「もっと 大きな こえで!」──おんどくの しゅくだいで、いちばん よく 言われる ことばです。でも、じつは こえの 大きさは、うまく なる ための いちばんの ポイントでは ありません。1年生の おんどくが ぐっと よく なるのは、文を どこで くぎるか が 分かった ときです。
おんどくの しゅくだいは、まいにち 出ます。「めんどうだな」と 思う 日も あるはずです。でも、これには はっきりした 理ゆうが あります。
とくに 3つ目が 大じです。目で だまって 読む「もくどく」は 2年生 いこうに ふえて いきますが、そこで つまずく 子の 多くは、ことばの まとまりで 読む くせ が ついて いません。おんどくは、その くせを つくる れんしゅうなのです。
1年生の はじめは、ほとんどの 子が こう 読みます。
これは ぜんぜん わるく ありません。文字を 1つずつ 音に できて いる、という ことだからです。ここから つぎの だんかいに 上がると、こう なります。
ちがいは、ことばの まとまりで 読んで いる ことです。この まとまりを「文せつ」と いいます。1年生に むずかしい ことばは いりません。「ね」を 入れられる ところ が くぎり目、と おぼえると かんたんです。
「ね」を 入れて 気もちわるく ない ところなら、そこで くぎって よい ところです。ためしに「くま(ね)さんが」と 入れて みると、へんな かんじが しますね。だから そこは くぎらない、と 分かります。
おんどくで いちばん かんたんに 上手に 見える コツが、句読点(くとうてん)の 読みかたです。やる ことは 止まる 長さを かえる だけ。
| しるし | なまえ | 止まる 長さ |
|---|---|---|
| 、 | 読点(とうてん) | 心の中で「いち」と 1つ かぞえる |
| 。 | 句点(くてん) | 心の中で「いち、に」と 2つ かぞえる |
| (行が かわる) | だんらく | 「いち、に、さん」と 3つ かぞえる |
この 3つを 分けて 読むだけで、聞いて いる 人には ずいぶん 上手に きこえます。ぎゃくに、「、」も「。」も ぜんぶ 同じ はやさで 通りすぎて しまうと、どんなに 大きな こえでも「はやすぎて 分からない」と 言われて しまいます。
子どもが 読んで いる あいだ、おうちの 人は 本を 見ないで 聞くだけ に して みてください。
目で 文字を おっていると 気づきませんが、聞くだけに すると「どこで 文が おわったのか 分からない」ところが すぐに 見つかります。それが、くぎりの れんしゅうを する ばしょです。
1年生の 教科書には、かぎかっこ「 」の 会話が よく 出て きます。ここは だれが 話して いるか を 考えて 読むと、ぐっと たのしく なります。
おなじ ひと文字でも、こんなに ちがいます。かぎかっこの 中は その人に なって 読む、かぎかっこの 外は お話を つたえる 人として 読む。この 2つを 分けられるように なると、聞いて いる 人は 場めんが 目に うかぶように なります。
むずかしく 考えなくて 大じょうぶです。「この とき、くまさんは どんな 気もちだった?」と 1回 聞くだけで、子どもは 自ぜんに こえを かえて 読みはじめます。
もう ひとつ、会話文には よく 「と、いいました。」 が くっついて います。ここを つづけて いっきに 読むと、だれの ことばか 分からなく なります。かぎかっこを 読みおわったら、ひとつ かぞえて から「と、いいました。」に すすむ。それだけで、聞いて いる 人は「いまのは くまさんの ことばだ」と すぐに 分かります。
また、おなじ ページを 何日も 読むと、こえの ちょうしが いつも 同じに なって きます。そんな ときは、おうちの 人と 1文ずつ こうたいで 読む と、新しい 読みかたに 気づけます。大人が 少し 大げさに 読んで みせると、子どもは まねを して、じぶんの 読みかたの はばを ひろげて いきます。
おんどくの しゅくだいには、たいてい「音読カード」が ついて きます。〇を つけて はんこを おすだけに なりがちですが、少し 使いかたを かえると れんしゅうの 中みが かわります。
大じなのは、1回に なおすのは 1つだけ という ことです。「こえ」も「くぎり」も「はやさ」も ぜんぶ いっぺんに 言われると、子どもは どれから 直せば いいか 分からなく なり、おんどくが きらいに なって しまいます。
「すらすら 読める=はやく 読める」と かんちがいして、どんどん はやく なって しまう ことが あります。すらすらとは 止まる ところで 止まれる ことです。「はやさは そのままで いいから、『。』で 2つ かぞえて みよう」と 声を かけると 直ります。
まいにち 同じ ところを 読むので、そのうち 暗記して しまい、文字を 見ないで 言えるように なります。これも わるい ことでは ありませんが、読む れんしゅうには なりません。ゆびで 文字を おいながら 読む、または とちゅうの 行から 読ませて みると、目と 声が また つながります。
こえの 大きさは、じつは じしんの 大きさ です。読めない 字が あると、人は 自ぜんに こえが 小さく なります。「大きな こえで」と 言う まえに、読めない 字が ないか を いっしょに 見て あげてください。読める ように なると、こえは 何も 言わなくても 大きく なります。
Q1 「わたしは こうえんで あそびました。」を、「ね」を 入れて くぎれますか。
A 「わたしは(ね) こうえんで(ね) あそびました。」の 2か所です。
Q2 「、」と「。」では、どちらが 長く 止まりますか。
A 「。」です。「、」は 1つ、「。」は 2つ かぞえます。
Q3 こえが 小さく なって しまう とき、まず なにを たしかめますか。
A 読めない 字が ないかを たしかめます。読めれば こえは 大きく なります。
毎日の音読は、聞く側にとっては単調な時間になりがちです。しかし1年生にとって音読は、文字を音に変換する処理を自動化するための、きわめて負荷の高い作業です。「大きな声で」「もっとゆっくり」と複数の指摘を重ねると、子どもは処理の余裕を失い、かえって読めなくなります。
指摘は1回につき1つ、しかも「今日はここだけ」と範囲を限定してください。そして評価は「上手だったか」ではなく「昨日より1か所よくなったか」で見てあげると、毎日続ける意味が本人にも見えてきます。
また、音読の質は語彙と読解の土台に直結します。区切って読めるということは、文の構造を理解しているということです。逆に、意味の切れ目と違うところで区切っている場合は、内容が頭に入っていないサインなので、読む前に一度あらすじを話してあげると改善します。