1年 国語 日づけと よう日

日づけと よう日 ── おぼえるのは 31こでは なく 10こ

カレンダーの さいしょの ところを ゆびで さして「いちにち」と 読んだら、「ついたち だよ」と 直された ことは ありませんか。数は「いち・に・さん」と 読むはずなのに、カレンダーの 上では まったく ちがう 音に なります。ぜんぶで 31日。それを 一つずつ おぼえるのは 大へんです。でも ほんとうに おぼえるのは 10こだけで、しかも その 10こは、みなさんが もう 知って います。

カレンダーの 上でだけ、数の 読み方が 変わる

まず、どれくらい ちがうのかを 見て みます。ふだんの 数の 読み方と、カレンダーの 読み方を となりに ならべて みましょう。

ふだん   カレンダー 一 いち → ついたち 二 に  → ふつか 三 さん → みっか 四 し  → よっか 五 ご  → いつか

「いち」と「ついたち」は、音が 一つも 同じでは ありません。よその 国の ことばに 見えるくらい ちがいます。それなのに、大人は だれも まちがえずに 使って います。ふしぎな 話です。

ここで、いじわるな しつもんを 一つ。同じ「一日」と いう 字を、「一日じゅう 雨が ふった」と いう 文の 中では なんと 読みますか。こちらは「いちにち」です。字は 同じでも、日づけの ときだけ 読み方が 変わるのです。

つまり これは、字の 読み方を おぼえる 話では ありません。カレンダーの 上でだけ 通じる、もう 一つの ことばが あって、それが どこから 来たのかを 知る 話です。1年生で ならう 日づけと よう日 という 学しゅうは、じつは 日本語の 一ばん 古い ところに つながって います。

かくれて いた「もう 一つの 数え方」

じつは 日本には、数の 読み方が 二とおり あります。一つは「いち・に・さん・し・ご」。これは 大むかしに 中国から 来た 読み方です。そして もう 一つ、日本に もともと あった 読み方が あります。

ひ ふ み よ いつ む なな や ここの とお

見おぼえは ありませんか。かくれんぼの とき「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……」と 数えますね。あれが この 読み方です。「一つ・二つ・三つ」の「ひと・ふた・みっ」は、ぜんぶ こちらの なかまなのです。

数中国から 来た 読み方日本に もとから ある 読み方
一いちひ(ひとつ)
二にふ(ふたつ)
三さんみ(みっつ)
四しよ(よっつ)
五ごいつ(いつつ)
六ろくむ(むっつ)
七しちなな(ななつ)
八はちや(やっつ)
九きゅうここの(ここのつ)
十じゅうとお

右の れつを、たてに 声で 読んで みて ください。ひ・ふ・み・よ・いつ・む・なな・や・ここの・とお。この 10この 音が、これから ずっと 出て きます。ここさえ 言えれば、あとは ほとんど 一人でに 分かります。

ふだん この 古い ほうの 読み方を 使うのは、りんごや えんぴつを「一つ、二つ」と 数える ときだけです。ところが たった 一か所、この 読み方が いまも まるごと のこって いる 場しょが あります。それが カレンダーなのです。

日づけは「もう 一つの 数え方」+「か」

「か」は、漢字で 書くと「日」です。ですから 日づけの 読み方は、さっきの 10この 音の うしろに「か」を くっつけた だけ、と いう しくみに なって います。

ふた + か → ふつか み  + か → みっか よ  + か → よっか いつ + か → いつか とお + か → とおか

「ふたか」が「ふつか」に、「みか」が「みっか」に なって いるように、言いやすい ように 音が すこし ずれて いる ものは あります。けれども もとの 音は のこって います。六日が「むいか」、七日が「なのか」、八日が「ようか」、九日が「ここのか」。ぜんぶ「む」「なな」「や」「ここの」から 出て きて います。

日づけ読み方もとに なった 音
二日ふつかふた
三日みっかみ
四日よっかよ
五日いつかいつ
六日むいかむ
七日なのかなな
八日ようかや
九日ここのかここの
十日とおかとお

ここまでで 9つ かたづきました。バラバラに おぼえる ものが 9こ あるのでは なく、もう 知って いる 音に「か」を つけると いう きまりが 一つ あるだけです。おぼえる りょうが 一けた ちがいます。

きまりから はずれる 2つには、ちゃんと わけが ある

のこったのは「ついたち(一日)」と「はつか(二十日)」の 2つです。この 2つだけは「か」を つける きまりに あてはまりません。でも、でたらめに そう なったのでは なく、どちらにも 理ゆうが あります。

ついたち = 月が 立つ 日

むかしの 人は、月の 形を 見て こよみを 作って いました。まん丸だった 月が だんだん ほそく なって 見えなく なり、また 新しい 月が あらわれる。その 日が 一か月の はじまりです。「新しい 月が 立つ」ので「月立ち(つきたち)」。それが 言いやすい ように 変わって「ついたち」に なりました。

だから 一日は、ならんで いる 日の 1番目、と いう より「ここから 新しい 月が はじまる」と いう 合図の 日なのです。「か」が つかないのは、数を 言って いる ことばでは ないから です。

はつか = 二十の 古い 言い方「はた」+か

むかしは 二十の ことを「はた」と 言いました。ですから 二十日は「はた + か」で、これが「はつか」に なった ものです。きまりから はずれて いる ように 見えて、じつは いちばん きまりどおりの 作り方を して います。

この「はた」は、いまも いくつか のこって います。二十さいの ことを「はたち」と 言いますね。ちいさくて まるい 赤い 大根を「二十日大根(はつかだいこん)」と よぶのも、たねを まいて から 二十日ほどで 食べられる からです。同じ「はた」が あちこちに かくれて います。

十一日から 先は、ふつうの 読み方に もどる

ここが うれしい ところです。十日を すぎると、日づけの 読み方は きゅうに かんたんに なります。十一日は「じゅういちにち」、十二日は「じゅうににち」、十五日は「じゅうごにち」。ふだんの 数の 読み方に「にち」を つける だけです。

ただし、わすれずに おぼえて おく ところが 3つ あります。

  1. 十四日は「じゅうよっか」 「じゅうよんにち」では ありません。
  2. 二十日は「はつか」 「にじゅうにち」では ありません。
  3. 二十四日は「にじゅうよっか」 4が つく 日は、日づけでは ずっと「よっか」の ままです。

つまり 4の つく 日だけが、最ごまで しぶとく 古い 読み方を のこして います。四日・十四日・二十四日。この 3つを ならべて 声に 出して おくと、テストでも まよいません。

もう 一つ、おまけの 話を します。一か月の さいごの 日の ことを、むかしは「みそか」と よびました。「みそ」は 三十の 古い 言い方です。一年の いちばん さいごの 日を「大みそか」と 言うのは、その なごりです。年の おわりに 聞く あの ことばにも、ひ・ふ・み・よ の なかまが かくれて いた のです。

よう日の 名前は、夜の 空に ある

日づけの となりには、かならず よう日が 書いて あります。日・月・火・水・木・金・土。なぜ この 7つなのか、考えた ことは ありますか。

こたえは、空です。むかしの 人が 目で 見る ことの できた 空の 明るい ものが、ちょうど 7つ ありました。太陽と 月、そして 5つの 星です。

よう日空に ある もの
日よう日太陽
月よう日月
火よう日火星
水よう日水星
木よう日木星
金よう日金星
土よう日土星

7つ あったから、7日で 一回り。一しゅうかんが 7日なのは、空に ある ものが 7つ だったから なのです。もし 8つ 見えて いたら、一しゅうかんは 8日だった かも しれません。

おもしろい ことに、これは 日本だけの 話では ありません。英語でも 日よう日は Sunday(サンデー)=太陽の 日、月よう日は Monday(マンデー)=月の 日、土よう日は Saturday(サタデー)=土星の 日です。海の むこうの 国の 人も、同じ 空を 見上げて 同じ ように 名前を つけた、と いう ことに なります。

まちがえやすい ところ 3つ

その1 なんでも「ついたち」と 読んで しまう

「一日」の 読みを おぼえた とたん、文の 中の「一日」まで ぜんぶ「ついたち」に して しまう 子が います。見分け方は かんたんで、前に 月の 名前が あるか どうかです。「四月一日」なら ついたち。「一日じゅう ねて いた」なら いちにち。

その2 「よっか」と「ようか」を 取りちがえる

四日(よっか)と 八日(ようか)は、音が とても にて います。ちがうのは まん中が「っ」か「う」かだけ。こういう ときは、目で 見くらべても なかなか おぼえられません。声に 出して、口の 形の ちがいを 体で おぼえるほうが 早いです。よっ・か、よう・か、と ゆっくり 二回ずつ 言って みて ください。

その3 日づけを ひらがなで 書いて しまう

読み方を おぼえた あと、こんどは カレンダーに「ついたち」と ひらがなで 書こうと する 子が います。書く ときは 数字や 漢字の ままで かまいません。特べつなのは 読み方だけで、書き方は ふつうです。ここを 分けて 考えられると、頭の 中が すっきり します。

おうちで できる 練しゅう

いちばん よいのは、家の カレンダーを 使う ことです。紙の カレンダーが あれば、子どもの 目の 高さに はって、つぎの ように 声を かけて みて ください。

日づけは、ドリルの ページを こなすより、毎日 一回 目に する ほうが ずっと 早く 身に つきます。「読んで みて」と 言うだけで、練しゅうに なります。

よく ある しつもん

Q1 どうして 日づけだけ 古い 読み方が のこって いるのですか。

A 日づけは 大むかしから 毎日 口で 言って きた ことばだから です。よく 使う ことばほど 新しい 言い方に 入れかわりにくく、古い 形の まま のこります。あいさつの ことばが 古い ままなのと 同じ 理ゆうです。

Q2 「七日」を「なぬか」と 読む 大人が います。まちがいですか。

A まちがいでは ありません。「なな」から「なのか」に 変わる とちゅうに「なぬか」と いう 形が あり、いまも 使う 人が います。学校の テストでは「なのか」と 書いて おけば あんしんです。

Q3 二十日が「はつか」なら、三十日は なんと 読みますか。

A ふつうは「さんじゅうにち」です。古い 言い方の「みそか」は、いまは 一年の さいごの 日を あらわす「大みそか」の 中に だけ のこって います。日づけで 特べつな 読みを するのは、一日・十四日・二十日・二十四日の 4つだと 考えて ください。

Q4 よう日は なぜ 日よう日から はじまるのですか。

A カレンダーの 作り方に よって ちがいます。日本の 紙の カレンダーは 日よう日から はじまる ものが 多いのですが、学校の 時間わりや 手ちょうでは 月よう日から はじまる ことも あります。どちらが 正しいと いう ものでは なく、使う 人に 合わせて 決めて います。

Q5 カレンダーの 日を ぜんぶ おぼえないと いけませんか。

A いいえ。ちがう 読み方を するのは 1日から 10日までと、十四日・二十日・二十四日だけです。のこりは ふだんの 数に「にち」を つける だけなので、あたらしく おぼえる ものでは ありません。

まとめ

おうちの方へ

この 単元は、教科書では 詩や 表の 形で 出て きて、声に 出して 読んで 終わりに なりがちです。ところが 日づけの 読みは 生活の 中で 一生 使いつづける 知しきで、ここを あいまいに したまま 学年が 上がると、連絡ちょうの 予定を 読みちがえる という 形で 何度も 顔を 出します。
丸暗記に させない ための 鍵が、「ひ・ふ・み・よ……」と いう もう 一つの 数え方です。子どもは「一つ・二つ・三つ」として すでに 使いこなして いるので、新しく 覚える ものは ほぼ ありません。31個の 暗記だと 思うと 手が 止まりますが、10個の 音に「か」を つけるだけだと 分かると、取りかかりの 重さが かなり 変わります。
例外は 実しつ 4つ(一日・十四日・二十日・二十四日)だけです。逆に 言えば、ここだけは 理くつが 通らないので、由来ごと 話して あげると 定ちゃく します。ついたち=月立ち、はつか=はた+か。大人にとっても はじめて 知る 話である ことが 多く、親子で 同じ おどろきを 共有できる 数少ない 単元です。
練しゅうは プリントより カレンダーです。家族の 予定を 子どもに 読み上げて もらう 役わりを 任せると、毎日 数十秒で 自然に 身に つきます。