと たのしくなる やくそくが あります。「ん」で おわる ことばを 出すと、その 人の まけです。「みかん」と 言ったら、つぎの 人は「ん」から はじまる ことばを さがさなければ なりません。でも「ん」から はじまる ことばは、ほとんど ありません。だから「ん」が 出た しゅんかんに あそびが おわります。
いきなり カードや きまりを 出さずに、おうちの 人と 口だけで 1かい やって みましょう。「りんご」→「ごりら」→「らっぱ」。3つ つながれば、もう ルールは 分かって います。
しりとりが むずかしく かんじる 子の ほとんどは、文字を 目で 見て 考えようと しているのが げんいんです。でも しりとりは、話した ことばの「音」で つながる あそびです。目で 見るのではなく、さいごに 出した 口の 音を もう 一回 言ってみると、つぎに 出す 音が すぐに 分かります。
たとえば「とけい」の さいごは「い」です。「い」から はじまる ことばなら 何でも つながります(いす、いぬ、いちご)。ここで「け」だと まちがえる 子が いますが、それは うしろから 2文字目を 見て しまって いるから です。いちばん うしろの 1文字だけを つかうのが ルールだと、くりかえし いっしょに たしかめて あげて ください。
| 前の ことば | さいごの 音 | つなげる ことばの れい |
|---|---|---|
| りんご | ご | ごりら・ごはん・ごま |
| さくら | ら | らっぱ・らくだ・らいおん |
| とけい | い | いす・いぬ・いちご |
| すいか | か | かさ・かめ・かみ |
しりとりの ルールが いちばん やくに 立つのは、小さい 字と のばす 音の 読みかたを 身に つけられる ところです。これは ひらがなを おぼえた すぐ あとに まよいやすい ポイントでも あります。
つまり、のばす 音・小さい「っ」は つぎの 音を さがす とき 1文字 分と して かぞえないと おぼえて おけば、ほとんどの ことばで 正しく つなげられます。これは あいうえおの じゅんばんを くらべる ときとは ちがう、「音の かずの かぞえかた」の れんしゅうです。
ふつうの しりとりに なれたら、つぎの あそびかたも ためして みましょう。どれも ルールは 同じ、テーマだけが ふえます。
「くしゃみ」の つぎに「みかん」と 出して しまい、じぶんで「ん」を 出した ことに おどろく 子が よく います。これは しっぱいでは なく、「ん」で おわる ことばが たくさん あると 気づく ための だいじな けいけんです。「ん」で おわりそうな ことばを 出す 前に「これ、さいごは ん かな?」と 声に 出して たしかめる くせを つけると、しだいに へって いきます。
「ひこうき」の あと、「う」を 音として さがして しまい、「う」から はじまる ことばを むりに 考えようとする 子が います。のばす 音は かぞえないという ルールを、その 場で 1回 言って あげれば、すぐに 直ります。何回も くりかえす うちに、じぶんで「あ、これは のばす 音だから とばすんだ」と 気づけるように なります。
たのしくなって くると、前に だれかが 言った ことばを わすれて、もう 一度 出して しまう ことが あります。紙に 出た ことばを 書いて いく(または 絵を かく)と、見て たしかめられるので、まちがいが へります。字を 書く れんしゅうにも なって、一ど に 2つの ことが できます。
しりとりは どうぐが いらないので、すきま時間に ぴったりです。
勝ち負けを つける ひつようは ありません。むしろ、つながった 数を いっしょに よろこぶ ほうが、長く つづけられます。
Q1 「ねこ」の つぎに つなげる ことばを 1つ 言えますか。
A さいごの 音は「こ」。「こま」「こおり」「こっぷ」など、「こ」から はじまる ことばなら 正かいです。
Q2 「ひこうき」の つぎに つなげる とき、どの 文字から はじめますか。
A 「き」から はじめます。のばす 音「う」は 音として かぞえないので、まちがえないように しましょう。
Q3 「らっぱ」の つぎに つなげる とき、どの 文字から はじめますか。
A 「ぱ」から はじめます。小さい「っ」は 音の かずに 入れません。
Q4 「みかん」の つぎは、だれが どうなりますか。
A つぎの 人は「ん」から はじまる ことばを さがさなければ なりません。ほとんど 見つからないので、「みかん」を 出した 人の まけに なります。
しりとりは、文字の読み書きとは別の「音韻意識(おんいんいしき)」、つまり言葉を音の単位で分解・操作する力を育てる遊びです。この力は、将棋やパズルのように後から鍛え直すものではなく、未就学期から低学年のうちに遊びの中で自然に育つことが知られています。特に、小さい「っ」やのばす音を1つの音としてどう扱うかという判断は、促音・長音の表記を学ぶ1年生国語の単元(ちいさい「っ」「ゃゅょ」・のばすおと)の理解を支える土台になります。
お子さんが「ん」で終わる言葉をうっかり出してしまったときは、失敗として指摘するより「あ、ん で終わる言葉だ! 他にも知ってる?」と言葉探しの材料にしてしまうのがおすすめです。負けた悔しさよりも、言葉への興味が残るような関わり方を意識してみてください。
また、文字を目で追うのではなく音を口に出して確かめる習慣は、後に習う濁音・半濁音やローマ字、英語の発音練習にも共通する「耳で言葉をとらえる」感覚の基礎になります。移動時間やお風呂など、道具のいらない場面でこそ力を発揮する遊びなので、机に向かう学習の合間の気分転換として取り入れてみてください。