1年 英語 はい・いいえ

「はい」は ぜんぶ yes じゃない ── なまえを よばれたら Here!

朝の教室。先生が出席をとります。「○○さん」「はい!」。きみが毎日言っているこの「はい」、英語では何と言うか知っていますか。「はい=yes」と習った気がするから、yes かな、と思うかもしれません。ところが、英語の学校で出席のときに yes と言う子は、ほとんどいません。言うのは Here!(ヒア)です。どうして yes ではないのでしょう。そのひみつをたどると、日本語の「はい」がじつは一つでいくつもの仕事をしている、はたらきものの言葉だったことが見えてきます。

日本語の「はい」は、一つで三つの仕事をしている

まず、きみがふだん「はい」をどんなときに言っているか、思い出してみましょう。ならべてみると、同じ「はい」なのに、やっている仕事がちがいます。

①へんじ  「○○さん!」   →「はい!」(ここにいるよ) ②こたえ  「りんご、すき?」 →「はい、すき」(そうだよ) ③あいづち 「きのうね……」  →「はい」「はい」(きいてるよ)

①は、名前をよばれたときのへんじです。このときの「はい」は、「そうだよ」という意味ではありません。「わたしはここにいるよ」「きこえたよ」という合図です。②は、質問へのこたえです。「すき?」「いる?」と聞かれて、そうなら「はい」、ちがうなら「いいえ」。これがこたえの仕事です。③は、話をきいているあいだの「はい」。意味はほとんどなくて、「ちゃんときいてるよ、つづけて」という合図です。

一つの言葉が三つの仕事をかけもちしているなんて、ずいぶんはたらきものです。日本語を話すわたしたちは、これを小さいころから自然に使い分けているので、ふだんは気づきません。でも英語を習いはじめると、ここで「あれ?」が起こります。英語は、この三つの仕事を、一つの言葉にまとめていないからです。

英語は、仕事ごとに言葉が分かれている

英語では、さっきの三つの場面で、それぞれちがう言葉を使います。

仕事日本語英語意味
①へんじ(出席)はい!Here!(ヒア)ここにいます
②こたえはい/いいえYes(イエス)/No(ノウ)そうだよ/ちがうよ
③あいづちはい、はいUh-huh(アハー)きいてるよ

右がわを見てください。日本語なら全部「はい」ですむところに、英語では三つの別の言葉が入っています。つまり「はい=yes」は、②のこたえの仕事のときだけ正しいのです。①のへんじの場面で yes と言うと、英語の先生は「ん? 何がイエスなのかな?」という顔をします。質問をしていないのに、こたえが返ってきたからです。

出席でつかう Here は、「ここ」という意味の言葉です。だから Here! のひとことで「わたしはここにいます!」が伝わります。手をまっすぐ上げて、Here! と言ってみましょう。「I'm here!(アイム ヒア、わたしはここです)」と、少し長く言うこともあります。どちらでも伝わります。

こたえの「はい・いいえ」が、yes と no

では、②のこたえの仕事を見てみましょう。ここは「はい=yes、いいえ=no」がそのまま使えるところです。

Do you like apples?(りんごは すき?)  → すきなら  Yes!(イエス)  → すきでないなら No.(ノウ)

「くだもの」や「どうぶつ」の記事で、Yes, I do. という長いこたえ方を見た人もいるかもしれません。あれは yes のうしろに「すきだよ」の部分までつけた、ていねいな形です。1年生のうちは、Yes. と No. だけで十分です。にっこりしながら Yes!、首を小さくふりながら No. と言えば、気持ちまでちゃんと伝わります。

yes と no のいいところは、どんな質問にもこの二つでこたえられることです。すき? も、いる? も、できる? も、こたえはぜんぶ Yes か No。たった二つおぼえるだけで、英語の質問の半分くらいにはこたえられるようになります。

no は、わるい言葉ではない

ここで一つ、大事な話をします。日本語では、「いいえ」と言うのに少し勇気がいることがあります。ことわったら悪いかな、という気持ちになるからです。それで、ほんとうは「いいえ」なのに、あいまいにわらってごまかしてしまうことがあります。

英語の no は、もっと軽い言葉です。「ちがうよ」「いらないよ」という事実を言っているだけで、相手をきらいだとか、おこっているとか、そういう意味はまったく入っていません。だから英語を話す人たちは、no をふつうに、よく使います。

More?(おかわり、いる?)  → No, thank you.(ノウ サンキュー)   =いらないよ、でも ありがとう

ことわるときに一番よく使うのが、この No, thank you.(ノウ サンキュー)です。no のうしろに thank you(ありがとう)をつけるだけで、「いらないよ。きいてくれてありがとう」というやさしいことわり方になります。no だけだと少しぶっきらぼうに聞こえる場面でも、thank you をそえればにっこりことわれます。二つの言葉を、くっつけたままセットでおぼえてしまいましょう。

here は、もう一回出てくる ── 「はい、どうぞ」も here

出席のへんじで出てきた here(ここ)は、じつは教室のもう一つの場面でも活躍します。友だちにえんぴつをかしてあげるとき、日本語では「はい、どうぞ」と言いますね。ここにも「はい」がいます。英語では何と言うでしょう。

「はい、どうぞ」 → Here you are.(ヒア ユー アー)

また here が出てきました。Here you are. は、ものを手わたすときの決まり文句です。「ここにあるよ、きみのところへどうぞ」という気持ちの言葉です。出席の Here!(わたしはここ)と、手わたしの Here you are.(ものはここ)。どちらも「ここだよ」と場所を知らせる here が入っています。

こうしてみると、日本語の「はい」が出てくる場面の多くで、英語は here をつかっていることになります。「はい=yes」ではなく、「はい」はときどき here。これをおぼえておくと、英語の教室でまようことがぐっとへります。

もう一つ、よばれたときの話。先生やおうちの人に「○○?」と名前だけよばれて、何か用事がありそうなとき、英語では Yes?(イエス?)と、おしりを上げてききかえします。これは日本語の「なあに?」にあたります。同じ yes でも、強く言い切る Yes! は「そうだよ」、やわらかく上げる Yes? は「なあに?」。言い方で仕事が変わるのは、ちょっとおもしろいところです。

つまずきやすいところ

その1 出席で Yes! と言ってしまう

「はい=yes」の思いこみで、名前をよばれて Yes! と言ってしまう人はとても多いです。
出席のへんじは Here!。「ここにいます」の合図だと思い出しましょう。

その2 「はい、はい」のくせで yes, yes と二回言ってしまう

日本語のあいづちのつもりで yes, yes とくりかえすと、英語では「わかったわかった、もういいよ」のように聞こえてしまうことがあります。
こたえの yes は一回で十分。あいづちなら Uh-huh(アハー)です。

その3 no と言えずに、だまってしまう

ことわるのが悪い気がして、だまってにこにこしてしまうと、英語では「yes なのかな?」と思われてしまいます。
いらないときは「ノウ サンキュー」。これはやさしいことわり方なので、安心して使えます。

その4 no と言ったあとに、あやまりたくなる

「いいえ」と言うとごめんねの気持ちになるのは、日本語のくせです。
英語の no は事実を言っているだけなので、あやまらなくて大丈夫。相手もまったく気にしていません。

やってみよう

Q1 朝の出席で名前をよばれた。英語で何と言う?

A Here!(ここにいます!)。yes ではありません。

Q2 Do you like cats?(ねこはすき?)── すきなら何とこたえる?

A Yes! だけで十分伝わります。

Q3 おかわりをすすめられたけれど、おなかがいっぱい。やさしいことわり方は?

A No, thank you.(いらないよ、ありがとう)

Q4 友だちにえんぴつをわたしながら「はい、どうぞ」。英語では?

A Here you are.(ここにあるよ、どうぞ)

Q5 日本語の「はい」がしている三つの仕事は?

A へんじ・こたえ・あいづち。英語ではそれぞれ Here! / Yes / Uh-huh と言葉が分かれます。

まとめ

おうちの方へ

この記事のねらいは、「はい=yes」という一対一の対応づけを、早い段階で一度ほどいておくことです。日本語の「はい」は応答詞として多機能(呼名への応答・肯定の返答・相づち)ですが、英語はそれぞれ Here! / Yes / Uh-huh と語が分かれます。この「言葉と仕事の切れ目が言語によってちがう」という体験は、単語の暗記よりも深いところで英語学習を支えます。実際、呼名に Yes と答えてしまう・相づちのつもりで yes を連発してしまうのは、中学生や大人にも残る癖です。ご家庭では「出席ごっこ」がそのまま遊びになります。名前を呼んで Here! と手を上げる、ぬいぐるみの分まで代返する、などで十分です。おやつの場面の「ノウ サンキュー」も、断る練習として安全に使えます。なお、「すきじゃないの?」のような否定の形の質問に Yes / No で答えるときは、日本語と英語で答えが逆になるという有名な現象がありますが、これは6年生の「否定文」の記事であつかいます。この段階では「no は事実を言うだけの、こわくない言葉」という感覚づくりを優先してください。あいさつの記事(「あいさつをしよう」「朝・昼・晩の英語」)とあわせて読むと、教室の一日のやりとりがひとつながりになります。