教室で お店やさんごっこを します。あなたは くだもの屋さんの 店員です。お客さんが 来て、こう 言いました。「くだもの ください。」── さあ、何を わたしますか。りんご? みかん? バナナ? どれを 出しても、ちがうと 言われるかも しれません。ものの名まえ の 勉強は、この こまった 場めんから 始まります。
お客さんは たしかに 名まえを 言いました。でも 店員は 出せません。おかしな 話です。じつは ものには、名まえが 二しゅるい あるからです。
上の 四つは、それ 一つだけを さす 名まえ です。りんごと 言えば りんごの ことで、みかんの ことでは ありません。下の「くだもの」は ちがいます。四つ ぜんぶを ひとまとめに して よぶ ための 名まえ です。だから 店員は どれか 一つに しぼれなかったのです。
ここで 大じなのは、どちらが えらいかでは ない ということ。二つの 名まえは、はたらきが ちがうだけです。
どちらの 名まえが ないと こまるのか。お店の 場めんで 分けて みると、はっきり します。
| お店で する こと | つかう 名まえ | ないと どう なる |
|---|---|---|
| お店の かんばんを 書く | くだもの | 「りんごと みかんと バナナと…」と 全部 書くことに なる |
| ならべる たなを 分ける | くだもの・やさい | どこに 置けば いいか 決まらない |
| お客さんが 注文する | りんご | 店員が どれを 出すか 分からない |
| ねだんの ふだを つける | みかん | ねだんの ちがう ものに 同じ ふだが つく |
表を 上から 下へ 見て みて ください。お店を つくる ときは まとめた 名まえ、買う ときは 一つ 一つの 名まえ を つかって います。つまり、
お店に 行く とき、まず「くだものの たなは どこ?」と さがします。たなに ついたら、こんどは「どの りんごに しよう」と えらびます。さがす ときは 大きい 名まえ、えらぶ ときは 小さい 名まえ。じゅんばんに つかって いるのです。
「りんごを まとめると くだもの」。ここで 終わりだと 思いがちですが、まだ 上が あります。
くだものと やさいを まとめると たべもの に なります。だんだんが 上に のびて いるのが 分かりますか。上へ 行くほど なかまが ふえて、ざっくり した 名まえ に なり、下へ 行くほど なかまが へって、はっきり した 名まえ に なります。
だから、「くだもの」は 上から 見れば 小さい 名まえ、下から 見れば 大きい 名まえ です。大きい・小さいは、その ことば じたいに くっついて いるのでは なく、どれと くらべるか で 決まります。
もう 一つ、おもしろい ことが あります。にんじんは やさいの なかまです。でも、それだけでは ありません。
ぜんぶ 正しいのです。分け方は 一つでは ない からです。「色で 分ける」と 決めれば にんじんは トマトと 同じ はこに 入り、「そだつ ばしょで 分ける」と 決めれば じゃがいもと 同じ はこに 入ります。
まとめた 名まえを 考える ときは、いつも 先に「何で 分けるか」を 決めて いる のです。ここに 気づいて おくと、学年が 上がって から 出てくる なかまの ことばの 勉強が ぐっと らくに なります。ことばを なかまで 考える 見方は ことばの いみと なかま の 記事で さらに くわしく あつかって います。
この 二つの 名まえが つかえる ように なると、書く ことが とくいに なります。たとえば 日記に こう 書いたと します。
下の 文は 短いのに、言いたい ことが よく 分かります。ぜんぶを ならべる かわりに、まとめた 名まえで さっと 言って、いちばん 書きたい 一つ だけを 一つ 一つの 名まえで くわしく 書いて いるからです。
これは 大きい 名まえで 全体を 言い、小さい 名まえで 一点を さす という 書き方です。文の 中で どの ことばが「だれが」「どうする」に あたるのかは ぶんを つくる で、書いた ことを その日の 記ろくに まとめる 方ほうは にっきを かく で 見て みて ください。
お店やさんごっこで いちばん 多い 場めんです。「くだもの ください」「文ぼうぐ ください」と 言って しまい、店員が こまります。直し方は かんたんで、言った あとに「どれ?」と 聞きかえして もらう こと。聞きかえされて はじめて、自分が 大きい 名まえで 話して いたと 気づけます。ごっこ遊びの いちばんの ねらいは、じつは この 気づきです。
「くだものを 絵に かきましょう」と 言われて、手が 止まる 子が います。当たり前です。くだもの そのものは、どこにも ありません。あるのは りんごや みかんで、それを 頭の 中で まとめて よんで いる ことばが「くだもの」です。かけないのは まちがいでは なく、まとめた 名まえの せいしつを 正しく つかんで いる しょうこ です。かく ときは「なかまを 三つ えらんで かく」で かまいません。
トマトは やさい? くだもの? すいかは? 大人でも 意見が 分かれます。こういう ときは、どちらかに 決めなくて よい と 教えて あげて ください。分け方を 決めるのは 人だから、人に よって ちがう ものが 出てきます。むりに 一つに 決めるより、「なぜ まようのか」を 言える ほうが ずっと よい 答え です。
Q1 「えんぴつ・けしゴム・じょうぎ」を まとめて よぶと、何ですか。
A 文ぼうぐ(ぶんぼうぐ)です。学校で つかう ものまで 広げれば「学用ひん」と いう もっと 大きい 名まえにも なります。
Q2 「のりもの」の なかまを 三つ 書きましょう。
A バス・電車・じてん車 など。ほかにも ひこうき、船、タクシーなど たくさん あります。三つ 書けたら、その 三つの ちがいも 言って みましょう。
Q3 「くだもの」より もっと 大きい 名まえは 何でしたか。
A たべものです。くだものは、やさいなどと いっしょに たべものの なかまに 入ります。
Q4 お店の かんばんに 書くのは、どちらの 名まえですか。
A まとめて つけた 名まえです。「くだもの屋」と 書けば、中に ある ものを 全部 ならべなくても つたわります。
Q5 家の 台どころを 見て、なかまで 分けて みましょう。
A おさら・コップ・おはし → しょっき。なべ・フライパン → りょうり どうぐ。自分で 名まえを つけた はこに 何が 入るかを 言って みて ください。
この単元は語い(ごい)を増やす学習だと思われがちですが、本質は分類の練習です。ものを共通点でくくり、名前をつけて扱う ── これは理科の「なかま分け」、算数の「表とグラフ」、社会の「地図の記号」へまっすぐつながる考え方で、教科をこえて効いてきます。単語をたくさん言えたかより、「どうしてそのなかまに入れたの?」と理由を聞いてあげてください。
家庭でいちばん手軽な練習は買い物です。「牛にゅうは、どのコーナーにありそう?」と売り場を予想させると、まとめた名前で探して一つ一つの名前で選ぶという流れをそのまま体験できます。見つからないときも、すぐ教えずに「何のなかまだと思う?」と一度返してあげると、分け方を自分で組みなおす練習になります。
トマトやすいかのように分類がゆれるものを子どもが持ち出したら、大人が正解を言い切らないほうが実りがあります。「野菜と果物は、育て方で分けるか食べ方で分けるかで答えが変わる」と伝えるだけで十分です。分け方は人が決めたものだと知ることが、高学年での資料の読み取りにそのまま生きます。