1年生の 日記は、ほとんどが「〇〇を しました。たのしかったです。」で 終わります。これは まちがいでは ありません。でも、もう ひとつ ふみこめると、ぐっと おもしろい 日記に なります。
日記を 書く とき、ぜんぶを 書こうと しなくて 大じょうぶです。むしろ ぜんぶ 書こうと すると、なにも 心に のこらない 文しょうに なります。
この 3つが そろって いれば、それは りっぱな 日記です。文の 長さは かんけい ありません。3つが そろって いるか が、いちばんの チェックポイントです。
1年生に「きょう なにが あった?」と 聞くと、あれも これも と いっぱい 話して くれます。それは とても いい ことですが、日記に する ときは ひとつだけ えらびます。
たとえば こういう 1日が あったと します。
ぜんぶ 書くと、どれも あさく なって しまいます。いちばん 心が うごいた こと ひとつ を えらんで、そこだけ くわしく 書きます。「てつぼうを した」を えらんだら、あさがおや テストの ことは 書かなくて いいのです。
「きょう いちばん たのしかった ことは?」「きょう いちばん びっくりした ことは?」と 聞いて あげると、子どもは じぶんで 1つを えらべます。
えらんだ あとに「なんで それを えらんだの?」と 聞くと、その ことばが そのまま 日記の 理由の 部分に なります。
「たのしかったです」で 終わる 日記は、じつは とても おしいです。あと 1こと ふやすだけで、読む 人に つたわる 日記に なります。
| ふつうの 日記 | 1こと ふやした 日記 |
|---|---|
| てつぼうを しました。たのしかったです。 | てつぼうを しました。まえまわりが はじめて できて、たのしかったです。 |
| カレーが でました。おいしかったです。 | カレーが でました。おかわりを 3人と きそって、おいしかったです。 |
| プールに はいりました。きもちよかったです。 | プールに はいりました。さいしょは つめたかったけど、すぐにきもちよかったです。 |
ふやすのは「なにが あって、それが どう 気もちに つながったか」です。むずかしく 考えなくて 大じょうぶ。「なんで?」を じぶんに 1回 聞く だけで、この 1ことは 出て きます。
おなじ 「たのしかった」でも、くわしく できる ところは たくさん あります。
これらの ことばを 1つでも 入れると、読んで いる 人の あたまに その ばめんが うかぶ ように なります。「たのしかった」だけの 文と、「くるっと まわれて たのしかった」の 文、どちらが 目に うかびますか。
いきなり ノートに 向かっても、なにを 書けば いいか 分からない ことが あります。書く 前に 口で 話す じかんを つくると、日記は ぐっと 書きやすく なります。
この 「話してから 書く」 じゅんびを すると、書く スピードも 上がりますし、なにより 「話した ことが 文しょうに なる」 という かんかくを つかめます。これは 作文が すきに なる、いちばんの ちかみちです。
1年生の 夏休みの しゅくだいで よく 出る「絵日記」も、じつは 考えかたは いっしょです。ちがうのは、文しょうの まえに 絵 が つく ことだけ。
絵日記の 絵は、うまく かこうと しなくて 大じょうぶです。それより 大じょうなのは、文しょうと 絵が おなじ できごとに なって いるか です。文しょうで「てつぼうを した」と 書いて あるのに、絵は「プールで あそんで いる」だと、読む 人は こんらんして しまいます。
おすすめの じゅんばんは、さきに 文しょうを 書いてから、絵を かく ことです。文しょうで「なにを 書くか」を さきに 決めて おくと、絵も 同じ ばめんに しぼりやすく なります。あとから 絵に あわせて 文しょうを かえる ひつようが なくなるので、じかんも 短く すみます。
絵ぜんたいを 細かく かこうと すると 時間が かかりすぎます。文しょうで いちばん 大じな 部分(たとえば「まえまわりを して いる じぶん」)だけを 大きく、まん中に かいて、まわりは かんたんで かまいません。文しょうと 同じで、絵も 「ひとつに しぼる」 が こつです。
気もちを あらわす ことばが 少ないのは 1年生では ふつうです。「たのしい」の ほかに「うれしい」「びっくりした」「ドキドキした」「がんばった」など、気もちの ことばの ひきだし を いっしょに ふやして あげましょう。
朝から 夜まで の できごとを ぜんぶ 書こうと すると、どの ぶんも みじかく、あさく なります。「きょうの いちばん」を ひとつだけ と、さいしょに くぎって あげると 書きやすく なります。
「〜しました。〜しました。」が つづくと、たんちょうに なります。ときどき「〜だったのは、はじめてです。」「なんと〜」のような 言いかたを まぜると、文しょうに リズムが 生まれます。むりに ちがう 形に する ひつようは ありませんが、1つ まぜられたら 十分です。
Q1 きょう あった ことを、ひとつだけ えらべますか。
A なんでも かまいません。「これ!」と ひとつ 決められたら 合かくです。
Q2 「たのしかったです」の あとに、もう ひとこと つけたせますか。
A 「なんで?」を じぶんに 聞いて みましょう。出て きた ことばを そのまま つけたせば できあがりです。
Q3 その できごとを、だれかに 声に 出して 話せますか。
A 話せたら、それを そのまま 文字に すれば りっぱな 日記に なります。
1年生の日記が「たのしかったです」で終わるのは自然な発達段階であり、悪いことではありません。ここで大切なのは、文の完成度を求めることよりも「話してから書く」という手順を毎回セットにすることです。
書く前に「今日のいちばんは何だった?」「それでどう思ったの?」と1〜2つ質問するだけで、子どもは自分の中にある言葉を引き出しやすくなります。直接ノートに向かわせて「もっと詳しく書いて」と言うより、はるかに効果的です。
また、書けた日記を読んだら、内容の正確さより「その場面が目に浮かんだかどうか」で反応してあげると、子どもは「くわしく書くと伝わるんだ」という手応えを実感できます。この積み重ねが、2年生以降の作文力の土台になります。