1年 国語 としょしつのつかいかた

としょしつで 本を えらぶ ── おもしろそうな本ではなく、いま よめる本

かりた 本を、1ページも 読まないで 返して しまう。1年生に とても 多い ことです。あきっぽいからでは ありません。えらび方を、まだ ならって いないだけです。

本を 「かりる」ことと 「読む」ことは べつ

としょしつのつかいかた を ならう とき、さきに おぼえるのは、たいてい かりる 手つづきの ほうです。カードを 出す。日づけを おして もらう。返す 日を おぼえる。ここまでは、1年生でも すぐに できるように なります。

ところが、家に 持って 帰った その 本が、そのまま ランドセルの 中で 1しゅうかん ねむって いる。よく ある ことです。おうちの人は「また 読んで いない」と 思います。子どもは 子どもで、なんとなく 後ろめたい 気もちに なります。

ここで 気づいて おきたい ことが あります。かりるのが できる ことと、読めるのは べつの 力だ、という ことです。かりる のは 手つづき。読める かどうかは、その子の いまの 字の 力に 合って いるかで 決まります。手つづきだけを ならっても、合う 本を 引きあてる 力は つきません。

表紙で えらぶと、たいてい むずかしすぎる

1年生が 本を えらぶ ようすを 見て いると、ほとんどの子が おなじ ことを します。たなの 前に 立って、表紙の 絵を 見て、かっこいい ものを 取る。これだけです。

表紙は、その 本で いちばん きれいに 作られて いる ところです。絵が 大きく、字は 少ない。だから 表紙を 見て いる かぎり、どの 本も 読めそうに 見えます。

そして、表紙が いちばん かっこいい 本は、たいてい 3年生や 4年生が 読む 本です。中を 開くと、字が 小さく なり、行が つまり、知らない かん字が ならびます。ここで はじめて「読めない」と 気づきます。けれど 1年生は、それを おうちの人に うまく 説明 できません。だから ただ、読まない まま 返す ことに なります。

表紙で えらぶ ↓ 中を あけて みる ↓ 字が 小さい・知らない字ばかり 読むのを やめる ↓ 「本が きらい」と 思いこむ ← ここが いちばん こまる

こまるのは、読めなかった ことが 「じぶんは 本が すきでは ない」という 思いこみに すりかわる ことです。ほんとうは、合わない 1さつを 引いた だけ なのに。

ゆび 5本で、開いて たしかめる

えらぶ ときに、たった 1つだけ やって ほしい ことが あります。とちゅうの ページを 1つ 開いて、声に 出さずに 読んで みることです。そして、つまった ところで ゆびを 1本ずつ 立てます。

1ページ 読んで、つまった 数を ゆびで かぞえる ゆび 0〜1本 … らくに 読める。ひとりで 読む 本に ぴったり ゆび 2〜3本 … ちょうど いい。すこし 力が つく 本 ゆび 4本 … むずかしい。だれかと いっしょなら 読める ゆび 5本 … いまは まだ。べつの 本に する

「つまった」というのは、読めない 字が あった、どう 読むか 分からず 止まった、意味の 分からない ことば だった、の どれでも かまいません。大事なのは、1年生に 数の 大小で 分かる 形に して あげることです。「むずかしそう?」と 聞いても、子どもは 答えられません。ゆびの 数なら 答えられます。

ゆびが 5本 立ったからと いって、その 本が わるい わけでは ありません。「いまは まだ」だけです。そこを ことばで はっきり 言って あげて ください。「これは 2年生に なってから もう 一回 見よう」と。そう 言われた子は、その 本を おぼえて いて、ほんとうに あとで もう 一度 取りに いきます。

たなは、なかま ごとに 分かれて いる

としょしつの たなは、てきとうに ならんで いる わけでは ありません。おなじ なかまの 本が、おなじ たなに 集まって います。物語の たな、生きものの たな、のりものの たな、といった ぐあいです。

本の せなかには、小さい ラベルが はって あります。そこに 書かれた 数字が、なかまの 番ごうです。1年生は、その 数字の いみまで おぼえなくて かまいません。おぼえて おくと よいのは、「すきな 本が あった たなの 前に、にた 本が ならんで いる」という ことだけです。

これが 分かって いると、つぎの 週が らくに なります。先週 おもしろかった 本を 持って いって、おなじ たなに もどし、その 左右を 見る。それだけで、合う 本が 見つかる かくりつが ぐんと 上がります。えらぶ ときの いちばん よい 手がかりは、前に おもしろかった 本です。

かりた 本は、その日の うちに 1ページ 開く

返す 日まで あと 6日 ある、と 思うと、人は 手を つけません。おとなでも おなじです。ですから、1年生には 「かりた その日に、1ページだけ 開く」と 決めて しまう ほうが うまく いきます。

1ページで やめて よい、と さきに 言って おくのが こつです。「ぜんぶ 読みなさい」と 言われると、開く 前から おもたく なります。1ページなら 開けます。そして じっさいには、開いた子の 多くは そのまま 2ページ 3ページと 進みます。いちばん 重いのは、はじめの 表紙を めくる ところだからです。

もう 1つ、返す 日を 目に 見える ところに 出して おくと、わすれ物が へります。れいぞうこに はる、れんらくちょうに 書く、どちらでも かまいません。1年生の つまずきで いちばん 多いのは、じつは 読めない ことでは なく「返す 日を わすれた」で、これは しくみで 防げます。

つまずきやすい ところ

その1 おなじ 本ばかり かりる

3しゅう つづけて おなじ 本を かりて くる。これは、止めなくて よい ことです。くり返し 読める 本が 1さつ ある子は、読む 力が のびて いる とちゅうです。すらすら 読める かんかくを、体で おぼえて います。
ただ、ずっと おなじ ままだと 世界が 広がりません。「この 本と、もう 1さつ、はじめての 本」と、1さつ たす 形に して あげて ください。

その2 字の ない 絵の 本を えらぶ

絵ばかりの 本を 取ると、おうちの人は「これは 読書に ならないのでは」と 心ぱいします。なりません、とは 言えません。絵を 順に 見て、話の 流れを 追う のも 読む 力です。
絵の 本を えらんだら、「この つぎ どう なると 思う?」と 聞いて みて ください。答えられたら、読みとりが できて います。

その3 かして もらえない 本が ある

じてんや 大きい ずかんは、へやの 中でしか 見られない ことが あります。子どもは「ぼくだけ だめだった」と うけとる ことが あります。
みんなが つかう から、そこに おいて あると つたえて ください。ルールに 理由が あると 分かれば、すんなり 受け入れます。

やって みよう

Q1 いま かりて いる 本の とちゅうを 開いて、1ページ 読んで みましょう。ゆびは 何本 立ちましたか。

A 0〜3本なら、ひとりで 読める 本です。4〜5本なら、おうちの人と いっしょに 読む か、べつの 本に かえて かまいません。

Q2 いままでで いちばん おもしろかった 本は どれですか。

A 1さつ 言えたら 合かく。つぎに 行った ときは、その 本が あった たなの 前に 立って みましょう。

Q3 かりた 本を 返す 日は いつですか。

A すぐに 答えられなかったら、いまから 紙に 書いて、見える ところに はりましょう。

まとめ

おうちの方へ

読書の習慣がつくかどうかは、この学年では「何冊読んだか」ではなく「読めた経験があるか」で決まります。難しい本を最後まで読ませた経験より、やさしい本を自力で1冊読み切った経験のほうが、次の1冊につながります。
指で数える方法は、英語圏の図書館で古くから使われている「ファイブ・フィンガー・ルール」を1年生向けに置き換えたものです。ねらいは難易度の判定そのものより、子どもが自分で「これは自分に合う/合わない」を言葉にできるようにすることにあります。合わない本を棚に戻すのは、あきらめではなく選ぶ技術です。
なお、借りた本を読まずに返す時期は、多くの子に一度は訪れます。そこで「せっかく借りたのに」と言ってしまうと、次から借りること自体をためらいます。返却できたこと自体は守れたルールとして扱い、選び方だけを一緒に直していくのが、遠回りに見えていちばん早い道です。