アメリカの 子どもに「犬は なんて なく?」と きくと、「woof woof(ウフ ウフ)!」と こたえます。「わんわん」では ありません。えっ、アメリカの 犬は 「ウフ ウフ」と なくの? ……じつは、ここに 今日の いちばん おもしろい ひみつが あります。犬の こえは、日本でも アメリカでも おなじです。かわって いるのは、犬では なく、人間の ことばの ほう。この しくみが 分かると、英語の なきごえを おぼえる ことが、ただの あんきでは なく、「ことばって そう できて いるのか」と いう はっけんに かわります。
さいしょに、クイズです。日本の 犬を ひこうきに のせて、アメリカに つれて いったと します。その 犬は、アメリカに ついた とたん、「わんわん」を やめて 「ウフ ウフ」と なきはじめるでしょうか。
こたえは、もちろん 「なきかたは かわらない」です。犬は 人間の ことばを つかって いないので、国が かわっても、こえは 1ミリも かわりません。ねこも、うしも、にわとりも おなじ。どうぶつの こえは、世界じゅう どこでも おなじなのです。
では、なぜ 日本では 「わんわん」で、英語では woof woof なのでしょう。それは、「わんわん」も woof woof も、犬の こえ そのものでは ないからです。どちらも、人間が 犬の こえを きいて、「こんな かんじの 音だったよ」と じぶんの ことばで まねした ものです。まねの しかたが 国によって ちがう ── ただ それだけの ことだったのです。
ほんものの 犬の こえを、よーく きいて みて ください。あれは、人間の 口から 出る 音では ありません。ひらがなでも、アルファベットでも、そのままは 書けない 音です。
だから 人間は、じぶんの ことばに ある 音の 中から、いちばん にて いる 音を えらんで、ものまねを 作ります。日本語を 話す 人は、日本語に ある 音(わ・ん・にゃ・も など)で まねを 作る。英語を 話す 人は、英語に ある 音で まねを 作る。もとの こえは 1つなのに、できあがる ものまねは 2つに なるのです。
これは、どちらかが 正しくて、どちらかが まちがって いる、と いう 話では ありません。どちらも 上手な ものまねです。そして どちらも、ほんものでは ありません。この ことが 分かって いると、この あとの 表が、ぐっと おもしろく 見えて きます。
それでは、どうぶつの なきごえを、日本語と 英語で ならべて みましょう。こえに 出して、よみくらべて みて ください。
| どうぶつ | 日本語 | 英語 | よみ方 |
|---|---|---|---|
| 犬 | わんわん | woof woof | ウフ ウフ |
| ねこ | にゃあにゃあ | meow meow | ミャウ ミャウ |
| うし | もうもう | moo moo | ムー ムー |
| ぶた | ぶうぶう | oink oink | オインク オインク |
| ひつじ | めえめえ | baa baa | バー バー |
| あひる | があがあ | quack quack | クワック クワック |
| にわとり | こけこっこう | cock-a-doodle-doo | カカドゥードゥルドゥー |
| ねずみ | ちゅうちゅう | squeak squeak | スクイーク スクイーク |
| かえる | けろけろ | ribbit ribbit | リビット リビット |
| 小鳥 | ちゅんちゅん | tweet tweet | トゥイート トゥイート |
ぜんぶ おぼえる ひつようは ありません。まずは、じぶんの すきな どうぶつを 1ぴき えらんで、その なきごえだけ 言えるように なれば じゅうぶんです。
表を よく 見ると、おもしろい ことに 気づきます。日本語と 英語で、にて いる なきごえと、ぜんぜん ちがう なきごえが あるのです。
にて いる 組の だいひょうは、うしの 「もうもう」と moo(ムー)、ねこの 「にゃあ」と meow(ミャウ)、ひつじの 「めえ」と baa(バー)。口を とじたり すぼめたり して 出す かんたんな こえは、どこの 国の 人の 耳にも おなじように きこえるので、ものまねも にた 形に なります。
ぜんぜん ちがう 組の だいひょうは、にわとりです。日本語の 「こけこっこう」と、英語の cock-a-doodle-doo(カカドゥードゥルドゥー)。にわとりの こえは 長くて ふくざつなので、こえの どの ぶぶんを 大事に きくかが 国によって ちがい、ものまねが 大きく 分かれるのです。
かえるにも ひみつが あります。英語の ribbit(リビット)は、じつは アメリカの 一部に すんで いる かえるの こえの まねだと 言われて います。日本の 田んぼに いる かえると、アメリカの かえるは しゅるいが ちがうので、そもそも きいて いる こえ じたいが ちがうことも あるのです。
なきごえを おぼえたら、文の 形で 言って みましょう。つかうのは says(セズ)と いう ことばです。「〜と 言う・〜と なく」と いう いみに なります。
この 文が 言えるように なったら、なきごえ クイズで あそべます。ひとりが なきごえだけを 言い、もう ひとりが どうぶつの 名前を 英語で こたえる あそびです。「Moo moo!」「cow(カウ・うし)!」、「Baa baa!」「sheep(シープ・ひつじ)!」と いう ぐあいです。なきごえは 10こ おぼえなくても、こたえる がわに なれば すぐに さんかできるので、かぞくでも 楽しめます。
アメリカの 子どもたちは、「Old MacDonald Had a Farm(マクドナルドじいさんの ぼくじょう)」と いう うたで、この なきごえを おぼえます。ぼくじょうの どうぶつが つぎつぎに 出て きて、「ここでも moo moo、あそこでも moo moo」と なきごえを くりかえす うたです。日本の 「ゆかいな まきば」と おなじ メロディーなので、きいた ことが ある 人も 多いはずです。
その1 「英語の なきごえの ほうが 正しい」と 思って しまう
woof woof は 英語の じゅぎょうで ならう ことばですが、犬の こえの 「せいかい」では ありません。「わんわん」も woof woof も、おなじ こえを べつべつの ことばで まねした もの。どちらも 正しくて、どちらも ほんものでは ない、が こたえです。
その2 カタカナの とおりに 読めば 通じると 思って しまう
この ページの 「ウフ ウフ」や 「ミャウ」は、ちかい 音を カタカナで メモした ものです。ほんとうの 英語の 音は、カタカナでは 書ききれません。じゅぎょうや どうがで ほんものの 音を きいたら、カタカナを わすれて、きいた まま まねして みましょう。
その3 日本語の なきごえの 書き方で まよう
日本語では、なきごえや 音の ことばは 「ワンワン」のように カタカナで 書く ことが 多いですが、「わんわん」と ひらがなで 書いても まちがいでは ありません。どんな ことばを カタカナで 書くかには きまりが あるので、くわしくは かたかなの 記事で べんきょうできます。
Q1 犬の なきごえは、英語で なんと 言いますか。
A woof woof(ウフ ウフ)です。
Q2 「Moo moo!」と ないて いるのは、どの どうぶつですか。
A うし(cow)です。日本語の 「もうもう」と よく にて います。
Q3 アメリカの 犬と 日本の 犬は、ちがう こえで ないて いますか。
A いいえ。どうぶつの こえは 世界じゅう おなじです。ちがうのは、人間が こえを ことばに する やり方の ほうです。
Q4 なきごえの ことばが 国によって ちがうのは、なぜですか。
A なきごえの ことばは、じぶんの 国の ことばに ある 音で 作った ものまねだからです。日本語の 音で まねすると 「わんわん」、英語の 音で まねすると woof woof に なります。
Q5 うしや ねこの なきごえが、日本語と 英語で にて いるのは なぜですか。
A 口を とじたり すぼめたり して 出す かんたんな こえは、どこの 国の 耳にも おなじように きこえるからです。長くて ふくざつな にわとりの こえは、国によって まねが 大きく 分かれます。
動物の鳴き声(擬声語)は、言語ごとに使える音のセットが違うことをいちばん身近に体感できる教材です。「英語ではこう言うのが正解」と暗記させるより、「同じ声を聞いているのに、まねの仕方が言葉によって違う」という本文の視点で扱うと、英語の音は日本語の音と別物だという、後の発音学習の土台になる気づきが残ります。
遊び方としては、鳴き声クイズ(親が Moo moo! と言い、子が動物名を答える)が手軽で、動物名→鳴き声の順でなく鳴き声→動物名の順にすると、聞き取りの練習になります。「Old MacDonald Had a Farm」は動画サイトで無料で視聴でき、1曲の中で鳴き声が何度も繰り返されるため、聞き流しでも定着しやすい歌です。
なお、お子さんが「ウフウフなんて聞こえない」と言ったら、それはとても良い観察です。擬声語はあくまで近似なので、聞こえたままを自分の言葉で表現してみる(「うちの犬は『ぼふっ』って鳴く」など)ことも、耳を育てる立派な学習になります。